オープン記念価格・二重価格に関する景品表示法
不適切な価格表示は消費者に誤った認識を与える恐れがあることから、景品表示法の規制対象となっています。 エステサロンのオープン、健康食品のサービス開始に合わせて価格を引き下げる「オープン記念価格」の手法は広く用いられています。この場合、通常の価格と比べてオープン記念価格を表示するため、価格表示は「二重価格表示」となることも知っておきましょう。 本記事では、広告表示で「オープン記念価格」と謳う際の注意点と、二重価格表示の考え方についてご紹介します。 景品表示法とは? 景表法(景品表示法)は、不当な広告表示による不利益から消費者を守るための法律です。 第一条 この法律は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とする。 (景表法第1条より引用) 価格表示については、消費者に誤った認識を与え、景品表示法違反と判断される事例について「価格表示ガイドライン」(不当な価格表示についての景品表示法上の考え方)で定められています。 有利誤認表示とは 商品の販売価格について消費者に実際よりも著しく有利であると誤認されるような表示は、有利誤認表示として規制対象となっています。 第五条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。 二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの (景表法第5条より引用) 有利誤認表示の例としては、次のような広告表示が挙げられます。 2 景品表示法上問題となる価格表示 次のような価格表示を行う場合には、景品表示法に違反する不当表示(以下、単に「不当表示」という。)に該当するおそれがある。 (1) 実際の販売価格よりも安い価格を表示する場合 (2) 販売価格が、過去の販売価格や競争事業者の販売価格等と比較して安いとの印象を与える表示を行っているが、例えば、次のような理由のために実際は安くない場合 ア 比較に用いた販売価格が実際と異なっているとき。 イ 商品又は役務の内容や適用条件が異なるものの販売価格を比較に用いているとき。 (3) その他、販売価格が安いとの印象を与える表示を行っているが、実際は安くない場合 (価格表示ガイドラインより引用) 化粧品や健康食品の広告において、過剰な効果効能表現や安全性の保証表現は薬機法の規制対象となっています。それと同様に、事実よりも価格を安く見せるような広告表示は景品表示法に抵触するため注意が必要です。 「オープン記念価格」は謳える? 「オープン記念価格」とは、小売店やエステサロンの開店・健康食品の販売開始時に販売価格を引き下げる方法です。 「オープン記念価格」を表示する際は通常の価格との二重価格表示となるため、次のポイントをしっかり守ることが求められます。 オープン記念価格の期間を分かりやすく表示する オープン記念価格について具体的に表示する むやみにオープン記念価格の期間を延長しない 需要喚起、在庫処分等の目的で行われる期間限定のセールにおいて、販売価格を引き下げる場合に、過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示が行われることがある。 この場合、比較対照価格に用いられる過去の販売価格の表示方法は一様ではなく、価格のみが表示されている場合、「当店通常価格」、「セール前価格」等の名称や、当、平等の記号が付されている場合、どのような価格かについて具体的な説明が付記されている場合などがある。 (価格表示ガイドラインより引用) 二重価格表示とは 二重価格表示とは、ある価格と比較して現在の価格を安く見せることで、消費者に商品の安さをアピールする手法です。 1 二重価格表示についての基本的考え方 二重価格表示は、事業者が自己の販売価格に当該販売価格よりも高い他の価格(以下「比較対照価格」という。)を併記して表示するものであり、その内容が適正な場合には、一般消費者の適正な商品選択と事業者間の価格競争の促進に資する面がある。 しかし、次のように、二重価格表示において、販売価格の安さを強調するために用いられた比較対照価格の内容について適正な表示が行われていない場合には、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがある。 (価格表示ガイドラインより引用) 比較対照価格としては、同一の商品として次のような価格を設定することが認められています。 過去の販売価格(通常時の販売価格) 希望小売価格 競争事業者の販売価格 二重価格表示が行われる場合には、比較対照価格として、過去の販売価格、希望小売価格、競争事業者の販売価格等多様なものが用いられている。 これらの比較対照価格については、事実に基づいて表示する必要があり、比較対照価格に用いる価格が虚偽のものである場合には、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがある。 (価格表示ガイドラインより引用) 二重価格表示がNGとなるケース 二重価格表示は、商品を不当に安く見せているとして有利誤認表示と判断される可能性があります。 次のような場合は、二重価格表示が有利誤認表示・景品表示法違反に該当するため注意が必要です。 別の商品の価格と比較する場合 比較対照価格が別の商品の価格である場合は、二重価格表示がされている商品との違いが消費者に分かりにくく、不当に安くなっていると誤解されてしまうため不適切な価格表示に該当します。 ただし、同じ事業者が実際に販売している2つの商品の価格を比較することは、景品表示法によって認められています。 同一ではない商品の価格との二重価格表示が行われる場合には、販売価格と比較対照価格との価格差については、商品の品質等の違いも反映されているため、二重価格表示で示された価格差のみをもって販売価格の安さを評価することが難しく、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがある。 なお、同一ではない商品との二重価格表示であっても、一の事業者が実際に販売している二つの異なる商品について現在の販売価格を比較することは、通常、景品表示法上問題となるものではない。 (価格表示ガイドラインより引用) 過去の販売価格がはっきり表示されていない 二重価格表示が行われる際に、比較対照価格である過去の販売価格をはっきり表示しない場合は、消費者に誤った認識を与える恐れがあるとして、有利誤認表示に該当します。 過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示が行われる場合に、比較対照価格がどのような価格であるか具体的に表示されていないときは、一般消費者は、通常、同一の商品が当該価格でセール前の相当期間販売されており、セール期間中において販売価格が当該値下げ分だけ安くなっていると認識するものと考えられる。 (価格表示ガイドラインより引用) 過去の販売価格の販売期間がはっきり表示されていない 過去の販売価格と比較する際、その価格でどのくらいの期間販売されていたかはっきり表示しないことは不適切です。これは、その商品が不当に安くなったと消費者に誤解を与えてしまうことに繋がります。 過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示を行う場合に、同一の商品について最近相当期間にわたって販売されていた価格とはいえない価格を比較対照価格に用いるときは、当該価格がいつの時点でどの程度の期間販売されていた価格であるか等その内容を正確に表示しない限り、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがある。 (価格表示ガイドラインより引用) まとめ 「オープン記念価格」は、お店のオープンやサービス開始直後という一定期間に価格を引き下げる手法です。オープン記念価格を表示する際は、価格が安くなる期間をはっきり表示し、通常の価格との違いが分かりやすく伝わるように気を付けましょう。 化粧品や健康食品で過剰な効果効能表現が薬機法違反となるように、これらの商品や美容サービスの価格が実際よりも安いかのようにアピールすることは景品表示法違反となります。 広告制作の際は、薬機法や景品表示法など広告規制に関わる法律・ガイドラインをしっかり確認することが大切です。
「好評につき延長」「キャンペーン割引」を広告で謳える?景品表示法を解説
商品の価格表示は、消費者に購入を促すために重要となるポイントです。一定期間商品の価格を安くする「キャンペーン割引」は、消費者の注目を集めやすいため積極的に行われています。 消費者を不当な表示による不利益から守る法律として、景品表示法があります。「好評につき延長」といってキャンペーン期間を延長したり、過剰なキャンペーン割引を行ったりすると、景品表示法に抵触する恐れがあるため注意しましょう。 本記事では、「好評につき延長」「キャンペーン割引」表示と景表法との関わりについて解説します。 景品表示法とは? 景表法(景品表示法)は、不当な広告表示による不利益から消費者を守るための法律です。 第一条 この法律は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とする。 (景表法第1条より引用) 例えば、化粧品や健康食品の広告表示について、実際の商品よりも著しく効果があるような表現は薬機法違反となるだけでなく、景表法違反にも該当するので十分に注意しましょう。 有利誤認表示とは 商品の販売価格について消費者に実際よりも著しく有利であると誤認されるような表示は、有利誤認表示として規制対象となっています。 第五条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。 二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの (景表法第5条より引用) 有利誤認表示の例としては、次のような広告表示が挙げられます。 2 景品表示法上問題となる価格表示 次のような価格表示を行う場合には、景品表示法に違反する不当表示(以下、単に「不当表示」という。)に該当するおそれがある。 (1) 実際の販売価格よりも安い価格を表示する場合 (2) 販売価格が、過去の販売価格や競争事業者の販売価格等と比較して安いとの印象を与える表示を行っているが、例えば、次のような理由のために実際は安くない場合 ア 比較に用いた販売価格が実際と異なっているとき。 イ 商品又は役務の内容や適用条件が異なるものの販売価格を比較に用いているとき。 (3) その他、販売価格が安いとの印象を与える表示を行っているが、実際は安くない場合 (価格表示ガイドラインより引用) 化粧品やサプリメントなどの健康食品においても、事実と異なるな割引や何回も購入した方がお得だと思わせるような定期購入の広告表現が使用された事例は少なくありません。過剰な効果効能表現だけでなく、過剰な「安さ」のアピールも行わないことが大切です。 「キャンペーン割引」はOK 「キャンペーン割引」表示は、景表法により使用が認められています。ただし、キャンペーン割引を表示する際は、価格表示ガイドラインに定められている「二重価格表示規制」に抵触しないよう注意が必要です。 二重価格表示の手法の一つとして、ある商品の価格と比べた場合、現在の価格を安く見せることで、消費者に商品の安さをアピールする表示が挙げられています。 a 需要喚起、在庫処分等の目的で行われる期間限定のセールにおいて、販売価格を引き下げる場合に、過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示が行われることがある。 この場合、比較対照価格に用いられる過去の販売価格の表示方法は一様ではなく、価格のみが表示されている場合、「当店通常価格」、「セール前価格」等の名称や、当、平等の記号が付されている場合、どのような価格かについて具体的な説明が付記されている場合などがある。 (価格表示ガイドラインより引用) また、二重価格表示は、商品を不当に安く見せているとして有利誤認表示と判断される可能性があります。 十分な根拠のない価格表示はNG 価格表示ガイドラインでは、表示された価格に十分な根拠が認められない場合、消費者に不当に安い価格であるとの誤解を与えるとして不適切な広告表示にあたるとしています。 また、過去の販売価格や競争事業者の販売価格等でそれ自体は根拠のある価格を比較対照価格に用いる場合でも、当該価格がどのような内容の価格であるかを正確に表示する必要があり、比較対照価格に用いる価格についてあいまいな表示を行う場合には、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがある。 (価格表示ガイドラインより引用) 「十分な根拠が認められない場合」の例としては、次の2点が挙げられます。 実際に販売しない価格を表示する場合 ごく短期間のみの価格である場合 つまり、キャンペーン期間が終了後は通常の価格で販売すれば、有利誤認表示にはあたらないため、表示が認められるのです。 「好評につき延長」を謳いたい場合の注意点 期間限定の割引キャンペーンが好評だった場合、キャンペーン期間を延長することは景表法で認められているのでしょうか? キャンペーン割引期間の延長が適切かどうかは、価格表示ガイドラインには明記されていません。 しかし、景表法が有利誤認表示を不適切な広告表示と定めていることを考えると、「好評につき延長」といった表現は控えたほうが良いでしょう。 消費者からみると、キャンペーン割引期間中に購入したにもかかわらず、キャンペーン期間後も同じような価格が続いたら、「本当にキャンペーン割引をやっていたのか?」と疑ってしまいます。 また、キャンペーン割引が繰り返されると、通常価格に実体がないと判断される恐れもあるのです。 過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示が行われる場合に、比較対照価格がどのような価格であるか具体的に表示されていないときは、一般消費者は、通常、同一の商品が当該価格でセール前の相当期間販売されており、セール期間中において販売価格が当該値下げ分だけ安くなっていると認識するものと考えられる。 (価格表示ガイドラインより引用) キャンペーン期間は広告にはっきり表示しよう キャンペーン期間を明記せず、いきなりキャンペーンを終了する手法なら「好評につき延長」にはあたらないという考えもありますが、適切な方法ではありません。 キャンペーン期間については、広告はっきり表示するように心がけましょう。 このため、過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示を行う場合に、同一の商品について最近相当期間にわたって販売されていた価格とはいえない価格を比較対照価格に用いるときは、当該価格がいつの時点でどの程度の期間販売されていた価格であるか等その内容を正確に表示しない限り、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがある。 (価格表示ガイドラインより引用) また、一度キャンペーンが終了し通常価格の販売が行われていれば、キャンペーンを再開することは認められています。 ただし、キャンペーンの広告表示に「今だけ割引」などの記載をする場合は注意が必要です。 これらの表示は、もうキャンペーンが行われないと消費者に誤解を与える恐れがあるため、キャンペーンを再開することが不適切とされる恐れがあります。 まとめ キャンペーン割引を行う場合は、通常の価格を表示しながら割引価格で購入できることを消費者に伝えることになります。そのため、二重価格表示規制に抵触しないよう十分気を付けることが大切です。 また、キャンペーン割引が好評だったからといって、期間を延長するのは控えた方が無難です。 過剰なキャンペーン割引は、有利誤認表示として景表法違反となる恐れがあります。広告表示や価格表示に関わる際は、景表法に抵触しない表現方法を心がけましょう。
ダイエットサプリの個人輸入は違法?薬機法に抵触する?
海外で製造されたサプリメントを輸入して販売することを考えている人は少なくないのではないでしょうか。 現在、サプリメントなどの輸入はWebで簡単にできるようになりましたが、安全対策が必要な場合もあります。ここでは、個人で持ち込んだサプリメントの販売について説明します。 個人輸入とは? 個人輸入という言葉に関しては聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。しかし単語として知っていても、個人輸入がどのようなものかについて知っている人は少ないのではないでしょうか。 ここでは個人輸入がどのようなものなのか解説していくと共に、似た表現として使われている「並行輸入」についても詳しく解説していきます。 個人輸入とは海外製品を個人が直接輸入すること 個人輸入は、個人的な使用のために国際的な供給源から品目を直接調達することを指します。このプロセスには、2つの基本的なバリエーションがあります。 第一に、消費者が直接海外の通信販売事業者、小売業者、製造業者などに希望する品物を注文する場合。 2つ目は、海外の通信販売事業者、商社、生産者などに発注する方法です。これらの方法によって、個人輸入は2つの形態に分類されています。 並行輸入とは? 国内の通販サイト、すなわちAmazonや楽天市場で見かける「並行輸入品」などのラベル。この並行輸入が何を意味するのかご存じでしょうか。 簡単に説明すると、海外で製造・販売されている有名ブランドの商品を、日本国内の有店舗や正規代理店以外のルートで購入することを並行輸入といいます。これに対して、正規輸入品とは、海外の著名な企業と契約している企業から直接購入し、その企業の会社が輸入して商品化したものとなります。 従って、両者の区別はあくまでも輸送経路にあります。また、並行輸入も違法ではありません。 個人輸入品は電子取引サイトで購入できる アマゾン、楽天市場、ヤフーなど、一般的にECサイトと呼ばれるオンラインショッピングのプラットフォームでは、海外の商品を入手することができますが、国内で購入しているという印象を持っていても、実際には海外の業者と直接取引している場合があります。 そのため、不良品が届いたり、個人輸入であるために商品が届かなかったりすることがあり、問題になることがあります。このような場合、ECサイト側にはその問題を解決する手段がない場合があります。そのため、販売者の名前と所在地をよく確認し、外国企業であることを確認することが重要です。 サプリメントと医薬品の違い 皆さんはサプリメントと医薬品の違いについてご存知でしょうか。この2つは同じような形状をしていますが、定義などが全く違うものになっています。 ここでは、サプリメントがどのようなものなのか、そしてサプリメントと医薬品の違いなどについて詳しく解説していきます。 サプリメントはどのようなものか? サプリメントは、英語で「Supplement」と書き、日本語では「補う」と訳されます。ここ数年、健康な生活を維持するために、サプリメントを日常生活に取り入れる人が増えています。サプリメントは健康食品として販売されていることが多く、医薬品とは区別されています。 サプリメントの定義 サプリメントには、カプセルや錠剤のものがあり、医薬品に近いものです。 しかし、医薬品とは異なり、栄養補助食品として摂取するものであり、疾病の予防や治療を目的としたものではありません。 また、商品によっては「特定保健用食品」や「機能性表示食品」の認定を受けているものもあり、販売や広告で健康効果を確認することができます。 医薬品とはどのようなものか? 私たちの生活に欠かせない医薬品ですが、医薬品とは具体的にどのように定義されているのでしょうか。本来、医薬品とは、厚生労働省が客観的に有用な品質や効果を確認したものを指します。 審査では、効能・効果だけでなく、安全性や製造方法、用法・用量、副作用の可能性など、さまざまな要素が考慮されます。動物実験、人体実験、安全性試験を経て、法的に販売・使用が許可される。 このように、厚生労働省の認可がなければ、どんなに効能があっても、合法的に医薬品として販売することはできないのです。 医薬品とサプリメントの違い 医薬品は主に体調の悪い人に処方されるものですが、サプリメントは健康な人に適したものです。サプリメントは医薬品とはみなされないので、混同しないように注意することが重要です。 医薬品は、医師、薬剤師、医療従事者の専門的な指導のもとで服用する必要がありますが、サプリメントを服用する場合はその必要はありません。 医薬品は厳しい検査が行われ、品質と有効性の厳しい基準に従わなければなりません。サプリメントには品質のばらつきがあるため、両者の違いを理解することが重要です。 ダイエットサプリの個人輸入で薬機法に抵触? 海外では食品(サプリメントを含む)に分類されているものでも、日本では医薬品成分が含まれていたり、医薬品に準ずる効能・効果を謳っているものは医薬品とみなされる場合があります。 24個以下の外用薬(毒物、劇物、処方箋が必要なものを除く)は、用法・用量から見て1ヶ月分を超えないようにする必要があります。その他の医薬品、医薬部外品については、用法・用量が2ヶ月分を超えないようにしましょう。 フリマサイトでの転売はNG メルカリなどのフリマサイトでサプリメントを転売する場合、ときに規約違反になってしまう可能性があります。 ここではフリマサイトでのサプリメントの転売はNGなのかについて詳しく解説していきます。 サプリメントの転売は規約違反になる可能性がある メルカリではサプリメントの出品が可能ですが、「賞味期限」と「食品表示」の画像の添付が必要です。医薬品を含むもの、海外並行輸入品、医薬品類似の効果を主張するもの、人体に害を及ぼす可能性のあるものはすべて禁止されています。 また、開封済みのもの、個別包装されていないものは、安全上の理由から出品できないようになっています。購入者は、途中で断念したサプリメントや自分に合わなかったサプリメントを出品しようとすると、削除されたり、今後の利用を制限されたりする可能性があることを認識しておく必要があります。 フリマサイトではサプリメントにおける禁止表現がある メルカリにサプリメントを出品する場合、商品名や説明文に「バストアップ」「デトックス」「アンチエイジング」「若返り効果」「アレルギー対策」「脂肪燃焼」「体質改善」「便秘解消」「商品使用前後の写真」などの表現やイメージを使用しないようにしましょう。これは、サプリメントが医薬品と同等の効果をもたらすと誤認させるような表現を禁止した薬事法に基づくものです。このような身体的特徴を操作するような表現は明確に禁止されており、Web上での表現が禁止されています。 まとめ 今回はサプリメントの個人輸入が違法なのかについて詳しく紹介してきました。 サプリメントの個人輸入には、多くの規制があります。従って、このような活動を行う場合には、多くの注意点が存在します。これらの法令を理解するには専門的な知識が必要な場合が多く、経験豊富な専門家や関連団体に相談しないと理解できない場合があります。皆さんも法律などのルールに則って正しくサプリメントを販売して下さいね。
飲む日焼け止めの広告における注意点 健康食品に関する薬機法
近年では、「飲む日焼け止め」を謳ったサプリメントが販売されており、話題を集めています。しかし、「飲む日焼け止め」といった広告表現や商品名は薬機法違反に該当するため注意が必要です。 本記事では、飲む日焼け止めの広告表現や商品名について、薬機法違反となる理由について解説します。また、健康食品への使用がOK となる言い換え表現についてもご紹介します。 飲む日焼け止めって何? 「飲む日焼け止め」は飲むだけで日焼け止め効果が得られるサプリメントとして、テレビやSNSで話題になっている商品です。毎朝日焼け止めを塗るのが面倒という人にとって、飲むだけで日焼け止め効果があるといった商品はとても魅力的といえるでしょう。 しかし、科学的には「飲む日焼け止め」によって日焼け止め効果が得られることはほとんどないといわれています。 また、商品説明分に「1粒で紫外線カット」などのワードが記載されている商品も科学的な根拠は認められていないため注意が必要です。 薬機法とは? 薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)とは、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器による健康被害から一般の消費者を守るための法律です。 この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のために必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする。 (薬機法第1条より引用) 薬機法において、虚偽・誇大な広告表現は禁止されています。こうした広告規制は広告制作に関わす全ての人が対象となっており、広告主だけでなくインフルエンサーも規制を受ける可能性があります。 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。 (薬機法第66条より引用) 薬機法の対象となるのは医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品とされています。 ただし、健康食品の広告において医薬品と同じような効果効能表現を行った場合は、未承認の医薬品と見なされて薬機法による規制を受ける可能性があります。 (承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止) 第六十八条 何人も、医薬品若しくは医療機器又は再生医療等製品であつて、承認認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。 (薬機法第68条より引用) サプリメントなどの健康食品は、あくまでも「食品」とされています。そのため、食品の範疇を超えた効果効能表現は認められていません。ちなみに、特定保健用食品など機能性表示食品の場合は、法律で認められた範囲でのみ、その製品に含まれる成分について記載が可能です。 薬機法違反広告は措置命令・課徴金制度の対象に 「飲む日焼け止め」といった薬機法違反にあたる広告表現を行うと、措置命令や課徴金制度の対象となる可能性ががあります。 措置命令の対象となった場合は、薬機法違反を行った当人や法人に対して広告の取り下げやそれらについて公示すること、再発防止の措置などが求められます。 厚生労働大臣又は都道府県知事は、第六十六条第一項又は第六十八条の規定に違反した者に対して、その行為の中止、その行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他公衆衛生上の危険の発生を防止するに足りる措置をとるべきことを命ずることができる。 一 当該違反行為をした者 二 当該違反行為をした者が法人である場合において、当該法人が合併により消滅したときにおける合併後存続し、又は合併により設立された法人 三 当該違反行為をした者が法人である場合において、当該法人から分割により当該違反行為に係る事業の全部又は一部を承継した 四 当該違反行為をした者から当該違反行為に係る事業の全部又は一部を譲り受けた者 (薬機法第72条より引用) また、虚偽・誇大広告による課徴金制度の対象となった場合は、課徴金対象期間に売り上げた該当商品の4.5%を納付することが求められます。 第六十六条第一項の規定に違反する行為(以下「課徴金対象行為」という。)をした者(以下「課徴金対象行為者」という。)があるときは、厚生労働大臣は、当該課徴金対象行為者に対し、課徴金対象期間に取引をした課徴金対象行為に係る医薬品等の対価の額の合計額(次条及び第七十五条の五の五第八項において「対価合計額」という。)に百分の四・五を乗じて得た額に相当する額の課徴金を国庫に納付することを命じなければならない。 前項に規定する「課徴金対象期間」とは、課徴金対象行為をした期間(課徴金対象行為をやめた後そのやめた日から六月を経過する日 (同日前に、課徴金対象行為者が、当該課徴金対象行為により当該医薬品等の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して誤解を生ずるおそれを解消するための措置として厚生労働省令で定める措置をとつたときは、その日)までの間に課徴金対象行為者が当該課徴金対象行為に係る医薬品等の取引をしたときは、当該課徴金対象行為をやめてから最後に当該取引をした日までの期間を加えた期間とし、当該期間が三年を超えるときは、当該期間の末日から遡つて三年間とする。)をいう。 (薬機法第75条より引用) 「飲む日焼け止め」はNG表現! 「飲む日焼け止め」を謳ったサプリメントなどは、健康食品としての広告表現の範囲を超えているとして薬機法違反に該当します。 なお、「飲む日焼け止め」を連想させる商品名や商品説明分の記載、商品画像の使用いずれも使用NGとされています。「飲む日焼け止め」そのもののワードだけでなく、同じように解釈される表現も認められていません。 「飲む日焼け止め」を意味するワードとしては、次のようなものが挙げられます。 飲むUVケア 飲む日差し対策 飲むだけで紫外線○○%カット 1粒で紫外線カット こんな表現ならOK サプリメントなどの健康食品では、身体の部位を表していないサポート表現や使用感の表現であれば広告への使用が認められています。使用がOKとなっているサポート表現には、次のようなものがあります。 透明感にアプローチ 美容のために 健康維持のために また、使用感の表現としては次のようなワードが挙げられます。 ひんやり さっぱり 香りがいい ただし、次の表現は、身体の部位を表すワードに合わせての使用が認められない場合があるため注意しましょう。 美をサポート 女子力アップ イキイキとした毎日に 「日焼け止め効果」に関する言い換え表現 「飲む日焼け止め」や「日焼け対策」を言い換えるときの具体例についてご紹介します。サポート表現や使用感の表現を上手く利用して、薬機法に抵触しない広告を制作しましょう。 NG:飲む日焼け止め OK:透明感をサポート NG:肌が綺麗になる OK:女子力アップに まとめ 「飲む日焼け止め」は法律上「食品」に該当するため、日焼けを防ぐといった広告表現は認められていません。サプリメントなどの健康食品において、医薬品と同じような効能効果表現は「未承認の医薬品広告」として薬機法に抵触します。そのため、「美容のために」「健康維持のために」といったサポート表現に留めておきましょう。 健康食品の広告制作に関わる人は、薬機法やガイドラインを定期的に確認し、薬機法に抵触しない広告表現を心がけましょう。
キャンペーン割引を行う際の注意点 薬機法・景表法を解説
医薬品や化粧品、健康食品の販売において、キャンペーン割引を行うことは認められているのでしょうか? これらの商品についてのキャンペーン割引は、薬機法や景表法の規定に反しない限り可能とされています。特に、景表法ではキャンペーン割引についての金額範囲が定められているため、必ずチェックしておきましょう。 本記事では、医薬品や化粧品、健康食品におけるキャンペーン割引の注意点について解説します。 キャンペーンや割引に関わる法律 医薬品や化粧品、健康食品のキャンペーン割引を行う際には、次のような法律・ガイドラインをしっかりチェックしておきましょう。 景表法(景品表示法) 薬機法 医療広告ガイドライン また、キャンペーンで配布される「景品」については、景表法によって次のように定められています。 消費者に購入を促すための手段となるもの 事業者が商品やサービスの取引に付随して提供するもの 消費者や取引の相手方に提供する物品や金銭、利益 この法律で「景品類」とは、顧客を誘引するための手段として、その方法が直接的であるか間接的であるかを問わず、くじの方法によるかどうかを問わず、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引(不動産に関する取引を含む。以下同じ。)に付随して相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益であつて、内閣総理大臣が指定するものをいう。 (景表法第2条より引用) したがって、化粧品や健康食品のキャンペーンで配布する物品や商品券、キャンペーン割引は法律上「景品」と判断されます。 医薬品のキャンペーンは薬機法違反? 医薬品のキャンペーンが消費者に医薬品の過剰摂取・乱用を促す広告とされた場合は、薬機法違反に該当します。 医薬品のキャンペーン割引について、「医薬品等適正広告基準」によって次のように定められています。 11 懸賞、賞品等による広告の制限 (1)過剰な懸賞、賞品等射こう心を煽る方法による医薬品等又は企業の広 告を行ってはならない。 (2)懸賞、賞品として医薬品を授与する旨の広告を行ってはならない。 ただし、家庭薬を見本に提供する程度であればこの限りではない。 (3)医薬品等の容器、被包等と引換えに医薬品を授与する旨の広告を行っ てはならない。 (1) 懸賞、賞品等による広告について 景品類を提供して販売・広告することは、不当景品類及び不当表示防止 法(昭和 37 年法律第 134 号)の規定に反しない限り認められる。 なお、医薬品の過量消費又は乱用助長を促す広告を行うことは、本基準 第4の4「過量消費又は乱用助長を促すおそれのある広告の制限」に抵触するため不適当である。 (1)多数購入又は多額購入による値引きについて 多数購入又は多額購入することによる過度な値引き広告については、消費者に不必要な購入を促すことになるため行わないこと。 (医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等についてより引用) したがって、医薬品のキャンペーンが消費者に医薬品の過剰摂取・乱用を促していると判断された場合は、法律上不適切な広告とされるため注意が必要です。 また、クリニックや医療相談の広告については、キャンペーン割引を強調した広告表現は「品位を損ねる内容の広告」として不適切とされています。 ア 品位を損ねる内容の広告 医療広告は、患者等が広告内容を適切に理解し、治療等の選択に資するよう、客観的で正確 な情報の伝達に努めなければならないから、医療機関や医療の内容について品位を損ねる、あるいはそのおそれがある広告は行うべきではない。 【具体例】 ・ 「無料相談をされた方全員に○○をプレゼント」 物品を贈呈する旨等を誇張することは、提供される医療の内容とは直接関係のない事項として取り扱う。 (医療広告ガイドラインより引用) また、景品をプレゼントすることを強調する広告表現も、医療広告において「品位を損ねる内容の広告」として認められていません。 提供される医療の内容とは直接関係のない情報を強調し、患者等を誤認させ、不当に患者等を誘引する内容については、広告は行うべきではない。 【具体例】 ・ 「無料相談をされた方全員に○○をプレゼント」 物品を贈呈する旨等を誇張することは、提供される医療の内容とは直接関係のない事項として取り扱う。 (医療広告ガイドラインより引用) 景表法が定めるルール 景表法(景品表示法)では、取引額が5,000円未満であれば購入額の20倍以下、5,000円以上であれば10万円以下であれば、キャンペーンの景品として配布することが認められています。 加えて、配布する景品や商品券の額を売上予定額の合計に足して2%以下に設定することが必要です。 第二十六条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、景品類の提供又は表示により不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害することのないよう、景品類の価額の最高額、総額その他の景品類の提供に関する事項及び商品又は役務の品質、規格その他の内容に係る表示に関する事項を適正に管理するために必要な体制の整備その他の必要な措置を講じなければならない (景表法第26条より引用) 景品の価格を算定する方法 キャンペーン割引や景品の価格を算定するときは、その商品が通常購入するときの価格を参考にするよう定められています。 Q7 景品類の価額は、どのように算定すればよいのでしょうか。 A 景品類の価額は、景品類と同じものが市販されている場合は、景品類の提供を受ける者が、それを通常購入するときの価格によることとされています。 景品類と同じものが市販されていない場合は、景品類を提供する者がそれを入手した価格、類似品の市場価格などを勘案して、景品類の提供を受ける者が、それを通常購入することとしたときの価格を算定し、その価格によることとされています。 (消費者庁「景品に関するQ&A」より引用) ちなみに、商品の取引額は消費税込みの価格とされています。消費税を無視して景品の最高額を超えてしまわないよう、十分注意しましょう。 Q12 取引の価額は、消費税込みの価格でみるのでしょうか。 A 取引の価額は、消費税込みの価格となります。 (消費者庁「景品に関するQ&A」より引用) 「来店してくれた全員にプレゼント」する景品の価格を算定するときは 「お店に来たお客様全員に景品をプレゼント」といったキャンペーンを実施する場合は、景品や割引価格を原則100円とするよう定められています。ただし、お店で通常取引される商品が100円を超える場合は、お店にとっての最低価格を参考にします。 Q 当店では、商品を購入したかどうかにかかわらず来店してくれた顧客に、景品を提供したいと考えています。この場合の取引の価額はどのように算定すればよいでしょうか。 A 商品・サービスの購入を条件とせずに、店舗への来店者に対して景品類を提供する場合の取引の価額は、原則として100円となります。ただし、当該店舗において通常行われる取引の価額のうち最低のものが100円を超えると認められるときは、当該最低のものを取引の価額とすることができます。 なお、この考え方は、懸賞、総付景品のいずれの方法で景品類を提供する場合でも同様です。 (消費者庁「景品に関するQ&A」より引用) まとめ 医薬品や化粧品、健康食品を販売するときにキャンペーン割引を行う際は、景表法・薬機法・医療広告ガイドラインに抵触しないことが求められます。 医薬品の過剰摂取・乱用を促すようなキャンペーン広告は薬機法に抵触する恐れがあるため注意が必要です。 また、景品や商品券、キャンペーン割引については景表法によって金額の範囲が決められています。提供できる景品類の最高額については必ず確認しておきましょう。
化粧品・健康食品の「定期購入」は特商法の制限に注意
健康食品や化粧品の「定期購入」は購入者と販売者の双方にメリットがあり理想的な仕組みと言えますが、特にD2C事業者は気を付けるべき落とし穴があることをご存じでしょうか。 消費者を守る法律である「特商法」は2021年に定期購入に関しての新たなガイドラインを発表しました。販売者は「特商法」について知らないと意図せず法律違反をしてしまう可能性があります。 そこで本記事では消費者庁などの資料をもとに特商法の新たな規制について、販売者が知っておくべき点を分かりやすく丁寧に説明します。「特商法で何に気を付ければいいかわからない」という方はぜひ最後まで読んで参考にしてください。 化粧品や健康食品の「定期購入」とは? まず化粧品や健康食品における「定期購入」に関して説明していきます。 「定期購入」はその名の通り「あるユーザーに特定のものを継続的に買ってもらい、それを届ける」仕組のことです。 購入者側のメリット 基本的に化粧品や健康食品は使えばなくなる消耗品です。継続的に使うと効果がでるものやずっと使いたいものなども含めて「同じものを定期的に買う」手間が発生してしまいます。 そこで例えば一度ネットショップでクレジットの決済などをすれば自動で届くように設定しておけばその手間を無くすことができます。毎回買うことを煩わしいと感じる方や買い忘れなどをしてしまう方にとって嬉しい仕組みといえるでしょう。 販売者者側のメリット 購入者のみならず販売者にもこの仕組みはメリットはあるのでしょうか。 消耗品の商品を届ける側としては「毎月どれぐらい売れるのか」はある程度分かっているとメリットは大きいです。サービス提供者側の目線でも毎月の注文の量を把握して「どれだけ新たにつくるか」を判断する材料になり、供給時の生産計画を立てる際にありがたい仕組と言えます。 また、あらかじめ定期購入者が購入を約束してくれていることで見込み売り上げを把握しやすくなります。このように一度定期購入に登録すれば自動的に届けられる仕組みはユーザー目線とサービス提供者目線の双方に重宝されています。 特商法に注意が必要 ここまで述べてきたように定期購入は購入者と供給者にとってもうれしい仕組みですが、新たにガイドラインが加わり特商法に気を付ける必要があります。特商法について簡単に説明していきます。 特商法とは まず特商法について消費者庁の公式ホームページをもとに概要を説明していきます。 特定商取引法は、事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止し、消費者の利益を守ることを目的とする法律です。 具体的には、訪問販売や通信販売等の消費者トラブルを生じやすい取引類型を対象に、事業者が守るべきルールと、クーリング・オフ等の消費者を守るルール等を定めています。 出典:消費者庁公式ホームページ 分かりやすく説明すると「悪質な勧誘や営業などから消費者を守る」ための法律です。 訪問販売や電話での勧誘など、消費者にとって不利益になるような悪質な行為は後を絶ちません。消費者庁の対策として、一定期間購入したものを取り消しにできるクーリング・オフなどはその有名な例です。消費者にとっては安全に買い物をすることがでる有難い仕組みといえるでしょう。 定期購入で起こった問題 定期購入は便利な仕組みですが、問題が起こってしまいます。 消費者の無知に付け込むような販売があり、消費者庁にクレームが多数集められてしまったのです。 お試しのつもりが定期購入になっている 「いつでも解約」と書いておきながら実際には細かい条件がある 上記のような消費者に不利益を与えてしまうような件が多数起こってしまい、2021年に消費者庁も新たにガイドラインを発表してこのような事態の対策を打ちました。 2021年6月ガイドラインの内容 このようにして消費者庁が設定した新たなガイドラインについて要点を説明していきます。 2021年6月ガイドラインの主な内容 通信販売に関する規定の新設 電磁的記録によるクーリング・オフの導入 預託等取引に係る抜本的な規制強化 出典:消費者庁 特筆すべきは主に一番上の「通信販売に関する規定の新設」を行ったことで、基本的な内容としては 表示を義務付けること 誤認させるような表示をしないこと この2点を守って消費者との健全なやりとりをするように促しています。 そして、販売者はこの新たなルールを知っておく必要があります。 販売者が知っておくべき特商法の新たな内容 それではこの具体的な規定を見ていきましょう。 消費者庁の資料を参考にすると、販売者に関わってくる内容は下記です。 「表示義務」の内容 分量 販売価格・対価 支払時期及び支払方法 引渡時期・移転時期・提供時期 申込みの期間がある場合、その旨・その内容 申込みの撤回・解除に関する事項 適用対象 ①カタログ・チラシ等を利用した通信販売 ➝申し込み書面 ②インターネットを利用した通信販売 ➝最終確認に相当する画面 出典:消費者庁 仮に定期購入のネットショップを立ち上げる場合、最終確認の画面に上記の「表示義務」の内容を記載する必要があります。 こちらを破ってしまうと法人の場合、最悪1億円近くの罰金の制度もあるので定期購入品の販売を考えている方は注意してください。 薬機法にも注意 薬機法は厚生労働省が管理している医薬品などに関わる法律です。 品質や安全面などを担保するために「開発」「製造」「販売」「流通」「使用」などの一貫した領域で規定をつくっています。 厚生労働省のページに記載されている具体的な取り扱い品目は下記です。 薬機法の対象 医薬品(市販薬、血液学的検査薬等) 医薬部外品(うがい薬、殺虫剤、染毛剤、栄養ドリンク等) 化粧品(一般的な化粧品、シャンプー、スキンケア用品等) 医薬機器(ペースメーカー、人工関節、超音波画像診断装置など) 再生医療等製品(心筋の細胞シート等) 出典:厚生労働省 この内容を見ると医薬品や医療機器などの専門性の高いもののみならず、化粧品や健康食品のようなものも含まれることが分かります。 薬機法の注意すべき点 例えば化粧品の場合の薬機法でどのような点に注意すべきかを見ていきましょう。 (誇大広告等) 第六十六条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。 2 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。 3 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品に関して堕胎を暗示し、又はわいせつにわたる文書又は図画を用いてはならない。 出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 上記は薬機法の一部からの引用ですが広告に関して虚偽または誇大な内容が明確に禁止されています。 広告やネットショップで化粧品などを扱う際は十分に注意してください。 まとめ 本記事では化粧品や健康食品を扱ううえでの特商法、薬機法で注意すべき点などをまとめました。 定期購入は購入者と販売者の両方にメリットがある素敵な仕組みですが、正しくルールを把握してサービスを提供することが重要といえるでしょう。規制を知らずに運用を続けていた場合、最悪のケースでは罰則などにもつながることもあります。 定期購入を考えている方はぜひ今回の記事を参考にしてみてください。
「マッサージ」は薬機法違反?
エステサロンや美容室において「マッサージ」という表現を使用する際は注意が必要です。 意識せず広告などに使用していると「知らない間に法律違反を起こしてしまう」なんて可能性もあります。 しかし「実際にどのような場面・表現」が法律に抵触する可能性があるのか分かりづらいですよね。 本記事ではそういった方のために、薬機法のエビデンス確認を行った著者がマッサージを扱う上での注意点などを解説していきます。 ぜひ最後まで読んで参考にしてください。 マッサージの定義 実際に「どういった条件のものがマッサージとされているのか?」という条件や定義を確認していきましょう。 厚生労働省が公表している資料を参考にすると、一般的にいわれるマッサージにあたる「あん摩マッサージ指圧術」に関して、下記のように言われています。 ・あん摩マッサージ指圧術とは、徒手により、あん摩、マッサージ、指圧の各手技(なでる・押す・揉む・叩くあらゆる行為)を用いて、機械的刺激を生体に加え、生体の変調を調整し、疾病の治療や保健の目的を果たす施術です。 出典:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000858705.pdf これだけだと「どこまでがマッサージ?」と違いが分かりずらいかもしれません。「リラクゼーション」や「エステ」などとマッサージは区別できるものなのでしょうか。 実は明確に他と違うのは「マッサージ」は国家資格を持っている方のみできるということです。「あん摩マッサージ指圧師」という資格を持っている方のみが本当に「マッサージ」と呼べるものを提供できるのです。 リラクゼーションなどイメージの近い単語はありますが「マッサージ」とは明確に違うことを知っておくべきでしょう。 薬機法とは? 厚生労働省は医薬品や医療機器などの有効性や安全性を確保する目的で規制をつくっています。それをまとめた法律が薬機法です。正式な名前を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」とよび、「薬機法」「医薬品医療機器等法」などと略して呼ばれるのが一般的です。 厚生労働省が公表している資料をもとにすると、具体的には下記のようなものが当てはまります。 薬機法の対象 医薬品(市販薬、血液学的検査薬等) 医薬部外品(うがい薬、殺虫剤、染毛剤、栄養ドリンク等) 化粧品(一般的な化粧品、シャンプー、スキンケア用品等) 医薬機器(ペースメーカー、人工関節、超音波画像診断装置など) 再生医療等製品(心筋の細胞シート等) 医薬部外品(うがい薬、殺虫剤、染毛剤、栄養ドリンク等) 化粧品(一般的な化粧品、シャンプー、スキンケア用品等) 医薬機器(ペースメーカー人工関節、超音波画像診断装置など) 再生医療等製品(心筋の細胞シート等) 医薬品(市販薬、血液学的検査薬等) 医薬部外品(うがい薬、殺虫剤、染毛剤、栄養ドリンク等) 化粧品(一般的な化粧品、シャンプー、スキンケア用品等) 医薬機器(ペースメーカー人工関節、超音波画像診断装置など) 再生医療等製品(心筋の細胞シート等) 出典:厚生労働省 もともと「薬事法」として施行されていた法律が平成26(2014)年の法改正により、その名称が現在の「薬機法」に変わりました。 品質や安全面を確保するべく「開発」「製造」「販売」「流通」「使用」に至るまで幅広く管理しています。 リスクの高さに応じて製品を扱うにあたって届け出が必要になるなど、消費者の安全面を考慮した仕組みが整っています。 医薬品や医療機器のみならず医薬部外品、化粧品なども含まれるため、多くの方が知っておくべき知識といえるでしょう。 また、エステや美容室が薬機法に直接的に対象になっているということはありませんが、提供するサービスや機器の内容によっては薬機法に関わってくる可能性があるので認識しておく必要があります。 マッサージに関するその他の法律 薬機法以外でマッサージに関して把握しておかないといけない法律が「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」です。それぞれの最初の文字をとって「あはき法」と呼ばれています。 マッサージをする際は対象者に指圧などを加えて行うため、時に痛みを伴うこともあります。対象者の危険を少なくするためにも厚生労働省は一定のハードルを設けています。この法律はあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師の資質の向上を目的としてつくられています。 第一条 医師以外の者で、あん摩、マツサージ若しくは指圧、はり又はきゆうを業としようとする者は、それぞれ、あん摩マツサージ指圧師免許、はり師免許又はきゆう師免許(以下免許という。)を受けなければならない。 出典:あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律 上記があはき法の原文ですが「免許が必要」ということもこのように法律で定められているので注意が必要です。これが前述の「マッサージの免許」にあたります。国家資格である「あん摩マッサージ指圧師」という資格を持つ方のみが「マッサージ」と呼べるものを提供できるということが分かります。 エステサロンや美容室で「マッサージ」は謳えない ここまでマッサージの定義や法律についてみてきましたが、エステサロンや美容室で考えてみましょう。エステサロンや美容室でリラクゼーションのようなサービスを提供することがあるかもしれません。 しかし「マッサージ」は「あん摩マッサージ指圧師」の国家資格の免許がないとそのように謡うことはできません。この点はエステや美容室の方はとくに注意すべきといえるでしょう。 マッサージ機器の広告における注意点 ここまで述べてきたマッサージ同様に「マッサージ機器」も注意が必要です。 マッサージ機器の場合も広告に関してなど法律の影響を確認しておくべきと言えます。機器のなかで「マッサージ効果」を謳っており、電動式のものは医療機器に該当してしまいます。 この場合は厚生労働省に扱う際に許可が必要で、許可なく取り扱うことができませんので注意です。電動式のものでなく、単なる突起物とみなされているもの(指圧代用器等)は下記の表現を広告で使っても大丈夫です。 医療用具に該当しないものとして取扱うこととすること (1) あんま、指圧の代用(読みかえはしない。) (2) 健康によい (3) 血行をよくする (4) 筋肉の疲れをとる (5) 筋肉のこりをほぐす (1) あんま、指圧の代用(読みかえはしない。) (2) 健康によい (3) 血行をよくする (4) 筋肉の疲れをとる (5) 筋肉のこりをほぐす (2) 健康によい (3) 血行をよくする (4) 筋肉の疲れをとる (5) 筋肉のこりをほぐす (1) あんま、指圧の代用(読みかえはしない。) (2) 健康によい (3) 血行をよくする (4) 筋肉の疲れをとる (5) 筋肉のこりをほぐす (1) あんま、指圧の代用(読みかえはしない。) (2) 健康によい (3) 血行をよくする (4) 筋肉の疲れをとる (5) 筋肉のこりをほぐす (1) あんま、指圧の代用(読みかえはしない。) (2) 健康によい (3) 血行をよくする (4) 筋肉の疲れをとる (5) 筋肉のこりをほぐす 出典:厚生労働省 このようにマッサージ機器を扱う場合は薬機法が関わってくるので広告に載せる文言なども注意しましょう。 まとめ 本記事ではマッサージがどのように法律に関わってるかを「薬機法」「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」などの面からまとめました。 内容を以下にまとめます。 マッサージは「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」で認められた国家資格である「あん摩マッサージ指圧師」のみが行うことができる。 エステサロンや美容室でも同様にマッサージは「あん摩マッサージ指圧師」のみが行える マッサージ機器も電動でマッサージ効果を謳ったものは薬機法により許可なく扱うことができない お客様のために良かれと思って提供している素敵なサービスや製品ですが、一歩間違えると法律に抵触してしまう危険も孕んでいます。法律を守ったうえで素敵なサービスを扱えるよう、ぜひ今回の内容を参考にしてください。
バクチオール化粧品の広告表現で気を付けることは?薬機法・景表法を解説
東洋医学で古くから利用されているバクチオールは、近年日本でも人気かつ話題となっている保湿成分です。 しかし、バクチオールが配合された化粧水やクリームの広告に過剰な効果効能表現を使用すると、薬機法や景表法に抵触する恐れがあるため、注意が必要です。 本記事では、バクチオール配合化粧品の広告表現において気を付けるべきポイントについてご紹介します。 レチノールの代替成分?「バクチオール」とは? マメ科の植物であるバブチから抽出される天然成分であるバクチオールは、インドやスリランカなどの地域で東洋医学として古くから使用されてきました。 バクチオールは、肌のターンオーバー(新陳代謝)をサポートし、肌荒れを防ぐ効果のある成分です。また、レチノール(ビタミンA)のよく似た効果が得られるため、レチノールの代替となる成分として期待されています。 バクチオールに期待される効果 バクチオールは肌に関する様々なトラブルの改善といった、レチノールとよく似た効果があることで知られています。 ここからは、バクチオールに期待されている効果についてご紹介します。 肌のターンオーバーを活性化させる バクチオールには、肌にハリを与える作用があると考えられています。 バクチオールはレチノールと同じく、肌のターンオーバーをサポートする働きを持っています。ターンオーバーが正常に行われると、肌を構成しているコラーゲンやヒアルロン酸などの代謝も活性化され、たるみや小じわの予防にも繋がっていきます。 また、バクチオールによってターンオーバーが活性化することで、シミの原因となるメラニンの排泄を促進し、新たなメラニンの生成を抑える効果も期待されています。 毛穴の炎症やニキビを鎮静化 バクチオールには抗炎症作用があるため、毛穴の炎症やニキビを沈静化する効果があるとされています。 毛穴に古い角質が詰まると、次第に炎症が発生してニキビなどの肌トラブルに繋がっていきます。 そのため、バクチオールは肌の炎症を抑えつつ、ターンオーバーを活性化させて毛穴の詰まりを解消する働きがあるのです。 バクチオールとレチノールの違い では、バクチオールとレチノールの違いはどこにあるのでしょうか。 両者の性質を比較してみると、バクチオールはレチノールよりも手軽に扱える成分といえるでしょう。 バクチオールは紫外線・熱・酸素に影響されない レチノールは、紫外線や熱、酸素に影響を受けやすいため、朝や日中のスキンケアに使用するとかえって日焼け対策が必要になるという面があります。 一方、バクチオールはこれらの影響を受けないため、朝のスキンケアにも安心して使用できるというメリットがあります。 また、バクチオールはビタミンCなど他の成分と併用しても問題なく、普段のスキンケアにプラスしても安心です。 バクチオールは肌への刺激が弱い レチノールは、高い効果が得られるものの刺激が強く、肌質が敏感な人は副作用が起こりやすくなるため注意が必要です。 一方、バクチオールは刺激が少ない成分であるため、肌質が敏感な人でも安心して使用できます。 ただし、バクチオールの副作用が全く起こらないという訳ではありません。使用方法はしっかり守り、肌に違和感があった場合は使用を中断することが大切です。 「バクチオール」の広告表現で気をつけること 様々な効果が期待されているバクチオールですが、バクチオール配合の化粧水や美容液の広告を作成する際には法律やガイドラインで適切とされる広告表現を行う必要があります。 化粧水や美容液、クリームは薬機法上「化粧品」に該当します。化粧品において認められている広告表現についてしっかり確認しておきましょう。 ここからは、バクチオール配合化粧品の広告表現で気を付けたいポイントについて解説します。 「治す」「改善」「活性化」等のワードは使用NG バクチオール配合化粧品の広告において、「肌荒れが治る」「肌質改善」「ターンオーバーの活性化」等の表示は禁止されています。 バクチオール配合化粧品はあくまで化粧品であり、医薬品ではありません。たとえ表示の内容が事実であったとしても、過剰な広告表現は不適切と判断されるため注意が必要です。 また、バクチオール配合化粧品の効能効果や安全性が確実に保証されているような広告表現も認められていません。 化粧品等の効能効果又は安全性について、具体的効能効果又は安全性を摘示して、それが確実である保証をするような表現をしてはならない。 例えば「これさえあれば」、「安全性は確認済み」、「赤ちゃんにも安心」等の表現を用い、性別、年齢等の如何を問わず効能効果が確実であること又は安全であることを保証するような表現は認められない。なお、効能効果又は安全性を保証する表現については、明示的、暗示的を問わず認められない。 出典:化粧品等の適正広告ガイドライン 化粧品に認められる効能効果には範囲が決められている バクチオールが配合された化粧品の広告を作成する際は、効能効果の表現が化粧品に認められている範囲内であるかどうか確認することが大切です。 化粧品の効能効果として広告することができる事項は、後記の〔表3〕化粧品の効能効果の 範囲に掲げる化粧品の効能の範囲とし、かつ当該製品について該当する効能の範囲とする。 出典:化粧品等の適正広告ガイドライン 効能範囲表のうち、肌や皮膚に関する事柄には次のようなものがあります。 肌を整える。 肌のキメを整える。 皮膚を健やかに保つ。 肌荒れを防ぐ。 肌をひきしめる。 皮膚にうるおいを与える。 皮膚の水分、油分を補い保つ。 皮膚の柔軟性を保つ。 皮膚を保護する。 皮膚の乾燥を防ぐ。 肌を柔らげる。 肌にはりを与える。 肌にツヤを与える。 肌を滑らかにする。 出典:化粧品等の適正広告ガイドライン なお、「補い保つ」の部分は「補う」や「保つ」と言い換えてもOKです。「皮膚」と「肌」と言い換えても広告表現として認められます。 化粧品広告では薬機法と景表法に注意 化粧品の広告において、過剰な効果効能表現を使うことは虚偽・誇大広告として薬機法違反にあたる恐れがあるため、注意が必要です。 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。 出典:薬機法第66条 また、過剰な効果効能を製品に表示することは、「優良誤認表示」として景表法違反に該当する場合があります。 優良誤認表示とは、実際の製品よりも著しく優良であると消費者に誤解を与える恐れのある広告表示のことを指しています。 (不当な表示の禁止) 第五条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。 一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの 出典:景表法第5条 まとめ バクチオールには、レチノールと同じく肌のターンオーバーをサポートし、肌荒れや乾燥を防ぐ効果が期待されています。 ただし、バクチオール配合化粧品の広告作成の際は、化粧品に認められている効能効果の範囲を超えないことが大切です。過剰な広告表現を表示すると、虚偽・誇大広告として薬機法に抵触する恐れがあるため十分に注意しましょう。 また、過剰な広告表示は優良誤認表示として景表法違反にも該当します。バクチオールが配合された化粧品であっても、効能効果の表現は化粧品として承認された範囲までのワードに留めておきましょう。
セラミド化粧品の広告表現で気を付けることは?薬機法・景表法を解説
コラーゲンやヒアルロン酸、プラセンタに次いで近年話題となっている保湿成分として、「セラミド」が挙げられます。セラミドは私たちの肌の角質層に存在し、肌のバリア機能や保湿機能に大きな影響を与えているのです。 しかし、セラミド配合化粧品には「肌のセラミドを広告表現において、「セラミドが増える」等の表現は薬機法や景表法に違反する恐れがあるため、注意が必要です。 本記事では、セラミド配合化粧品の広告表現について、薬機法や景表法上で気を付けるべきポイントについてご紹介します。 話題の成分「セラミド」とは? セラミドは肌の角質層に存在し、肌を紫外線や細菌、アレルギー源などの刺激から保護する機能を持つ成分です。 以前はコラーゲンやヒアルロン酸、プラセンタを使用した化粧品が人気でしたが、肌の保湿効果を保つ目的でセラミドを配合した化粧品も近年増えてきました。セラミドは、私たちの肌の「角質層」に存在しています。角質層の厚さは僅か0.02mm程ですが、セラミドの作用によって肌を外部刺激守る・肌の潤いをキープするという重要な役割を担っているのです。 セラミドは肌の角質層に存在する 私たちの肌は、表面から順に表皮層、真皮層、皮下組織の3層でできています。さらに、表皮層は、角質層、顆粒層、有棘層、基底層の4つの層で構成されているのです。 角質層にある細胞はブロックの様に並んでおり、細胞同士をしっかり固めている物質を細胞間脂質と呼びます。こうした細胞間脂質の主成分がセラミドであり、細胞間脂質の約50%を占めています。 細胞間脂質にあるセラミドは、加齢とともに減少しやすいとされています。そのため、私たちは年齢を重ねると肌の水分をキープする働きも弱くなっていき、肌が乾燥しやすくなるのです。 セラミド配合化粧品には、「肌のセラミドを増やす」は広告としてOK? セラミドが配合された化粧水やクリームを塗ることで、肌のセラミドが増えるといった表現はできません。そもそも、事実や実験データの有無に関わらず、体内部や細胞内のセラミド量の増減を化粧品で標榜することはできません。 したがって、セラミド配合化粧品の広告で、「塗ることで体内のセラミドを増やす」といった表現は不適切とされています。 「セラミド」の広告表現で気をつけること セラミド配合の化粧品において、「塗るだけでセラミドが増える」などの広告表現は化粧品に認められた効能効果を逸脱しているとされ、不適切とされています。 化粧品の広告表現に過剰な効果効能を標榜すると、その製品は化粧品ではなく「医薬品」と判断される可能性があります。さらに、「未承認の医薬品」とみなされてしまい薬機法における「未承認の医薬品広告の禁止」の違反となる場合もあるため注意が必要です。 何人も、医薬品若しくは医療機器又は再生医療等製品であつて、承認又は認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。 出典:薬機法第68条 また、「化粧品等の適正広告ガイドライン」において、化粧品の効果効能として認められている範囲が定められています。化粧品に認められていない範囲の過剰な効果効能を標榜すると、薬機法やガイドラインに違反する広告と判断されるため十分注意しましょう。 承認を要しない化粧品の効能効果についての表現は、厚生労働省医薬食品局長通知「化粧 品の効能の範囲の改正について」に定める範囲をこえてはならない。 出典:化粧品等の適正広告ガイドライン 化粧品の効能効果として広告することができる事項は、後記の〔表3〕化粧品の効能効果の 範囲に掲げる化粧品の効能の範囲とし、かつ当該製品について該当する効能の範囲とする。 出典:化粧品等の適正広告ガイドライン 化粧品で認められている効果効能の表現方法のうち、肌や皮膚に関するワードには次のようなものがあります。セラミド配合化粧品においても、これらの効果効能範囲を超えない広告表現を心がけましょう。 肌のキメを整える。 皮膚をすこやかに保つ。 肌荒れを防ぐ。 肌をひきしめる。 皮膚にうるおいを与える。 皮膚の水分、油分を補い保つ。 皮膚の柔軟性を保つ。 皮膚を保護する。 皮膚の乾燥を防ぐ。 肌を柔らげる。 出典:化粧品の効能効果の範囲 化粧品広告では薬機法と景表法に注意 薬機法において、化粧品は「身体を清潔にしたり、見た目を美しくしたりする目的で皮膚等に塗布等するもので、かつ作用が緩和なもの」と定められています。 この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌ぼうを変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。 ただし、これらの使用目的のほかに、第一項第二号又は第三号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除 出典:薬機法第2条 したがって、化粧品の広告表現においては「作用が緩和なもの」であることを標榜することが大切です。 例えば、セラミド配合化粧品の広告表現として「皮膚にうるおいを与える」といった内容は認められていますが、「皮膚のセラミドを活性化させる」「皮膚のセラミドが増える」といった内容は化粧品が人体に与える作用を超えていると判断されてしまいます。 また、セラミド配合化粧品での過剰な効能効果表現は、薬機法だけでなく景表法(景品表示法)違反にも該当するため注意が必要です。 景表法では、実際の商品よりも著しく優良であるといった広告表示は「優良誤認表示」として不適切であると定めています。なお、優良誤認表示は、故意に誤った内容を表示した訳ではない場合も該当することがあるため十分注意しましょう。 (不当な表示の禁止) 第五条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。 一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの 出典:景表法第4条 優良誤認表示が疑われると、該当する広告表示の裏付けとなる合理的な根拠を示した資料の提出を求められる場合があります。 資料を提出しない・提出した資料が根拠として不十分を判断された場合には罰則の対象となるため、広告作成の際には各法律やガイドラインをしっかり確認しておきましょう。 内閣総理大臣は、前項(第7条第1項)の規定による命令に関し、事業者がした表示が第5条第1号に該当するか否かを判断するため必要があると認めるときは、当該表示をした事業者に対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。この場合において、当該事業者が当該資料を提出しないときは、同項の規定の適用については、当該表示は同号に該当する表示とみなす。 出典:景表法第7条 まとめ セラミドは、肌の角質層に存在する成分で、紫外線や細菌などの刺激から肌を保護する・肌の潤いを保つ働きを担っています。 ただしセラミド配合化粧品は、あくまで肌の潤いをサポート製品であり、塗るだけで体内のセラミドが増える訳ではありません。 広告作成の際には、「肌のセラミドが増える」などの表現は使わないよう気を付けましょう。 化粧品は、私たちの日常生活に密接にかかわるものであり、身体に直接使用することがほとんどです。承認された範囲を超えた広告表現が化粧品に使われると、消費者に誤った認識を与えるだけでなく健康被害を引き起こす恐れもあるため注意が必要です。
「血液サラサラ」を広告で謳える?言い換え表現は?薬機法•景表法を解説
「血液サラサラ」は広告で謳えるのでしょうか。 食べすぎや飲みすぎによって血液の流れが悪くなると頼りたくなるのが、血液をサラサラにするサプリメントなどの健康食品です。 血液をサラサラにする成分としては、EPAやケルセチン、ナットウキナーゼなどが挙げられます。これらの成分が入った健康食品の広告を制作する際に、薬機法や景表法を頭に入れずに作ると、法律上の規制対象となる可能性があるので注意が必要です。 この記事では、「血液サラサラ」という表現に対する薬機法や景表法上の注意点について解説しています。「血液サラサラ」に関する健康食品や美容機器の広告における、違反例や言い換え例も合わせて紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。 広告表現では薬機法・景表法に注意 健康食品や美容機器などの広告を制作する際には、薬機法や景表法に注意する必要があります。1つずつ詳しく解説していきましょう。 薬機法とは 薬機法というのは、医薬品や化粧品などを規制する法律「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」のことを指します。薬機法の対象は、以下の通りです。 医薬品 医薬部外品 化粧品 医療機器 再生医療等製品 健康食品は薬機法の規制対象ではないのですが、健康食品で医薬品的な効果効能を表現してしまうと、医薬品とみなされて薬機法違反になる可能性があります。健康食品の広告では、効果・効能を謳わないようにしましょう。 同じように、化粧品と深く関わる美容機器・雑貨も薬機法の規制対象ではありません。しかし、医療機器的な効果を表現すると医療機器とみなされ、薬機法違反になる可能性があります。 効果・効能の表現の他に、身体の特定部位を示すことや、病名・病状を表示することも薬機法上の違反となるので注意が必要です。 健康食品などの広告で使用が認められている表現方法は、サポート表現や使用感の表現となっています。 景表法とは 健康食品の広告に関わってくる法律は、薬機法だけではありません。商品やサービス全般に関わってくる法律が「景表法」です。 景表法というのは、「不当景品類及び不当表示防止法」の略称です。商品やサービスの不当な広告を規制している法律で、健康食品や美容機器の表示も規制の対象となっています。 表示に含まれるのは、チラシやポスターだけでなく、パッケージやインターネット広告、訪問・電話販売など、商品やサービスに関わるもの全般です。 薬機法では、健康食品や微笑機器・雑貨は規制の対象にはなっていませんが、景表法では商品やサービスは全て対象になります。 景表法上で不当表示について記載されている部分は、以下の通りです。 (不当な表示の禁止) 第五条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。 一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの 二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの (不当景品類及び不当表示防止法) 消費者が他の商品・サービスよりも優良だと勘違いするような表示や、取引が有利になると勘違いする表示が禁止されています。 「血液サラサラ」は謳えない 「血液サラサラ」という表現は、身体を変化させる効果を示す表現なので、健康食品の広告では謳えません。 血液がサラサラになるという表現は、医薬品の抗血栓薬などに用いられる表現です。健康食品の広告で「血液サラサラ」を謳うと医薬品とみなされ、薬機法の規制対象となります。 しかし、健康食品では病気の治療は行うことができないので誇大広告に当たり、薬機法違反です。 (誇大広告等) 第六十六条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。 (医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律) 健康食品の広告では効果の表現は使用できませんが、機能性表示食品では、科学的根拠に基づいた機能性の表示が認められています。「血流を改善」など、健康食品の広告では使用できない文言が使用されているので、他のサプリメントの表現を参考にする場合には注意が必要です。 健康食品で使用が認められる表現 健康食品で使用が認められている表現は、サポート表現や使用感の表現です。血液がサラサラになる成分が入っているサプリメントや食品なら、以下のような表現が使用できます。 いきいきとした毎日をサポート スッキリと 軽やかに 健康食品での違反例、言い換え表現(参考) 「血液をサラサラにします」→「いきいきとした毎日を」 「玉ねぎエキスが血流を改善」→「玉ねぎでサラサラに」 「血圧を下げます」→「脂肪分の多い食事をする人に」 美容機器で使用が認められる表現 美容機器や健康機器でも、血行に関する表現は認められていません。 「家庭向け美容・健康関連機器 適正広告表示ガイド」では、以下の様に定められています。 「医薬品等適正広告基準」に基づいた医療機器的効果の表現はできない。 医師又は歯科医師の治療若しくは医薬品又は医療機器でなければ一般的に治癒が期待できない疾患について、美容・健康関連機器を使用することで改善等が期待できるような広告はしない。 【使用できない用語】 「腰痛が良くなる」「慢性病に効果がある」「疲れが取れる」「肩こりに良い」「癌に効果がある」「よく眠れる」「便秘に良い」「血行に良い」「血行が良くなる」「高血圧」「低血圧」「アトピー性皮膚炎」「痩せることができる」「脂肪が減る」「マッサージ効果がある」等々 (家庭向け美容・健康関連機器 適正広告表示ガイド) 身体を温めて血行を良くする美容機器などでも、効果・効能の表現は使用しないほうがよいでしょう。美容機器の広告では、以下のような使用感に関する表現が使用できます。 温かい 目元がスッキリ 美容機器、雑貨での違反例、言い換え表現(参考) 「血行が良くなる」→ぽかぽかとした 「痩せる」→すっきり まとめ 「血液サラサラ」という表現は、健康食品や美容機器の広告では謳えません。 身体を変化させる効果・効能を表現した場合、医薬品や医療機器の広告としてみなされ、薬機法で規制されます。 機能性表示食品で「血液サラサラ」と似たような表現をしている場合もありますが、機能性表示食品の場合は、承認された機能性を表示することは認められているので注意が必要です。 薬機法や景表法を守りながらも商品の魅力が消費者に十分伝わるように、広告表現を工夫しましょう。 ※違反事例、言い換え表現についてはあくまで参考として捉えてください。表現の違反等の判断については最新の情報を常にアップデートして頂くことが大切です。また、各都道府県の薬務課によって見解が異なりますので、ご理解頂きますよう宜しくお願い致します。