「CBD」化粧品を広告で表現するには?薬機法を解説
CBD(カンナビジオール)は、大麻草に含まれる成分の一つですが、現在日本国内での販売が認められています。 CBDには沈静化作用やストレスの緩和作用などが期待されており、最近ではCBDが含まれるオイルなどの「CBD化粧品」が販売されるようになりました。ただ、CBD化粧品は国内で販売されてから日が浅いため、広告表現が薬機法に違反しないよう十分に気を付けなければなりません。 本記事では、最近日本でも注目されているCBD化粧品について、薬機法に違反しない広告表現をご紹介します。 CBDとは CBD(カンナビジオール)とは、大麻草に含まれる成分の一つです。日本では大麻そのものの販売や購入は大麻取締法にて違法とされていますが、大麻草の茎や種子から抽出される成分については日本の法律で規制されていません。つまり、CBDは日本国内での販売や購入が認められているのです。 第一条 この法律で「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。 第三条 大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない。 (大麻取締法法第1条・第3条より引用) CBDとTHCの違い CBD(カンナビジオール)と同じく大麻草に含まれる成分として、THC(テトラヒドロカンナビジオール)が挙げられます。 CBDとTHCは同じ化学式をもっていますが、原子配置が異なるためそれぞれの構造は違っています。そのため、摂取した際の身体への影響も大きな違いをもっています。 THCは俗に言う「ハイになる」ような精神活性作用があり、マリファナの原料としても知られています。そのため、日本を始め数多くの国で規制の対象となっているのです。 一方、CBDはTHCのような精神活性作用はないと考えられており、日本でも規制の対象ではありません。 WHO (世界保健機構) においてもCBDに乱用の可能性や個人・公衆衛生上での悪影響が確認されていないとの見解を発表しています。ただし、この見解は「絶対に安全である」と保障しているという意味ではありません。そのため、CBDを使用する際は、用法用量を守ることが非常に重要です。 CBDに期待される効果 CBDを摂取することで得られる最も主な効果として、心身のリラックス効果です。特に、日常生活におけるストレスの解消に効果的といわれています。 また、不安障害・うつ・パニック障害など精神的にトラブルを抱えた状態でも、CBDが有効とされています。 これに加えて、CBDは次のような症状の緩和や身体の痛み、かゆみを抑える効果も示唆されています。 関節炎、リウマチ ニキビ、皮膚炎 高血圧 動脈硬化 CBD化粧品と薬機法 CBDを使った製品には、オイルやリップクリームなどの化粧品として販売されているものが多くあります。しかし、CBD化粧品は販売されてからまだ日が浅いため、広告表現が薬機法に抵触しないよう十分な注意が必要です。 薬機法の広告規制の中で、CBD化粧品に最も大きく関わるものは、「その製品が承認・認証を受けていない内容の効能効果を表示してはならない」という部分です。 (承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止) 第六十八条 何人も、医薬品若しくは医療機器又は再生医療等製品であつて、承認認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。 (薬機法第68条より引用) 化粧品などの製品には、承認を受けた効能効果の範囲が定められています。 そのため、広告表現についても承認を受けた効能効果の範囲内に限られているのです。 CBD化粧品広告に使用NGとなる表現 CBD化粧品の広告において不適切となる表現には、どのようなものがあるのでしょうか。 化粧品において、医薬品と同じような効能効果があるような広告表現は認められません。医薬品と同じような効能効果とは、次のような内容が該当します。 病気や症状の改善や予防の効果といった表現 身体の機能に対して影響があるといった表現 例えば、CBD化粧品にストレス解消や睡眠改善の効果があるといった広告表現は、身体の機能に対して影響があるといった内容にあたるため、薬機法違反となる可能性があります。 (8)本来の効能効果等と認められない表現の禁止 医薬品等の効能効果等について本来の効能効果等とは認められない効能効果等を表現することにより、その効能効果等を誤認させるおそれのある広告を行ってはならない。 (医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等についてより引用) また、「肌荒れやニキビに効く」といった広告表現も、肌の疾患の治療効果や肌質改善といった身体の機能への影響を示しているため、同じく薬機法違反となる可能性が高いと考えられています。 ただし、「肌を整える」「肌にうるおいを与える」といった効能効果は化粧品に対して承認されている効能効果の範囲内であるため、広告へ記載しても問題ありません。詳しくは、厚生労働省が定めている「化粧品の効能効果の範囲について」をチェックしてみてください。 (1)化粧品の効能効果について 化粧品の効能効果として広告することができる事項は、後記(2)の表に掲げる効能効果の範囲とする。 なお、数種の化粧品を同一の広告文で広告する場合は、それぞれの化粧品の効能効果の範囲を逸脱しないように注意すること。 (化粧品の効能の範囲の改正についてより引用) なお、数種の化粧品を同一の広告文で広告する場合は、それぞれの化粧品の効能効果の範囲を逸脱しないように注意すること。(化粧品の効能の範囲の改正についてより引用) 例えば、ニキビや肌荒れに関する効能効果として、次のような表現が認められています。 (洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。 肌を整える。 肌のキメを整える。 皮膚をすこやかに保つ。 肌荒れを防ぐ。 肌をひきしめる。 皮膚にうるおいを与える。 皮膚の水分、油分を補い保つ。 皮膚の柔軟性を保つ。 皮膚を保護する。 (化粧品の効能の範囲の改正についてより引用) 「副作用はありません」は虚偽・誇大広告に該当する CBD化粧品だけでなく、全ての化粧品において「副作用はありません」という広告表現は、「虚偽・誇大広告」として薬機法違反にあたります。 (誇大広告等) 第六十六条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。 (薬機法第66条より引用) また、医薬品等適正広告基準においても、安全性を保証するような表現として不適切とされるため、注意が必要です。 (8)副作用等の表現について 「副作用が少ない」、「比較的安心して・・・」、「刺激が少ない」等の表現は安全性について誤認させるおそれがあるため、使用しないこと。ただし、低刺激性等が立証されており安全性を強調しない場合及び「眠くなりにくい」と表現することは、その製剤として科学的根拠があり安全性の保証につながらない場合に限り認められるが、本基準第4の9「他社の製品の誹謗広告の制限」に抵触しないように注意すること。 (医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等についてより引用) まとめ CBD とTHCは、どちらも大麻草に含まれる成分ですが、精神活性作用のないCBDに関しては日本国内での販売や購入が認められています。 CBDを配合した化粧品は、販売されてから日が浅く、CBDに期待されるような効能効果がまだ承認を受けていないのが現状です。 CBD化粧品の販売や広告制作の際は、薬機法をはじめとする各法律に関する知識を持った専門家のサポートを受けることが望ましいでしょう。
化粧品・健康食品に関する薬機法 広告と論文・研究結果の掲載について
研究に研究を重ね、ついに販売することになった健康食品や化粧品。 お客さまにお伝えしたい商品の「良さ」や「こだわり」はたくさんあることと思います。 広告を作成するとき、お客さまに納得して買っていただきたいという思いから、外部機関との共同研究、商品を使った臨床試験、学会で発表した論文等を、チラシやウェブサイトに掲載したいと考えるかもしれません。しかし、広告には、薬機法・景品表示法・健康増進法に基づいたルールがあります。 今回は、健康食品・化粧品の効能効果や安全性に関する表現方法についてまとめました。 健康食品の虚偽誇大表示 保健機能食品か一般食品かにかかわらず、健康食品の広告は、虚偽誇大表示に注意する必要があります。虚偽誇大表示の規制概要について、一般消費者が当該表示を見たときに持つ印象や期待感と実際の健康保持効果との相違が許容される限度を超えている場合に、虚偽誇大表示等に該当することになります(健康増進法)。具体的にどのような表示が虚偽誇大表示等に該当するかは、消費者庁による「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(以下「健康食品ガイドライン」)を参考にするとよいでしょう。 健康食品ガイドラインによると健康保持増進効果等に関して事実に相違する表示・人を誤認させる表示は虚偽誇大表示に該当する可能性があると言えます。 事実に相違する表示とは、たとえば根拠がないのに「3ヶ月で10キロやせることが実証されています」と表示したり、体験者の体験談をねつ造したりすることなどがあげられます。 試験結果やグラフの使用方法が不適切な表示 広告や包装容器などにおいて試験結果やグラフを使用すること自体が、虚偽誇大広告にあたるものではありません。 しかし、人を誤認させる表示をしてしまうと虚偽誇大表示等に該当するおそれがあります。 次に具体例を挙げます。 実際には、試験対象者が BMI の数値が25以上のものに限定されているにも関わらず、当該試験条件を明瞭に表示しないことにより、標準的な体型のものにも同様の効果があるかのように表示するなど、試験条件(対象者、人数、摂取方法)を適切に表示しない場合 試験結果を示すグラフにグラフを極端にトリミング(スケール調整)をすることにより、実際の研究結果よりも過大な効果があるかのように表示すること。 実際には、複数の試験結果があるにも関わらず、有意差の大きい試験結果のみを広告等において表示することにより、全ての試験結果において有意差のある結果が得られたかのように表示すること 参考:健康食品の基礎知識「科学的な根拠のある情報とは?」 ほかにも、運動や食事制限をすることなく短期間で容易に痩身効果が得られるかのような表示や、根拠がないにもかかわらず品質に「最高級」や「日本一」などという言葉が使われている表示なども、虚偽誇大表示に該当します。 健康食品の広告における科学的根拠とは 特許番号 特許番号は科学的根拠にはなりません。特許とは、前例のない技術、発明、アイデアなどに対して政府が一定期間の独占権を保証するものです。 科学的な発明に対して特許が与えられることはありますが、特許をとっていることが科学的であることの証明にはなりません。 研究者の発言 「専門家が言っていた」ことは科学的な裏付けにはなりません。なぜなら、1人の専門家が言っているだけかもしません。 通常「科学的根拠」とされる情報は、学術論文としてすでに発表されているものになります。 専門誌に掲載済の学術論文 信頼のおける情報ではありますが、それは「現時点での評価」にすぎません。今後研究が進めば、現時点での論文とは異なる見解の内容に変わることもあります。近年では技術の進歩により、実験法などが改良されるスピードも早くなり、新しい研究結果が蓄積されています。 科学的根拠の信頼性を保つためには、常に新しい情報をチェックする必要があります。 参考:健康食品の基礎知識「科学的な根拠のある情報とは?」 化粧品の広告 化粧品の広告においては、薬機法や医薬品等適正広告基準により、効能効果について記載できる表現が56項目と決められています。 では、決められている56項目さえ守っていれば問題ないのかというと、答えは、ノーです。 認められた効能効果なのですが、その記載のしかたについても注意していく必要があります。 また、化粧品の製造販売会社は安全性について厳しくチェックしており、安全性を消費者に強く訴求していきたいところですが、「安心・安全」などの言葉は消費者に誤解を与えやすいので制限されています。 効果効能を保証するような表現は原則禁止 化粧品の広告において56項目の効能効果について記載する場合、その効果が出ることを保証するような表現は認められていません。 また、その化粧品が安全であることを保証する表現も認められていません。 (5)効能効果等又は安全性を保証する表現の禁止 医薬品等の効能効果又は安全性について、具体的効能効果等又は安全性を摘示して、それが確実である保証をするような表現はしないものとする。 出典:医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について 化粧品広告において、効能効果等又は安全性を保証する表現は、原則禁止とされています。 つまり、原則禁止ということは例外もあるのです。 禁止される具体例 では、具体的にどのような表現が禁止されるか見ていきます。 化粧品の一般的な表現の場合、性別や年齢、その他の条件を問わず、効能効果が確実であること又は安全であることを保証するような次の表現は認められません。 一般的な表現 安全性は確認済みです 安全性の高い商品です 自信をもっておすすめします よく効きます 安心してお使いください これさえあれば肌の悩みを解決できます データや実験例の表示 化粧品の開発においては、実験を繰り返すことで膨大な臨床データを取っていることが多いです。 しかし、データや実験例については、たとえ事実であっても広告表現としては認められません。 臨床データや実験例の使用 臨床データ等の例示について 一般向けの広告にあっては、臨床データや実験例等を例示することは消費者に対して説明不足となり、かえって効能効果等又は安全性について誤解を与えるおそれがあるため原則として行わないこと。 出典:医薬品等適正広告基準 具体的には次のような、記載方法が禁止されます。 臨床データによって、100人中97人の肌荒れが改善されました。 データや実験例は、ある一定の条件下での数字に過ぎないので、購入した消費者が同じ結果が出るとは限りません。消費者にとっては、効果が出るものだと誤認するおそれがあります。そのため、様々な臨床データやテスト結果があったとしても表記はせずに、臨床試験をした事実の表示で止めておきましょう。 ここで、化粧品の開発には、広告表現で記載する効能効果のデータを用意する必要があります。 この資料がないと、たとえ認められた56の効能効果の範囲内で薬機法的には問題がない場合でも、景品表示法の優良誤認として不当表示となるおそれがあります。 まとめ 健康食品や化粧品の広告は、各法律で効能効果や安全性について表現を細かく制限しています。 広告が問題となったら販売会社への信用問題となり、会社はイメージダウンするだけでなく、売上にも影響が出てきます。また、信頼回復にはかなりの時間と労力を費やすことになってしまいます。消費者に商品の魅力を存分に伝えながら誤解を与えない適切な薬事広告を作成していきたいものですね。
サロン広告で気を付けるべきあはき法とは?事例と併せて解説
あはき法は、昭和22年に制定されました。 あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律のことです。 あん摩マッサージ指圧師 はり師 きゅう師 これらの頭文字からそう呼ばれており、医師以外が施術する場合、それぞれ免許が必要であるというものです。 マッサージは医療行為に類似するため、施術する者は国家資格が必要になります。 サロン広告で気を付けるあはき法 マッサージという言葉はよく使いますが、広告宣伝する場合、国家資格を持つ者しか公言できません。 リンパマッサージ師やセラピストなど、エステサロン等の施術者は民間資格となります。 セラピストは人の健康に害を及ぼすことがないという前提で、法律で規制される職業ではなく、自由業という分類になっています。 医師ではないこと 治療を行う病院ではないこと 医療行為ではないこと このポイントを忘れないことが重要です。マッサージと謳える者はあん摩マッサージ指圧師の資格者です。 整体やエステサロン等は国家資格は必要ないので、接骨やマッサージと広告することはできません。もみほぐしやボディケア、トリートメント、メンテナンス、リラクゼーションなどの表現が使われていますね。 「〇〇に効く」や「〇〇が改善する」といった治療のような目的で広告することは認められませんので、施術内容と一般の生活者の認知に齟齬がないよう考えましょう。 あはき法の違反事例 マッサージと広告宣伝しているエステサロンで、施術者が無免許で摘発される事例は少なくありません。 電気治療など、医療行為にあたる施術を医師免許がない者が行うことは違反です。利用者が健康被害を訴えた場合、業務上過失傷害の罪を負うことにもなりかねません。 2012年5月に大規模な違反で逮捕された事例を紹介します。 2004年に開店したエステサロンは、脱毛界の神様と呼ばれ、売り上げは10億に上っていました。全国で17店舗展開し、エステサロンの会長とその甥は医師でしたが、光線を使って毛乳頭を破滅する脱毛を施術していたのは医師免許のない従業員でした。東京豊島区の会長の医師、甥にあたる医師、そして従業員6名が逮捕される事件になりました。 ポイントは施術の内容にあります。 医療行為に当たる「毛乳頭を破滅する脱毛」の施術は医師免許を持つ者、または医師の指導のもとで正看護師のみとなります。このように施術者と内容のガイドラインによく注意する必要がありますね。 ではここで、エステサロンの広告表現に関する法律をまとめてみます。 医師法 あはき法 薬機法 景品表示法 医師法、あはき法に関しては上で述べたように、医療行為にあたる施術は医師、マッサージ等は医師のほかあん摩マッサージ指圧師の国家資格を有する者しか認められないというものです。 薬機法は、サロンで使用する美容機器や化粧品についての広告表現に関わってきます。治療のような医療機器的な表現、効果効能は認められません。 施術の効果としては、化粧品の効果効能の範囲内となります。 サロンで販売する美容機器、化粧品、健康食品の扱いにも注意しましょう。景品表示法は、一般の生活者に合理的な根拠を実証できるかがポイントになってきます。 まず優良誤認表示について 体験談やレビューの内容だとしても、施術のみで効果が出たという表現は誤認になります。広告表現に使用できるものは、客観的に実証されている内容であることを頭に入れておきましょう。 優良誤認の違反事例をみてみます。 平成28年6月、小顔サービスを提供していた事業者に措置命令が出されました。この事業者は独自の小顔矯正法により、1回の施術で顔幅を縮めることや何回も通う必要はなく、アフターケアとして2~3回で固定するなどと表示していました。 1回で小顔になり、それが持続するという広告表現は合理的根拠に基づかないと判断され、消費者庁から勧告を受けました。独自の小顔サービスに関しても注意が必要です。 整体やエステサロンにおいて、骨を動かす、骨格を変える、マッサージなど合理的な根拠が認められない表示をすることは、医師法と景表法(優良誤認)に抵触する可能性があります。施術が医療行為の範囲にあたる内容の場合は、法的な条件を満たす必要がありますので、よく確認しましょう。違反することがないようにしてください。 最後に有利誤認表示について これは主に価格表現に関することです。 よく目にする二重価格ですが、通常〇〇円や定価〇〇円のところ「今だけ○○%OFF」や「今だけ〇〇円」としている表示には注意です。この表現は、一定期間の販売実績がないと表示可能にはなりません。消費者庁の定める「価格表示ガイドライン」を遵守しましょう。 二重価格表示 | 消費者庁 (caa.go.jp) 出典:消費者庁ホームページ 補足ですが、過去の販売価格を比較対照価格とする場合、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とされています。 一般的に最近とは8週間、相当期間とは過半期間を指すので4週間となります。セール開始日から遡ってこの期間の価格を参考にしてください。 「期間限定」キャンペーンを何度も実施したり、延長したりする「期間限定」キャンペーンを期間を書き換えて継続する こういった表示は違反になりますので気を付けてください。 最後に、返金保証サービスを実施する場合の注意点があります。 「ご満足いただけなければ全額返金」などと広告表示する際は、返金に応じる条件について明記する必要があります。ここでいう満足という表現は、効果効能ではなく使用感のことを指します。 まず、「効果がなければ返金」など医療行為を暗示させる表現でないことを確認します。そして返金対応が、どういった条件のもと実施されるかという内容を必ず掲載してください。無条件で返金されるという誤認につながる場合、有利誤認表示となってしまいます。〇日間以内など、具体的な内容や範囲の情報が必要です。返金保証サービスの表示とかけ離れた位置に掲載したり、小さく見えにくい大きさでの表示も誤認につながる可能性がありますので気を付けましょう。 まとめ これまで、サロン広告において気を付けたいことについて述べました。 国家資格でなく民間資格で開業される方や、サロンの広告宣伝を行う場合、医師法やあはき法という法律が関わってくることを忘れないでおきましょう。広告としてマッサージと公言することは避けましょう。 また、サロンの施術内容が医療行為、治療にあたると誤認されないように注意しましょう。効果効能については、化粧品の範囲内を参考にしてください。 サロン広告に関わる法律は以下4つあります。 医師法 あはき法 薬機法 景品表示法 サロンで扱う健康食品、化粧品、美容機器は、医薬品や医療機器と誤認されないように紹介しましょう。他社サービスと差別化するような誇張した表現には注意してください。体験談であっても、合理的根拠が認められる内容でなくてはなりません。 最後に、販売価格は消費者庁の「価格表示ガイドライン」を必ずチェックしてください。 期間限定価格やキャンペーンは、セール開始日以前の8週間のうち、4週間以上販売していた価格が比較対照価格となります。 今だけお得という広告を行う頻度や期間も注意する必要がありますので、開催時期や価格は記録しておきましょう。 返金保証キャンペーンを実施する場合は、返金に応じる具体的な条件もあわせて明記してください。
教育用資料・社内資料にも薬機法は適用される?
お客様やクライアントに見せる資料やチラシでは、薬機法に引っかかる言葉を使用できないですよね。では、社内資料や販売員向けの教育資料には薬機法は適応されるのでしょうか? 結論から言うと、教育資料や社内資料において薬機法でNGとなっている表現は使用してOKです。 この記事では、教育資料や社内資料のどの場合に表現がOKになり、どのような場合にNGになるのかを解説していきます。 社内資料や教育用資料が広告であるかどうか確認する 薬機法が適応されるかどうかは、対象となる媒体が「広告」とみなされるかそうでないかで決まります。 薬機法における「広告」の定義は以下の通りです。使用する資料が広告に当てはまるか事前に確認しておきましょう。 薬機法における広告の定義 1.顧客を誘引(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確である 2.特定医薬品等の商品名が明らかにされていること 3.一般人が認知できる状態であること 薬機法における広告と「みなされる」もの 1.その物の容器、包装、添付文書等の表示物 2.その物のチラシ、パンフレット等 3.テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネット等によるそのものの広告 4.その物と関連した小冊子や書籍等を一緒に取り扱う(同一売り場等) 5.新聞、雑誌等の記事の切り抜き、書籍、学術論文等の抜粋 6.代理店、販売店に教育用として配布される商品説明(関連)資料 7.使用経験者の感想文、体験談など 8.店内及び車内等におけるつるし広告 9.店頭、訪問先、説明会、相談会、キャッチセールス等においてスライド、ビデオ等又は口 頭で行われる演術等 1~9のように、薬機法に広告として「みなされる」ものは無数にあります。 目当ての商品の容器、パッケージ、中に入ってる説明書きはもちろん、ネットの口コミや百貨店の化粧品売り場のビューティーアドバイザーの売り文句も、薬機法においては全て広告とみなされてしまいます。 5と6にもあるように、雑誌や論文の切り抜きも広告とみなされてしまうため注意してください。 引用:薬事法コピーライティングならB&H Promoter’sへ 広告扱いになる社内資料・教育資料 社内資料や教育資料ではどのようなものが広告とみなされるのか、解説します。 新人教育に使用する資料 化粧品メーカーや、美容関連企業において新人教育に使用するマニュアルや資料には、肌の基礎的な知識や主力商品等の詳細なデータが掲載されています。その企業が独自開発した美容成分の処方技術や効果効能も詳細に掲載されています。これらの資料は薬機法においては広告扱いとなります。 商品のパンフレット 商品に配合されている成分が載っていたり、モニターの使用経験等や詳しい成分の効果効能が掲載されています。当然使用後のビフォーアフターなども載っています。このようなパンフレットは基本的には「社外秘」扱いとなっているので、外部に公開することはほとんどないですが、薬機法においては広告扱いとなります。 社員やスタッフが作成した商品等のチラシや資料 研修等で頻繁に共有される資料に、より消費者に分かりやすく商品の魅力を伝えるために店頭のスタッフがオリジナルで作成した資料やチラシがあります。この資料も広告扱いとなるため、薬機法に適応させたくない場合は社内でのみ閲覧や活用が可能です。 主にこの3つが広告とみなされる社内資料となります。この3つを店頭で消費者に分かりやすい資料として取り扱っている場合は、薬機法違反となりますので一度店頭のディプレイなどを確認してみてください。 教育資料や社内資料で薬機法に準じた表現が必要となる場合 では、どのような場合に薬機法に淳下表現が必要とされるのでしょうか。必要となる場面を解説します。 社外秘のチラシや資料を他社相手に使用する 社内用や教育用の資料であっても他社のクライアントや社員に見せる機会がある時です。大手の美容関連企業は、記者会見の場が多くありますがこのような場合も薬機法が適応されるので、薬機法に準じた資料を使用する必要があります。 例えば、「化粧水Aには、独自開発した成分Rが配合されています。この成分Rは、線維芽細胞を活性化し、コラーゲン生成を促進します。」という文言があったとします。これを研修用や社内のプレゼン用使用として発表するだけであれば、薬機法の適応外です。 社外秘の資料を店頭で使用する 教育用の資料やパンフレットは、薬機法適応外なので成分の効果効能が詳細に記載されています。ビフォーアフターが掲載されていることも多いでしょう。しかし、これらを顧客に見せることは薬機法違反となります。 社員が独自に作成したチラシ等を店頭で消費者に配る 百貨店の化粧品フロアでは見かけることは少ないですが、街のエステサロンや美容院でよく見るのが、スタッフがオリジナルで作成したチラシを店頭に貼り付けて使用している場面です。 消費者向けに作成している時点で、薬機法では広告扱いになり薬機法に準じた文言の表現を行わなければなりません。雑誌の切り抜きを貼り合わせて作成している場合も同様です。 口頭で社外秘の資料やチラシの内容を伝える チラシや資料など、媒体として残るもの以外も薬機法に準じた表現が必要となります。 特に、百貨店や専門店の販売員は売上を上げるために、薬機法の範疇を超えた売り文句を使いがちなので、注意しましょう。 先ほどの例文で考えてみると、「化粧水Aには、独自開発した成分Rが配合されています。この成分Rは、線維芽細胞を活性化し、コラーゲン生成を促進します。コラーゲンは肌のハリのもととなる成分なので、この化粧水はとってもハリが出るんです。」といったように、店頭で売り文句として提案すると薬機法に適応します。 教育資料や社内資料で薬機法に準じた表現をする必要がない場合 では、今度は社内資料に薬機法場に準じた表現をする必要がない場面を解説します。 社員の教育にのみ使用する 新人研修、定期研修という目的のみに社内資料や商品ガイドを使用する場合は、薬機法の適応から外れます。特に新商品など、社でも大きなプロジェクトになると商品ガイドも量が多いはずです。ビフォーアフターなども多く掲載されていますが、社員が研修内で使用するだけなら薬機法は適応されません。 社内プレゼンでのみ使用する 商品企画など、社員のみの会議やプレゼンのときも薬機法は適応されません。資料を作成するときも、薬機法を無視した表現をしても問題ありませんし、プレゼン中も薬機法を無視した表現で言葉を発しても、薬機法違反にはなりません。 社内資料を社員のみが閲覧したり活用したりする 商品ガイドやパンフレットは店頭に配布されている電子タブレットや、紙媒体で納品されてきます。それらの資料を第三者に見せることなく、社員のみが閲覧した場合も薬機法の適応外になります。 社内資料や教育資料と消費者向け媒体は分けて作成しよう 社内資料や教育用の資料は、薬機法において広告扱いとなることがわかりました。 社内でのみ使用する場合は、薬機法に当てはまりませんが消費者や他社の社員に見せる場合は薬機法に準じた表現が必要となります。 最近ではインターネット上の薬機法に準じた表現の遵守も話題となってきており、ますます注目が集まっている法律です。 正しく商品を販売するためにもしっかり薬機法を理解し、正しい表現方法を身につけましょう。
「物忘れ」を広告で謳える?言い換え表現は?薬機法•景表法を解説
将来に向けて、物忘れや認知機能の低下はなるべく予防しておきたいものです。 最近では、記憶力や認知力に作用する医薬品が発売されていますが、化粧品や健康食品、美容機器でこれらの広告表示を行うことは薬機法や景表法に違反してしまいます。 物忘れの治療や認知症の予防などの広告表現は、その製品に医薬品的な効果効能が得られるかのような広告表示に該当します。 本記事では、物忘れについての広告表現と薬機法・景表法の関わりや、言い換え表現についてご紹介します。広告制作に関わる方は、薬機法や景表法について事前にしっかりチェックしておきましょう。 化粧品、健康食品、美容機器が「物忘れに効く」広告表現は薬機法違反 サプリメントなどの健康食品の広告において、使用するだけで物忘れが改善するような表示を行うと、「未承認の医薬品広告」を標榜しているとして薬機法違反となります。 (承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止) 第六十八条 何人も、医薬品若しくは医療機器又は再生医療等製品であつて、承認認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。 (薬機法第68条より引用) 「物忘れに効く」は優良誤認表示に該当する可能性も また、これらの広告表示は優良誤認表示として景表法違反にも該当します。 優良誤認表示とは、商品の効能効果について著しく優良であると消費者が誤解する恐れのある広告表示を指しています。 (不当な表示の禁止) 第五条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。 一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの (景表法第5条より引用) 過去には健康食品の広告にこれらの効果があるとした表現を使用していたとして、消費者庁による改善指導を受けた事例が報告されています。 「物忘れに効く」と暗示させる画像も使用NG 広告規制の対象となるのは、広告に記載するワードだけではありません。 広告に使用する写真やイラストなどの画像も薬機法や景表法に抵触していないか注意が必要です。 広告に使われる画像は、細かい文字が読みづらいシニア世代には特に影響度の高い情報です。何かが思い出せなくて首をかしげているような画像は、物忘れの症状を暗示していると判断される可能性があります。 消費者の不安を煽るようなネガティブな画像は、過剰な表現とみなされるリスクも高くなります。広告に使う画像は、元気でハツラツとしているなど、ポジティブな表情のものを選びましょう。 化粧品での違反事例 化粧品広告での使用がNGとなる内容には次のようなものがあります。 治療表現(改善、治る、治療) 承認されていない効能効果(物忘れが改善する、記憶力が良くなる) 症状や病名の記載(物忘れ、認知症、ボケ) 不安を煽る表現(病気の信号ですよ、このままでいいの?) 安全性の保証(安心安全、100%、副作用の心配なく) 最大級表現(最高、最大、抜群、無類) 有名人や専門家が推薦しているとした表現(医師の推薦、芸能人もおすすめ) 他社を誹謗中傷するような内容(○○社製品にはない、これまでにない) 化粧品広告での使用が認められる表現 化粧品広告に使用が認められる効能効果は、原則として「化粧品等の適正広告ガイドライン」で定められた56項目に限られています。 また、使用感の表現(しっとり、サラサラ)はOKとなります。 化粧品広告での言い換え表現(参考) 化粧品広告で物忘れについて表現する際に認められている言い換え表現をまとめました。これらの表現例を化粧品の広告を作成する際に参考にしてみてください。 物忘れに関する表現を言い換えたい時の具体例 NG:物忘れが治ります OK:知的な毎日を送りたい方に NG:認知症予防に OK:歳を重ねても知的でありたい方に 健康食品での違反事例 健康食品広告での使用がNGとなる内容には次のようなものがあります。 医薬品的な効果効能があるような表現(改善、再生、治療) 身体機能の変化についての表現(知的健康、認知力、記憶力) 特定部位を表す表現(脳、認知機能、自律神経) 症状や病名の記載(物忘れ、認知症、更年期障害) 用法用量の指定(就寝前に、1日1回飲むだけ) 不安を煽る表現(病気の信号ですよ、このままでいいの?) 安全性の保証(安心安全、問題なし、副作用の心配なく) その製品を使うだけで良いといった表現(病院いらず、何もしなくても) 最大級表現(最高、最大、世界初) 有名人や専門家が推薦しているとした表現(医師の推薦、芸能人がおすすめ) 他社を誹謗中傷するような内容(○○社製品にはない、これまでにない) 健康食品広告での使用が認められる表現 健康食品の広告での使用がOKとなっている表現には次のようなものがあります。 サポート表現(健康維持のために、美容のために) 使用感の表現(もちもち、ふわふわ、食感が良い) 使用には注意が必要となる表現 身体の部位を表すワードに合わせての使用はNGです。 若々しさをケア 知的に健康対策 うっかりが気にならなくなった 健康食品広告での言い換え表現例(参考) 健康食品広告で物忘れについて表現する際に認められている言い換え表現をまとめました。 これらの表現例を健康食品の広告を作成する際に参考にしてみてください。 物忘れに関する表現を言い換えたい時の具体例 NG:物忘れが改善 OK:若々しさをケア NG:記憶力を高める OK:知的な毎日を送りたい方に 美容機器、雑貨での違反事例 美容機器や雑貨広告での使用がNGとなる内容には次のようなものがあります。 医薬品的な効果効能があるような表現(改善、再生、治療) 身体機能の変化についての表現(知的健康、記憶力、認知力) 特定部位を表す表現(脳、認知機能、自律神経) 症状や病名の記載(物忘れ、認知症、ボケ) 用法用量の指定(就寝前にお使いください、1日1回必ずご使用ください) 不安を煽る表現(このままでいいの?、病気の信号ですよ) 安全性の保証(安心安全、大丈夫、副作用の心配なし) その製品を使うだけで良いといった表現(使うだけで、病院いらず) 最大級表現(最高、最大、最高峰、ナンバーワン) 有名人や専門家が推薦しているとした表現(医師推薦、芸能人がおすすめ) 他社を誹謗中傷するような内容(○○社製品よりも優れて、これまでにない) 美容機器広告での使用が認められる表現 美容機器や雑貨の広告での使用がOKとなっている表現には次のようなものがあります。 サポート表現(健康維持のために、美容のために) 使用感の表現(軽い、使いやすい、持ち運びに便利) 使用には注意が必要となる表現 身体の部位を表すワードに合わせての使用はNGです。 歳を重ねても知的でありたい方に うっかりが気になる方に 美容機器、雑貨の広告での言い換え表現(参考) 美容機器、雑貨などの広告で物忘れについて表現する際に認められている言い換え表現をまとめました。これらの表現例を健康食品の広告を作成する際に参考にしてみてください。 物忘れに関する表現を言い換えたい時の具体例 NG:物忘れが治る OK:歳を重ねても知的でありたい方に NG:認知症の予防に OK:知的な毎日を送りたい方に まとめ 認知や記憶といったワードは、認知機能という身体機能を変化させる効果を暗示させると考えられます。こうした表現は承認されている範囲を超えた効能効果や医薬品と同じような効能効果に該当するため、控えた方が無難です。 また、実際の商品より著しく優良であるかのような広告表示は優良誤認表示として景表法違反にあたります。優良誤認表示は消費者との大きなトラブルに繋がりやすいため、広告制作の際は十分に気を付けましょう。 ※違反事例、言い換え表現についてはあくまで参考として捉えてください。表現の違反等の判断については各都道府県の薬務課によって見解が異なりますので、ご理解頂きますようお願いいたします。
化粧品輸入代行・医療機器輸入代行に関する薬機法
化粧品や医療機器の販売だけに専念したい会社には、輸入代行業者を利用するという方法がおすすめです。化粧品輸入代行や医療機器輸入代行は、自社で化粧品製造販売業や医療機器販売業の許可を取得する必要がないため、新規事業をスムーズに始めたい場合にはとても有効です。 本記事では、化粧品輸入代行や医療機器輸入代行のメリット・デメリットや、輸入代行に関わる薬機法についてご紹介します。 化粧品輸入代行、医療機器輸入代行とは 医療機器、化粧品の輸入販売を始めるには、化粧品の場合は薬剤師、医療機器の場合は医療機器経験者(総括製造販売責任者、国内品質管理業務責任者、安全管理責任者)を雇用して製造販売業を取得する必要があります。製造販売業者の許可を取得するためには時間がかかり、有資格者(特に医療機器経験者)の採用にも時間とコストがかかってしまうはのが現状です。また、販売する製品ごとに専門的な手続きも求められます。 これらの理由から、化粧品販売や医療機器販売に新しく参入される会社にとっては、自社で輸入を行うのは大変な負担となるのです。 そこで、化粧品や医療機器の輸入代行を利用すると、製造販売業者の許可の取得に関わる時間や輸入に関わる費用を最小限に抑えることができます。 また、輸入代行業者の住所が都市部にある場合、製造販売元住所を輸入代行業者のものを記載することでブランドのイメージアップを図る場合もあります。 輸入代行の流れ 化粧品や医療機器の輸入代行の流れについてご説明します。なお、医療機器輸入代行の場合は医療機器のクラスによって手続き等が複雑になるため注意しましょう。 打ち合わせ、見積り 事前に輸入したい製品の品名や成分表、サンプルを用意し輸入代行業者との打ち合わせを行います。化粧品や医療機器の用途や輸入数量、納期などについて確認を行います。 輸入販売の判定 輸入したい商品のリストと全成分表を提出し、輸入代行業者に調査を依頼します。 化粧品の輸入代行の場合は、輸入する商品の成分について日本の化粧品基準に適合しているかどうかチェックし、輸入販売できるかどうか判定を行います。 輸入代行業者が製造販売届書を提出 化粧品の輸入販売を行う際には、化粧品名称や商品名、輸入者住所などを行政に提出することが求められます。 商品の輸入 自社が海外の業者から商品を仕入れ、輸入代行業者が輸入通関についての手続きを行います。その際、ラベル表示内容や成分表示名の確認も行ってくれます。 品室検査 輸入代行業者によっては、しっかりとした品質検査を行ってくれる会社もあります。逆に検査方法や検査機器を持っておらず、簡易検査の会社もあります。一度確認してみるよ良いでしょう。 製品ラベルの貼り付け 輸入代行業者がラベルシール貼り付けを行い、輸入商品を確認します。問題がなければ出荷OKとなります。 商品を受け取り、販売 輸入した製品を自社で受け取り、日本国内で販売します。 輸入代行業者を利用するメリット ここからは、化粧品や医療機器の輸入代行を利用するメリットについて解説します。 販売業だけに専念できる 化粧品輸入代行や医療機器輸入代行を利用した場合は、製造販売業の許可を取得する必要がありません。 そのため、自社は製品の販売だけに専念することが出来るのです。海外のメーカーが日本で法人を立ち上げる場合でも、軌道に乗るまでは販売に専念するために輸入代行を利用していることが多いようです。 費用を安く済ませられる 化粧品や医療機器の販売量が少ない場合、自社で製造販売業の許可を取得するよりも輸入代行を利用した方が費用を安く済ませられます。 自社で化粧品や医療機器の製造販売業の許可を取得する際は、薬剤師などの有資格者を新しく雇用しなければならず、人件費がかかってしまう可能性があるため注意しましょう。 輸入販売までの時間を短縮できる 化粧品や医療機器の製造販売業の許可を申請してから許可が下りるまでの時間は、申請準備1ヶ月と申請期間2ヶ月以上を合わせて3ヶ月以上が見込まれます。これに加えて、薬剤師などの有資格者を雇用するための求人期間を考慮しなければなりません。輸入代行を利用すると、これらの期間を丸ごと短縮できるため、大きなメリットといえるでしょう。 輸入代行業者を利用するデメリット ここからは、化粧品や医療機器の輸入代行を利用する際のデメリットについて解説します。 医療機器のクラスによって輸入代行が困難になる場合がある 医療機器は、厚生労働省によって人体への影響度を指標にⅠ~Ⅳのクラスに分類されています。医療機器の輸入代行の場合、人体への影響度が高いクラスの製品の輸入代行が困難になることがあるため注意が必要です。 人体への影響度が高い製品の輸入代行を利用する場合は、品目の手続きが他の分類と比べて複雑になり、初期手数料も高くなる可能性があります。 製造販売業の許可を持っている業者を選ばないと危険 輸入代行業者を選ぶときは、販売したい化粧品や医療機器の製造販売業の許可を持っているかどうか確認する必要があります。 化粧品製造販売業や医療機器製造販売業の許可を正しく持っていない業者を選んでしまうと、余計な費用がかかってしまう・原価と売価のバランスが崩れる・思わぬトラブルに見舞われる可能性が高いため十分に気を付けましょう。 輸入代行に関連する薬機法 薬機法により、化粧品や医療機器の輸入代行業者には、その製品についての製造販売業許可を持っていることが求められています。 次の表の上欄に掲げる医薬品(体外診断用医薬品を除く。以下この章において同じ。)、医薬部外品又は化粧品の種類に応じ、それぞれ同表の下欄に定める厚生労働大臣の許可を受けた者でなければ、それぞれ、業として、医薬品、医薬部外品又は化粧品の製造販売をしてはならない。 医薬品:第一種医薬品製造販売業許可 前項に該当する医薬品以外の医薬品:第二種医薬品製造販売業許可 医薬部外品:医薬部外品製造販売業許可 化粧品:化粧品製造販売業許可 2前項の許可を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、次の各号に掲げる事項を記載した申請書を厚生労働大臣に提出しなければならない。 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名 二 法人にあつては、薬事に関する業務に責任を有する役員の氏名 三 第十七条第二項に規定する医薬品等総括製造販売責任者の氏名 四 次条第二項において準用する第五条第三号イからトまでに該当しない旨その他厚生労働省令で定める事項 (薬機法第12条より引用) また、化粧品の製造販売業者は、製造販売しようとしている品目ごとに製造販売届を提出する必要があります。 (医薬品、医薬部外品及び化粧品の製造販売の承認) 第十四条 医薬品(厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬品を除く。)、医薬部外品(厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬部外品を除く。)又は厚生労働大臣の指定する成分を含有する化粧品の製造販売をしようとする者は、品目ごとにその製造販売についての厚生労働大臣の承認を受けなければならない。 9 前項の規定にかかわらず、厚生労働大臣は、第一項の承認に係る医薬品、医薬部外品又は化粧品の特性その他を勘案して必要があると認めるときは、当該医薬品、医薬部外品又は化粧品の製造所における製造管理又は品質管理の方法が第二項第四号に規定する厚生労働省令で定める基準に適合しているかどうかについて、書面による調査又は実地の調査を行うことができる。 この場合において、第一項の承認を受けた者は、当該調査を受けなければならない。 (薬機法第14条より引用) まとめ 化粧品輸入代行や医療機器輸入代行は、自社で販売だけに専念したい・新規の事業をスムーズに進めたい会社にとって非常に有効です。 また、輸入代行業者の住所が自社ブランドによってイメージが良くなると判断される場合は、輸入代行業者の住所を記載するという方法をとることもあります。ただし、化粧品輸入代行や医療機器輸入代行は、薬機法で定められている化粧品製造販売業や医療機器販売業の許可を取得した業者を選ぶ必要があります。輸入代行業者を選ぶ前に、薬機法の製造販売業者の許可に関わる箇所をしっかりチェックしておきましょう。
「体質改善」「肌質改善」の広告表現はNG?薬機法・景表法を解説
体質改善をしたいときにサプリメントに頼ったり肌質改善のために化粧水を選んだりする人は少なくありません。 しかし、これらの製品の広告に「体質改善に効果があります」「肌質改善したい方に」といった表現を使うことは薬機法や景表法に違反します。 本記事では、体質改善や肌質改善に関する広告表現の適切な使い方について解説します。化粧品や健康食品、美容機器の広告制作に関わる方は、参考にしていただければと思います。 化粧品の広告で体質改善・肌質改善効能効果の表現はNG 化粧品の広告において体質改善や肌質改善に効果があるような表現は、薬機法によって承認されている範囲を超えているため、認められていません。 (1)化粧品の効能効果について 化粧品の効能効果として広告することができる事項は、後記(2)の表に掲げる効能効果の範囲とする。なお、数種の化粧品を同一の広告文で広告する場合は、それぞれの化粧品の効能効果の範囲を逸脱しないように注意すること。 (2)化粧品の効能効果の表現について 承認を要しない化粧品の効能効果の範囲は、昭和 36 年2月8日薬発第44 号薬務局長通知の別表第1(平成 23 年7月 21 日薬食発 0721 第1号医薬食品局長通知により改正)に記載された範囲とする。 出典:医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について また、「美白」「ホワイトニング」などの表現も、薬機法による承認を受けていません。これらの表現を広告に使用する際は、次のような決まりの範囲内までに留めることが重要です。 承認を受けた効能効果に基づく表現。(「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」又は「日やけによるしみ・そばかすを防ぐ」など) メーキャップ効果により肌を白くみせるといった表現。 しばり表現(日焼けによるシミ、ソバカスを防ぐ等)を用いた表現 健康食品広告での体質改善・肌質改善表現は「未承認の医薬品広告」として使用NG 健康食品の広告において、体質改善や肌質改善効果があるような表現を使用すると、「未承認の医薬品広告」を標榜しているとして薬機法違反となります。 (承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止) 第六十八条 何人も、医薬品若しくは医療機器又は再生医療等製品であつて、承認認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。 出典:薬機法 健康食品やサプリメントはあくまで「食品」であり、医薬品と同じような効果があるような広告表現は認められません。 医薬品と同じような効能効果を健康食品の広告に表示されている場合は、その製品が法律上「医薬品」と判断されてしまいます。その結果、医薬品として承認されていない製品の広告として薬機法第68条に違反すると考えられているのです。 美容機器は効能効果表現は化粧品と同じ範囲に限り使用OK 美容機器の広告については、化粧品と同じ範囲の効能効果の表現が認められています。化粧品に認められる効能効果の範囲は現在56項目あり、肌に関わる項目については次の表現が挙げられます。 (汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。 (洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ。 肌を整える。 肌のキメを整える。 皮膚をすこやかに保つ。 肌荒れを防ぐ。 肌をひきしめる。 皮膚にうるおいを与える。 皮膚に水分、油分を補い保つ。 皮膚の柔軟性を保つ。 皮膚を保護する。 皮膚の乾燥を防ぐ。 肌をやわらげる。 肌にはりを与える。 肌にツヤを与える。 肌を滑らかにする。 出典:化粧品の効能効果の範囲の改正について なお、また、上記の表現を逸脱しない範囲であれば広告表示が認められますが、いずれも体質や肌質の改善と誤解されないように気を付けましょう。 化粧品での違反事例 化粧品広告での使用がNGとなる内容には次のようなものがあります。 治療表現(改善、予防、再生) 承認されていない効能効果(体質改善、肌質改善、肌がよみがえる) 症状や病名の記載(皮膚炎、アトピー、蕁麻疹、皮膚がん) 不安を煽る表現(病気の信号ですよ、異性に嫌われる、このままでいいの?) 安全性の保証(安心安全、問題なし、副作用の心配なく、100%) 最大級表現(最高、最大、世界初、日本一) 有名人や専門家が推薦しているとした表現(医師の推薦、厚生労働省) 他社を誹謗中傷するような内容(他社製品よりも優れて、従来よりも) 化粧品広告での言い換え表現例(参考) 化粧品広告で体質改善や肌質改善について表現する際に認められている言い換え表現をまとめました。これらの表現例を化粧品の広告を作成する際に参考にしてみてください。 体質改善、肌質改善を言い換えたい時の具体例 NG:肌質改善 OK:肌にうるおいを与えます NG:肌の色が白くなる OK:寝る前に数分だけぬりこめばOK! NG:シミ、そばかすのできにくい肌に OK:(メーキャップ効果)でシミが目立たなくなる 健康食品での違反事例 健康食品広告での使用がNGとなる内容には次のようなものがあります。 医薬品的な効果効能があるような表現(治療、治る、改善) 身体機能の変化についての表現(体質改善、肌質改善、免疫細胞の活性化) 特定部位を表す表現(肌、自律神経、皮膚) 症状や病名の記載(アレルギー、インフルエンザ、更年期障害、アトピー) 用法用量の指定(夕食後にお飲みください、1日1回必ずお飲みください) 不安を煽る表現(病気の信号ですよ、異性に嫌われる、このままでいいの?) 安全性の保証(安心安全、問題なし、副作用の心配なく) その製品を使うだけで良いといった表現(病院いらず、飲むだけで) 最大級表現(最高、最大、最高峰、日本一) 有名人や専門家が推薦しているとした表現(医師の推薦、国の基準) 他社を誹謗中傷するような内容(他社製品よりも優れて、従来よりも) 健康食品広告での使用が認められる表現 健康食品の広告での使用がOKとなっている表現には次のようなものがあります。 サポート表現(健康維持のために、美容のために) 使用感の表現(飲みやすい、爽やかな香り) 使用には注意が必要となる表現 身体の部位を表すワードに合わせての使用はNGです。 若々しさをケア 美しくありたい 乾燥が気になったら 健康食品広告での言い換え表現例(参考) 健康食品広告で体質改善や肌質改善について表現する際に認められている言い換え表現をまとめました。これらの表現例を健康食品の広告を作成する際に参考にしてみてください。 体質改善や肌質改善を言い換えたい時の具体例 NG:体質改善 OK:若々しさをケア NG:肌質改善 OK:毎日にハリとツヤを NG:免疫力を高める OK:スタミナ補給のために 美容機器、雑貨での違反事例、言い換え表現(参考) 美容機器や雑貨広告での使用がNGとなる内容には次のようなものがあります。 医薬品的な効果効能があるような表現(治療、施術、改善) 身体機能の変化についての表現(体質改善、肌質改善、デトックス) 特定部位を表す表現(肌、自律神経、皮膚) 症状や病名の記載(皮膚炎、便秘、アトピー) 用法用量の指定(毎日5分だけ、就寝前にお使いください) 不安を煽る表現(このままでいいの?、病気の信号ですよ、異性に嫌われる) 安全性の保証(安心安全、大丈夫、副作用の心配なし) その製品を使うだけで良いといった表現(使うだけで、これだけで) 最大級表現(最高、最大、日本一、世界初) 有名人や専門家が推薦しているとした表現(医師推薦、大学教授が承認) 他社を誹謗中傷するような内容(他社製品よりも優れて、従来よりも) 美容機器、雑貨広告での使用が認められる表現 美容機器や雑貨の広告での使用がOKとなっている表現には次のようなものがあります。 サポート表現(健康維持のために、美容のために) 使用感の表現(着けやすい、ぴったり、肌触りの良い) 使用には注意が必要となる表現 身体の部位を表すワードに合わせての使用はNGです。 キレイな毎日を 脂っこい食事が多い方に 美容機器、雑貨広告での言い換え表現例(参考) 美容機器、雑貨などの広告で体質改善や肌質改善について表現する際に認められている言い換え表現をまとめました。これらの表現例を健康食品の広告を作成する際に参考にしてみてください。 体質改善や肌質改善を言い換えたい時の具体例 NG:体質改善 OK: スッキリした毎日を送れる NG:肌質改善 OK: 女子力がプラス NG:身体を引き締める効果 OK:気持ちが引き締まります まとめ 体質改善や肌質改善に効果があるといった広告表現は法律上「医薬品と同じような効能効果がある」製品とされるため、化粧品や健康食品、美容機器の広告に表示することは薬機法違反にあたります。 また、実際の製品よりも優良な効果があるような広告表示は景表法における優良誤認表示にも該当するため注意が必要です。 化粧品や健康食品、美容機器の広告表現は、薬機法や景表法による規制が設けられています。法律に違反した広告表示が重大なトラブルに繋がる事例は多くあるため、広告制作に携わる方は各法律に定められた効能効果の表現方法についてしっかり把握しておきましょう。 ※違反事例、言い換え表現についてはあくまで参考として捉えてください。表現の違反等の判断については各都道府県の薬務課によって見解が異なりますので、ご理解頂きますようお願いいたします。
化粧品・健康食品のサブスクに関する薬機法
化粧品や健康食品の販売方式として近年増えてきているのが、ECサイトを用いたサブスク型ビジネスです。 サブスク型ビジネスは一定期間に対して一定の金額を支払う方式です。期間中にどれだけ化粧品や健康食品を購入しても、購入価格は定められた金額から変わりません。 ただ、化粧品や健康食品のサブスクで高い定期コースを売ろうとして、薬機法に抵触する広告表現をしてしまう事例が相次いでいます。 本記事では、サブスク型ビジネス導入のメリットとデメリットをご紹介し、サブスクやECサイトに関わる薬機法について解説します。 サブスクとは サブスクとは、英語の「subscription(サブスクリプション)」が由来の言葉であり、「定期購読」「予約購読」といった意味があります。 サブスクは、一定期間に対して一定の金額(利用料など)を支払うことで、商品やサービスを購入することができる方式です。「〇〇し放題」と表記されているものもサブスクに該当します。 これまでの店頭販売方式では、商品やサービスの購入量に応じた金額が発生しますが、サブスクなら、どれだけ商品やサービスを使っても、支払う金額は一定額から変わりません。 近年、サブスク幅広い分野で導入されており、毎月おすすめの化粧品やサプリメントが届く美容・健康系サービスも増えてきています。 サブスクのメリット サブスク型ビジネスには、次のようなメリットが挙げられます。 毎月一定の売り上げが予測できる 継続して売り上げが得られる 新規の消費者でも申し込みのハードルが低い ここからは、それぞれのメリットについて解説します。 毎月一定の売り上げが予測できる 従来のビジネスモデルでは、顧客の人数が把握できても、利用額がバラバラであるため正確な売上額の予測が難しいのが現状でした。その点、サブスクは利用料が一定額のため、毎月の売上予想が立てやすいのが大きな魅力といえるのです。 継続して売り上げが得られる 毎月一定の売上があり、それが継続することは、企業にとって大きな武器になります。顧客数が確保できるよう、商品やサービスの見直しを続けることが必要ですが、確実に安定した売上に繋がっていきます。 新規の消費者でも申し込みのハードルが低い サブスクは、定額料金を支払えば利用し放題であることが魅力です。そのため、新規の消費者にとっても気軽に申し込みやすいといわれています。サブスクを運営する企業にとっては、消費者の購入へのハードルを下げることで、新たな顧客を継続して獲得できるのです。 サブスクのデメリット ただ、サブスク型ビジネスには次のようなデメリットが考えられています。 新規参入時のコストが高い 利益が出るまでに時間がかかる 顧客数が伸び悩むと継続が難しくなる それぞれのデメリットについて、詳しくご紹介します。 新規参入時のコストが高い サブスクの大きなデメリットとして、サブスクを開始する時点である程度の商品やサービスなどが揃っていることが求められるため、初期コストがかかってしまうことが挙げられます。 とりあえずサブスクを開始してから商品やサービスを増やそうとしても、消費者は加入してくれません。そのため、サブスクを開始する前から、十分なコストや時間をかけて準備することが重要です。 利益が出るまでに時間がかかる サブスクの開始直後は利用者数が少ないため、利益が出るまでに時間がかかることを知っておきましょう。初期段階は赤字も覚悟し、商品やサービスの魅力をアップさせて利用者数を増やしていくことが必要です。利用者数が増えてくれば、徐々に利益が出てきます。 顧客数が伸び悩むと継続が難しくなる サブスクは、利用者1人あたりの売上が低額であるため、利益を確保するためには利用者数の確保が必須です。サブスクを開始しても、利用者数が伸び悩んだり、解約する人が増えて利用者数が減少したりすると、ビジネスとして成立しなくなってしまいます。 サブスクと薬機法 化粧品や健康食品のサブスクを運営する際、問題になりやすいのがサブスクの広告に対する薬機法の規制です。 新規の消費者に商品の定期購入を宣伝するビジネスモデルを「ワンステップマーケティング」と呼びます。ワンステップマーケティングは、商品の良さをECサイトの広告で伝えようとするあまり、過剰な広告表示となって薬機法に抵触する事例が増えているのです。 例えば、サプリメントの広告において、その商品によって「病気が治る」「○○が治る」などの表現をすることは、薬機法第68条「未承認の医薬品の広告」に違反しています。 (承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止) 第六十八条 何人も、医薬品若しくは医療機器又は再生医療等製品であつて、承認認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。 出典:薬機法 薬機法は、「医薬品と同じ目的で販売されるものは医薬品と判断する」という考えをもっています。そのため、たとえ健康食品と主張してもその製品の広告に医薬品的な効能効果を表記している場合はその製品は「医薬品」とみなされるのです。 薬機法違反となる効能効果表現 ダイエットや美容、体調不良について悩みを抱えている人は多く、これらの症状に効果のあるような商品を探している消費者はたくさんいます。そのため、美容液やサプリメントの利用者を増やすため「瘦せる」「○○が改善する」といった広告表現をしてしまう企業が後を絶ちません。 しかし、化粧品や健康食品の広告では、製品に対して承認されている範囲を超えた効能効果があるというような表現を行うと、「虚偽・誇大広告」として薬機法違反にあたります。 (誇大広告等) 第六十六条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。 出典:薬機法 特に、化粧品の効能効果は広告表現が認められている範囲が医薬品等適正広告基準によって定められています。ECサイトで広告制作を行う際は、必ず確認しておきましょう。 (1)化粧品の効能効果について 化粧品の効能効果として広告することができる事項は、後記(2)の表に掲げる効能効果の範囲とする。なお、数種の化粧品を同一の広告文で広告する場合は、それぞれの化粧品の効能効果の範囲を逸脱しないように注意すること。 (2)化粧品の効能効果の表現について 承認を要しない化粧品の効能効果の範囲は、昭和 36 年2月8日薬発第44 号薬務局長通知の別表第1(平成 23 年7月 21 日薬食発 0721 第1号医薬食品局長通知により改正)に記載された範囲とする。 (医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等についてより引用) まとめ 化粧品や健康食品の定期購入など、サブスク型ビジネスを導入する企業は年々増えているようです。サブスクはその製品を使ったことがない人でもお試しとして始めやすいため、新規の消費者に申し込む際のハードルが低いとされています。 ただ、サブスクを宣伝しようとするあまり、化粧品や健康食品について過剰な広告表示行って薬機法に抵触する事例が増えているのも現状です。薬機法による広告表現への規制は厳しくなっており、虚偽広告については課徴金制度も導入されています。 サブスク型ビジネス導入を検討している場合は、ECサイトでの広告制作の際に薬機法などの法律やガイドラインをしっかりチェックし、過剰に消費者を煽る表現を使わないように気を付けましょう。
美容室・ネイルサロンに関わる薬機法 ヘアセット・商品販売・おすすめがNGになるケース
美容室やネイルサロンで働く人にとって、美容師法をしっかり確認することは非常に重要です。また、美容室での商品販売は薬機法違反となる場合があることも知っておきましょう。 美容師は、厚生労働省によって国家資格に定められているため、化粧品広告において「美容師おすすめ」といった表示を行うことは薬機法違反となるため注意が必要です。 本記事では、美容室やネイルサロンに関する美容師法、薬機法について解説します。 美容師法とは 美容室やネイルサロンに大きく関わる法律として、美容師法があります。 美容師は厚生労働省により定められた国家資格であり、美容師法によって次のように定められています。 美容師免許は、高等学校を卒業した後、厚生労働大臣の指定した美容師養成施設で昼間課程2年、夜間課程2年、通信課程3年以上にわたり必要な学科・実習を修了した後、美容師試験に合格した者に与えられる。美容師が精神の機能の障害により美容師の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者であるときは免許を与えなかったり取り消したりすることができる。また、伝染性の疾病にかかり就業が適切でないときは業務停止を命ずることがある。 出典:美容師法概要 ヘアセット、シャンプー、まつエクには美容師免許が必要 美容室では、ヘアカットやカラーの他にもヘアセットやシャンプー、まつ毛エクステのサービスが受けられます。ただし、美容師免許のない人はヘアセットやシャンプー、まつ毛エクステなどの「お客様に触れる業務」を行うことは美容師法により禁止されています。 美容師は「美容を業とする者」をいい、美容師法に基づき厚生労働大臣の免許を得なければならない。 美容師の免許を持たないものは美容を業として行うことはできない。 美容とは「パーマネントウェーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること」とされている。美容師がコールドパーマネントウェーブ等の行為に伴う美容行為の一環としてカッティングを行うことは美容の範囲に含まれる。 また、女性に対するカッティングはコールドパーマネントウェーブ等の行為との関連を問わず、美容行為の範囲に含まれる。染毛も理容・美容行為に含まれる。業とは反復継続の意思をもって行うことで、有料・無料は問わない。また、美容師が美容を行う場合には器具やタオル等を清潔に保たねばならない。 出典:美容師法概要 美容師免許を持っていないアシスタントが行える業務は、受付業務や電話対応、掃除、洗濯などのお客様の身体に触れない業務に限られます。さらに、ハサミやクシ、カミソリなどお客様に直接触れる器具にも触ってはいけません。 美容室以外の場所でのヘアカットは美容師法違反に該当する 「友人の美容師に自宅でカットしてほしい!」と考える人がいますが、自宅や友人の家などでヘアカットなどの施術をするのは美容師法に違反してしまいます。 美容師法では、美容所以外での施術を禁止していますが、社会福祉施設の入所者などに対して出張ヘアカットの施術を行うことが例外として認められています。結婚式場でのヘアメイクや、テレビや舞台の出演者控室で行うヘアメイクもOKです。 ただし、保健所によっては事前の届け出や、講習の受講が求められることがあります。出張ヘアカットのサービスは勝手に行わず、必ず管轄地域の保健所に事前確認を行いましょう。 美容師は、美容所で美容を行わなくてはならない。ただし、疾病等により美容所に来られない者に対して行う場合や婚礼等の儀式に参列する者に対してその儀式の直前に行う場合、その他都道府県が条例で定める場合には出張して行うことができる。 なお、出張専門で行う美容師も対象者がこの条件を満たす限り可能となる。美容所を開設・廃止するときは、都道府県知事(保健所設置市又は特別区にあっては、市長又は区長)に届け出なければならない。 また、美容所は都道府県知事(保健所設置市又は特別区にあっては、市長又は区長)の使用前の検査確認を受けなければ使用してはならない。 出典:美容師法概要より引用 美容室の商品販売と薬機法 美容室やネイルサロンで使用している業務用の化粧品が気に入り、購入して自宅でも使いたいと思うことはよくあります。 ただし、化粧品を空の容器に詰め替えて販売する小分け販売や分割販売は、薬機法における「化粧品の製造」に該当し、規制の対象となる場合があります。 まずは、化粧品の小分け販売と分割販売の違いについてチェックしておきましょう。 小分け販売 小分け販売とは、製品を元のパッケージから小分けの別の容器に移して、店頭で販売する方法です。化粧品の場合、小分け販売は薬機法において化粧品の「製造」に当たります。そのため、小分け販売をするためには化粧品製造業の許可を取得する必要があります。許可を取得せずに小分け販売を行うと、薬機法違反となるため注意しましょう。 分割販売 業務用の製品などをその場で容器に詰め替えて販売する販売方法です。化粧品の分割販売は、薬機法においても認められており、化粧品製造業の許可は必要ありません。 第四章 医薬品、医薬部外品及び化粧品の製造販売業及び製造業 (製造販売業の許可) 第十二条 次の表の上欄に掲げる医薬品(体外診断用医薬品を除く。以下この章において同じ。)、医薬部外品又は化粧品の種類に応じ、それぞれ同表の下欄に定める厚生労働大臣の許可を受けた者でなければ、それぞれ、業として、医薬品、医薬部外品又は化粧品の製造販売をしてはならない。 (医薬品、医薬部外品又は化粧品の種類:許可の種類) 厚生労働大臣の指定する医薬品:第一種医薬品製造販売業許可 前項に該当する医薬品以外の医薬品:第二種医薬品製造販売業許可 医薬部外品:医薬部外品製造販売業許可 化粧品:化粧品製造販売業許可 出典:薬機法 広告表示で「ネイリストおすすめ」はOK、「美容師おすすめ」はNG 化粧品などの広告に「ネイリストおすすめ」「美容師が勧める○○」と表示されている場合があります。しかし、「美容師がおすすめしているような広告表現」は薬機法違反となるため注意しましょう。 化粧品の広告を規制する薬機法の解釈基準として「医薬品等適正広告基準」が挙げられます。この医薬品等適正広告基準には、次ように記載されています。 10 医薬関係者等の推せん 医薬関係者、理容師、美容師、病院、診療所、薬局、その他医薬品等の効能効果等に関し、世人の認識に相当の影響を与える公務所、学校又は学会を含む団体が指定し、公認し、推せんし、指導し、又は選用している等の広告を行ってはならない。 出典:医薬品等適正広告基準 美容師や理容師は国家資格者にあたるため、こうした人たちが化粧品をおすすめするような広告表現は、一般の消費者に対して大きな影響を与えると考えられているのです。たとえその人が製品をおすすめしていることが事実であっても薬機法違反となります。 さらに、製品をおすすめしているの事実が全くない場合は、薬機法における虚偽広告や景表法における優良誤認表示に該当するため注意が必要です。 まとめ 美容師やヘアサロンにおいて、美容師法や薬機法の十分に把握することは非常に重要です。 美容師免許のないアシスタントがヘアセットなどの業務を行っていると、管轄地域の保健所による立ち入り検査を受ける可能性があるため注意しましょう。また、美容所として認められない場所での施術は美容師法違反となる可能性があります。 また、店頭での化粧品やヘアケア商品の販売を小分け販売で行うことは薬機法違反に当たります。広告表示においても、国家資格である美容師がおすすめしているような表現は認められていないことも知っておきましょう。
2022年 D2C/P2C がスキンケア&コスメ開発で成功・成長するポイント レポート
D2C/P2Cスキンケア&コスメの開発のポイント 先日行われました”D2C/P2Cスキンケア&コスメまるわかりセミナー 開発トレンドからLINE活用コマースまで完全網羅!”のセミナーにて要約をお届けしたいと思います。 参入過多・情報過多で消費者は正しい選択ができない。ブランドは正しい知識を提供できていない 現在、日本のコスメマーケットには沢山の課題が顕在化しており、たくさんの商品が埋もれている状況にあります。 そこで見えてきたポイントとしては、 「顧客視点の商品開発と商品提供が出来ていない」ということでした スキンケアも含めたコスメ市場は、商品がたくさん溢れすぎていて何を選んで肌ケアをしたら良いのかがわからない。 有名コスメサイトには32万個以上の商品が登録されていることもあり、口コミサイトランキングとかを参考にして購入されたり、インフルエンサー投稿を参考にして購入されるシーンも増えています。 しかし、本当はコスメは自分の肌に合った最適な商品を選ぶことが大切です。 知らずに新規参入してしまう問題点 D2Cブランド、P2C立ち上げ相談を通じて実感していることは、ブランドがあふれていることを知らずに参入される、逆に、SNSなどの情報発信がありすぎてもう見ている側(消費者)としてはもうかなりお腹いっぱいな状態で、「違いを見つけたりとか」「お客さんがどれを選べばいいのか」を伝えること「世界観」が大切になっています。 そのためには、成分や配合を含めた化粧品のことを理解して、マーケティングすることで顧客との**「ズレ」**が生じさせないようにすることが大切です。 消費者からすると、成分の配合量のレベルは全成分見ても分かりません。成分が高配合のA商品と、0.0001%しか配合されていないB商品との差は判らないのが現状です。 また、商品に表記されている「成分表記」を確認する消費者も増えてきていることは良いことですが、一方でその情報をその間違った形で伝えられることも多く、企画側の知識も重要な要素になってきます。 顧客が自分の肌の悩みを知るということの大切さ また、COCO.skinの2万件越えの肌診断データと顧客体験の結果から、コスメ成分・配合に対する顧客ニーズから(2022年9月時点では、延べ7万件越え)「実際の肌の課題」と「顧客が自覚している悩み」には、有意差があることがわかりました。COCO.Skinサービスを始めたきっかけの 「自分の肌のことをよくわかっていらっしゃることが少ない」 ことがデータでも示されて、間違ったケアをされている消費者が多い可能性が高いことが分かっています。 顧客が求めているコスメの成分・配合を見つけて、作って、届けるためのポイントについて お客さんは、肌の悩みを聞かれると、 「肌につけたもう瞬間になおしてほしい」 「つけた次の日にはなおってほしい」 などになります。D2C/P2Cブランドは、この声に対応した商品を企画してしまいがちで、そこが「ズレ」が発生します。 「化粧品」は基本的に長期間使っていくものという商品特性に立脚して、本当の「肌悩み」は何か、それをどのように見極めるところが、商品とブランド創りにとってはすごく大事なところです。 もう1つは、成分訴求でブランド創りをする事業者様がすごく多いのですが、このアプローチでは良くない結果が数多くでていますのでお勧めはしていません。 自分に合ったコスメを選択するためにブランドがするべきこと 自分の肌をしっかり判断して知ってから、自分の肌の何を、どのように改善したいかということで商品を選択していただく。ということが消費者として必要なことです。 ブランド側としては、 〇〇成分が入っているだけではお客さまの満足にはなりません。いくつか、商品開発やマーケティング視点のアイデアをお話いたします。 ブランドのファンにする要素のひとつ 顧客が、手に取って頂いたときから、日々ご利用いただく中で、成分と処方、お客さまの利用・使用体験をじっくり継続的に分析することが大切です。その体験をもたらせているのは何かを、顧客とブランドが一緒に確認し、その商品の良さを見つけていくことが、顧客の肌の悩みを解決して、ブランドのファンにしていくひとつになります。 「顧客の声を聴く」と改善点やアドバイスポイントが見える 経験上の事例ですが、中身は良いけど、容器がすごく使いづらくてなどの、「顧客の声」に、そもそもメーカーさんが気付いていないパターンもよくあります。容器以外でも、商品設計として、商品に良い成分がたくさん入っているだけではだめで、ちゃんと肌に届くような処方設計されていて、商品の使い方設計も踏まえて、コミュニケーションを考えていただければ「差別化」はどんどんできるのでは無いかと思います。 D2C・P2Cブランドこそ、スキンケアコスメという商品特性から、「購買後体験」としてCX:カスタマーサクセスのためのCRMが重要 今はたくさんの商品があり、ますます新規顧客が増えない環境で、「顧客中心主義」であるべきだからこそCS:カスタマーサポートが大切な要素です。CSこそ、D2C・P2Cブランドとしての良い「差別化」だと考えられます。 化粧品は、その使い方も含めて化粧品なのですが、物だけで見るお客さまも増えてきているので、顧客の肌を解決するためにも、とても重要な要素となります。 新規ブランドが簡単に作れる弊害 情報が簡単に入手できるようになったために、誰でも化粧品が作れる環境です。 そのため、B2C(通販・リアル店舗)とかD2C・P2Cなどで、ブランドとしてのオリジナル性はどこにあるのかが今後すごくネックになっています。 これが出来ないために、マーケティング・CRM(実は営業力になっている)勝負で、顧客が疲弊してしまい悪循環になっている状況です。 ブランドがそれを越えるためには、 1つは原材料に詳しくなって、何を作りたいかを依頼する側としての基本を身に着けることは最低限必要です。 いきなりOEM会社さんと仕事をすると、OEMメーカーさんの言われた通りのものが出てきて、これでいいのかなといった不安や不充足感みたいなところが出てしまいます。 そのためには、経験者とか、コンサル会社さんとかに第三者視点でアドバイスして見てもらうことも重要です。 独自性を持つためのコア製造技術は、クライアントさんには持てないですので、ここは顧客とブランドの目的にあったOEM会社を選択する必要があります。 商品だけではない独自性を持たなければいけないので、 お客様との接点持ち方 コミュニケーションの仕方 CRM部分 などのサービス部分で独自性を持たれることをされると良いですね。 ブランドコンセプトと商品コンセプトは違う 企画者のご相談で、ほぼ100%の確率で抜けているところが、ブランドコンセプトと商品コンセプトをごちゃまぜにしているか、ブランドコンセプトがない場合が多数です。ほとんどの方は商品のコンセプトは決めています。 商品コンセプトとは こういったものを入れてくださいとか こういったものでとか デザインはこんな感じでいいみたいなところ です。 一般的に、ブランドを創るときには、まずはそのブランドの「世界観」、そのブランドがあって、その中の1商品が商品のコンセプトになります。ここは、ぜひ、考えていただきたいことです。 まとめ 今回は、富士ロジテック様、Cocoskin様、Bentenの3社で化粧品のD2C/P2C がスキンケア&コスメ開発で成功・成長するポイントについてご紹介致しました。ぜひご相談のある方は下記にお問い合わせしてみてください セミナー協力の企業様ご紹介 化粧品の物流のご相談はこちら COCO.Skinでの自社の商品ブランドの取扱いのご相談