美容室・ヘアサロンでアイラッシュの施術はできる?薬機法を解説
美容室やヘアサロンに併設しているアイラッシュサロンを見かけますが、まつげエクステやまつげパーマによるトラブル例も多く耳にします。アイラッシュの施術は、法律上でどのように決められているのか気になりますよね。 この記事では、美容室・ヘアサロンでのアイラッシュの施術について解説しています。アイラッシュの施術に関する薬機法や、厚生労働省の通達も合わせて紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。 アイラッシュサロンとは? アイラッシュサロンとは、まつげに処理を施すサロンのことを指し、まつげに施すメイクや処理全般を行います。アイラッシュサロンで行われる施術には、以下のような種類があります。 まつげエクステ つけまつげ まつげパーマ まつげカール ラッシュリフト まつげエクステなどの施術を行うためには、国家資格である美容師免許が必要です。まつげエクステが流行し始めた頃には、目の充血やまぶたの腫れなどの症状が多く見られました。 そこで、まつげエクステは美容行為と定められ、施術者には美容師免許が必要となったのです。 現在は、美容師免許を取得した上で、アイラッシュに関する専門的な知識やスキルを身につけた人が「アイリスト」として活躍しています。アイリスト自体には、免許はありません。専門学校への通学や通信教育での学習、技能検定試験による資格の取得によって、アイリストとしての知識やスキルを身につけます。 美容室・ヘアサロンでアイラッシュの施術は可能? アイラッシュサロンだけでなく、美容室・ヘアサロンでもアイラッシュの施術ができます。アイラッシュの施術をするための必須条件は、美容師免許を所持していることです。受付などのアシスタントは無免許の場合もありますが、施術を行うスタッフは美容師免許を所持しています。美容師免許を持っている美容師なら、併設のアイラッシュサロンでアイラッシュの施術が可能です。 美容院とアイラッシュサロンを併設することは、利用者・施術者ともに利点があります。利用者の利点は、髪のカットやパーマと同じ日に、アイラッシュの施術を受けられることです。何度も美容院に足を運ばなくても、施術を一度に済ませることができるので通いやすくなります。 美容院・ヘアサロン側の利点は、美容院とアイラッシュサロンのそれぞれの利用者が、もう一方のサービスも利用することで、サービスの利用者を増やせることです。 美容院併設のサロンでは、アイラッシュ専門のアイリストのみが施術を行うこともできますが、美容師が兼任することもできます。 ヘアスタイリストとしてだけでなくアイリストとしての施術も担当することで、信頼関係の構築や好みの把握が不要となり、スムーズな施術が可能です。利用者・施術者ともに利点がある美容院・ヘアサロンでのアイラッシュですが、施術で使用する薬剤については、気をつけなければいけない点もあります。 「まつげパーマ」は薬機法違反 まつげパーマ液の製造業者や販売者は、薬機法違反となります。 まつげパーマとは、医薬部外品の薬剤を使って、まつげ全体にカールをかける施術です。まつげパーマが流行り始めた頃は、頭髪用の刺激の強い薬剤をまつげパーマに使用していました。 2004年厚生労働省の「パーマネント・ウェーブ用剤の目的外使用について」において、頭髪用パーマ液の用途以外への使用を自粛する通達がありました。 今般、独立行政法人国民生活センターの実施したまつ毛パーマに関する調査に基づき、エステサロン、美容所等において、まぶたや目に対する健康被害の発生が見られ、同センターより行政に対し、パーマネント・ウエーブ用剤がまつ毛に使用されることのないよう、周知及び指導の徹底が要望されたところである。 (パーマネント・ウェーブ用剤の目的外使用について) まつげパーマが流行り始めた頃は、頭髪用のパーマ剤をまつげパーマに使用していたため、目のトラブルが多かったのです。 現在では、まつげパーマ液は頭髪に使われるパーマ液とは別のものを使う必要があり、医薬部外品の許可が必要となっています。 しかし、薬機法上の承認を受けているまつげパーマ液は存在しません。いわゆる「まつ毛パーマ液」の取り扱いについて」においてでは、以下のように記載されています。 これまで、頭髪用以外の用途でパーマネント・ウェーブ用剤として医薬部外品の承認を 得ているものはなく、頭髪用以外の用途を謳ったパーマネント・ウェーブ用剤は、無承認 無許可の医薬部外品であるため、当該製品の製造者等に対する監視指導の徹底が図られる ようお願いしたい。 (いわゆる「まつ毛パーマ液」の取り扱いについて) 目元へのパーマ液使用は健康被害に繋がることから、厚生労働省ではまつげパーマ液を許可していません。国が許可しているまつげパーマ液というものは存在していないので、まつげパーマ液を謳うことは、薬機法違反です。 まつげパーマ液の製造業者や販売者は違反となりますが、まつげパーマの施術を美容院で行うこと自体は、薬機法違反とはならない可能性があります。 ただし、広告やパンフレットなどでまつげパーマ剤について記載すると、薬機法による規制を受ける場合があるので注意が必要です。まつげパーマ液は認められていないものなので、まつげパーマを施術メニューに入れるかどうかは慎重に考えましょう。 まつげパーマと似ている施術に、まつげカールという施術があります。まつげカールは、薬機法の規制対象とならない成分を使った化粧品や雑貨を使用して、まつげの根本からカールを作る施術です。化粧品や雑貨の薬剤は、刺激が弱く、まつげや肌への負担は少ないという特徴があります。 まつげエクステならOK まつげエクステは、人工のまつ毛を天然のまつ毛の根本に付ける施術方法です。付ける際に使用するグルーは雑貨にあたるので、薬機法の規制対象にはなりません。 薬機法の規制対象となるのは、医薬品、化粧品、医薬部外品、医療機器、再生医療製品です。まつげエクステ用のグルーには、シアノアクリレートという医療用接着剤にも使われている成分が入っていますが、医薬品ではなく雑貨です。使用しているグルーには、手術などで使われる医療用のグルーと同じ安全性があるなどと謳うことは、薬機法違反となる場合があります。 まつげエクステでは、グルーによるアレルギー反応や、眼の刺激による症状が出る可能性があるので注意が必要です。 まとめ アイラッシュは、美容師免許を所持している人のみが施術できます。アイラッシュサロンだけでなく、美容院・ヘアサロンに併設しているアイラッシュサロンでも施術が可能です。 アイラッシュで人気のある「まつげパーマ」では、医薬部外品のまつげパーマ剤を使用する必要があります。 しかし、国に認められているまつげパーマ剤は存在しません。国では、まつげパーマという施術自体を許可しない方針と考えられます。まつげパーマの施術に関する広告では、薬機法による規制を受ける場合があるので注意が必要です。まつげエクステで使用しているグルーに関しては、雑貨扱いとなるので薬機法の規制対象ではありません。 美容院やヘアサロンでアイラッシュのサービスを始める際には、薬機法や通達の内容をよく理解し、利用者が健康被害を受けることのない施術を行いましょう。
コラーゲンマシンの注意点 美容室・エステサロンに関する薬機法
コラーゲンマシンは、日焼けマシンの様に身体に光を当てて肌のコラーゲンを刺激するマシンです。コラーゲンマシンには美肌効果や冷え・むくみ対策に効果があるといわれており、エステサロンでも人気のサービスとなっています。 ただし、コラーゲンマシンについての広告作成の際は薬機法や景表法に抵触しないよう注意が必要です。特に、コラーゲンマシンが医療機器であるかのような広告表現は薬機法違反にあたることを知っておきましょう。 本記事では、エステサロンや美容室の広告にコラーゲンマシンについて記載する際の注意点についてご紹介します。 コラーゲンマシンって何? コラーゲンマシンとは、コラーゲンランプと呼ばれるピンク色の光(可視光線)と赤外線を放出するランプが取り付けられており、全身に光を浴びせる機械です。 コラーゲンマシンの形状は日焼けマシンに似ており、全身に光を当てることで肌のコラーゲンを刺激します。これによって、美肌効果や冷え・むくみの改善、リラックス効果が期待されています。 また、一般的なエステ施術は1回60~90分かかりますが、コラーゲンマシンによる施術はは1回20~30分と短時間であるため、気軽に受けられることも人気の理由となっています。 エステサロン、美容室では広告表現に要注意 「コラーゲンマシン」や「コラーゲン」といったワードに問題はなくても、その前後の文章によって不適切な広告と判断される場合があるため注意が必要です。 例えば、エステサロンや美容室で使われる器具は、法律上「美容機器」と判断されます。そのため、コラーゲンマシンも美容機器といえるでしょう。美容機器の効果をエステサロンや美容室の広告に記載するときには、化粧品と同じ範囲の効能効果表現までに留めることが求められます。 化粧品や美容機器で認められている56の効能効果のうち、肌や皮膚に関わるワードは次のようなものが挙げられます。 (汚れを落とすことにより)皮膚を清浄にする 肌を整える 肌のキメを整える 皮膚を健やかに保つ 肌荒れを防ぐ 肌をひきしめる 皮膚にうるおいを与える 皮膚の水分、油分を補い保つ 皮膚の柔軟性を保つ 皮膚を保護する 皮膚の乾燥を防ぐ 肌をやわらげる 肌にハリを与える 肌にツヤを与える 肌を滑らかにする 出典:化粧品の効能効果の範囲について なお、化粧品や美容機器には「コラーゲンを生成する」「肌荒れを治療する」など治療効果や薬理作用を標榜することは認められていません。化粧品の効能効果の範囲を超えている広告表現は、虚偽・誇大広告や未承認の医薬品・医療機器の広告として薬機法違反にあたります。 コラーゲンマシンで医療機器と同じような効果効能表現は薬機法違反 コラーゲンマシンに「肌の病気が治る」「肌のコラーゲンが再生」といった医療機器と同じ効能効果があるようなワードを使用すると、「未承認の医療機器の広告」として薬機法違反となります。 (承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止) 第六十八条 何人も、医薬品若しくは医療機器又は再生医療等製品であつて、まだ承認又は認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。 出典:薬機法第68条 また、こうした広告表現は、虚偽・誇大広告にも該当するため注意が必要です。 (誇大広告等) 第六十六条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。 出典:薬機法第66条 ビフォーアフター画像の掲載は薬機法違反 エステサロンや美容室において、コラーゲンマシン施術前と施術後の画像を広告に掲載することは「安全性の保証表現」として不適切とされています。 図面、写真等について 使用前、後に関わらず図面、写真等による表現については、承認等外の効能効果等を想起させるもの、効果発現までの時間及び効果持続時間の保証となるもの又は安全性の保証表現となるものは認められない。 出典:医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について 過剰な広告表示は表現は景表法違反にあたる場合も エステサロンや美容室の広告にコラーゲンマシンについて記載するときは、薬機法だけでなく景表法(景品表示法)の規制についても把握することが重要です。 景表法において、商品やサービスが事実よりも著しく優良であるような広告は「優良誤認表示」として禁止されています。優良誤認表示が疑われた場合は、表示内容についての合理的な根拠となる資料の提出が求められるため十分注意しましょう。 (不当な表示の禁止) 第五条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。 一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの 出典:景表法第5条 エステサロンでのNG例 エステサロンの広告において、「コラーゲンを生成」「肌を再生」といったワードを使用すると、薬機法に抵触するため注意が必要です。 薬機法やエステ業界の自主規制に違反する具体例として、次のようなワードが挙げられます。 ① 全く欠けることがないことを意味する用語 (例)「完全」「完ぺき」「絶対」「永久」「保証」「必ず」 「万全」など ② 他よりも優位に立つことを意味する用語 (例)「世界初」「日本初」「世界一」「日本一」「超」「業界一」「当社だけ」「他に類を見な い」「抜群」など ③ 最上級を意味する用語 (例)「最高」「最高級」「極」「一級」など ※①~③は立証できる場合は除く ④ 医師法・医療法・医薬品医療機器法など、医療および医療類似行為に抵触する用語 (例)「治す」「治る」「治療」「療法」「医学的」「医療」「診察」「診療」「診断」「効く」など 出典:徳島新聞広告掲載基準 エステサロンでは医薬品や医療機器の使用は認められていません。そのため、医薬品や医療機器のような効果があると誤解を招く表現は避けましょう。 美容室でのNG例 美容室の広告でコラーゲンマシンについて記載する際は、「美容師がおすすめ」といったワードを避けることが大切です。美容師や理容師といった国家資格を持つ人がコラーゲンマシンをおすすめする広告表現は、一般の消費者に対する影響が大きい考えられています。 仮にコラーゲンマシンをおすすめしていることが事実であっても、不適切な広告とされる恐れがあります。 薬機法の解釈基準である「医薬品等適正広告基準」には、次ように記載されています。 医薬関係者等の推せん 医薬関係者、理容師、美容師、病院、診療所、薬局、その他医薬品等の効能効果等に関し、世人の認識に相当の影響を与える公務所、学校又は学会を含む団体が指定し、公認し、推せんし、指導し、又は選用している等の広告を行ってはならない。 出典:医薬品等適正広告基準 なお、コラーゲンマシンをおすすめする記載自体が事実無根である場合は、虚偽広告や景表法における優良誤認表示に該当することも知っておきましょう。 まとめ エステサロンや美容室で使用されているコラーゲンマシンは、法律上美容機器にあたります。したがって、コラーゲンマシンに医療機器と同じような効能効果があるような広告表現は、「未承認の医療機器の広告」として薬機法に抵触します。 また、美容師がコラーゲンマシンをおすすめしているような広告表現は薬機法違反にあたるため使わないようにしましょう。 さらに、コラーゲンマシンによる効果が事実以上に優良であるかのような広告表示は、優良誤認表示として景表法違反にあたります。コラーゲンマシン広告制作に関わる際は、薬機法だけでなく景表法の確認も忘れずに行いましょう。
「イオン導入」は謳える?美容室・エステサロンに関する薬機法
美容クリニックで行われる施術の一つとして「イオン導入」が挙げられます。イオン導入はエステサロンで行われる場合もありますが、美容クリニックと同じ効能効果表現は薬機法違反に該当します。 また、美容室でも「髪や頭皮へのイオン導入」といった広告表現が使われることがあります。こちらも、美容機器を使った行為であるため医療行為と同じ効能効果表現は認められません。さらに、過剰な広告表示は景表法違反にもあたるため注意しましょう。 本記事では、「イオン導入」に関わる広告表現について、美容クリニックとエステサロン、美容室での扱い方の違いについてご紹介します。 イオン導入って何? 「イオン導入」とは、ビタミンCやプラセンタ、トラネキサム酸といった皮膚からは吸収しづらい成分を微弱電流を流してイオン化し、皮膚の深部まで浸透させる施術です。 ただ化粧水を塗るスキンケアと比べると、有効成分を皮膚に直接導入するイオン導入では、肌への浸透が飛躍的に向上します。イオン導入によって、肌のツヤが良くなる・シミやシワを改善するといった効果が期待されています。 イオン導入施術の流れ ここからは、美容クリニックでのイオン導入施術の流れをご紹介します。 クレンジング まずは、肌についている皮脂や汚れ、メイクを落とすためにクレンジング洗顔を行います。 問診 問診を行い、施術の流れや肌の悩みにあった薬剤を選択します。 薬剤シートを覆う パックのようなシートにビタミンCやプラセンタ、トラネキサム酸などの有効成分をたっぷり含ませ、顔を覆います。 微弱電流でイオン化 微弱電流の流れるローラーを顔全体に転がします。シートパックで貼り付けた有効成分をイオン化し、皮膚の深部まで浸透させます。 スキンケア、UVケア 施術が終わったら、スキンケアやUVケアをして完了です。 美容クリニックではOK イオン導入は、美容クリニックでは広告表示が認められています。 美容クリニックでのイオン導入は、れっきとした医療行為に該当します。エステサロンや家庭で使う美容機器よりも高出力の機器を使用するため、医師の診察を必ず行い、肌の状態を合った薬剤を選択します。 これに対してエステサロンや美容室で「イオン導入」といったワードを使う場合は、あくまでマッサージやリラクゼーションを目的とした行為です。そのため、エステサロンや美容室には医師や看護師はおらず、効果も即効性はありません。 美容室で「お客様に触れる業務」を行えるのは美容師のみ 美容室で「髪や頭皮へのイオン導入」といったサービスを行う場合は、美容師免許のない人が行うことはできません。 美容師法では、ヘアカットやシャンプーを含めた「お客様に触れる業務」を行う人は美容師免許を持つ人のみに限られています。 美容師は「美容を業とする者」をいい、美容師法に基づき厚生労働大臣の免許を得なければならない。 美容師の免許を持たないものは美容を業として行うことはできない。 美容とは「パーマネントウェーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること」とされている。美容師がコールドパーマネントウェーブ等の行為に伴う美容行為の一環としてカッティングを行うことは美容の範囲に含まれる。 また、女性に対するカッティングはコールドパーマネントウェーブ等の行為との関連を問わず、美容行為の範囲に含まれる。染毛も理容・美容行為に含まれる。業とは反復継続の意思をもって行うことで、有料・無料は問わない。また、美容師が美容を行う場合には器具やタオル等を清潔に保たねばならない。 出典:美容師法概要 エステサロン、美容室では広告表現に要注意 エステサロンで使われる器具は、法律上「美容機器」に該当します。美容機器の効果をエステサロンの広告に記載するときには、化粧品と同じ範囲の効能効果表現までしか認められていません。 そのため、「イオン導入」に使われる「導入」といったワードは、「皮膚への過剰な浸透表現」として不適切とされる場合があります。 化粧品で認められている56の効能効果のうち、肌や皮膚に関わるワードは次のようなものが挙げられます。 (汚れを落とすことにより)皮膚を清浄にする 肌を整える 肌のキメを整える 皮膚を健やかに保つ 肌荒れを防ぐ 肌をひきしめる 皮膚にうるおいを与える 皮膚の水分、油分を補い保つ 皮膚の柔軟性を保つ 皮膚を保護する 皮膚の乾燥を防ぐ 肌をやわらげる 肌にハリを与える 肌にツヤを与える 肌を滑らかにする 出典:化粧品の効能効果の範囲について ビフォーアフター画像の掲載は薬機法違反 エステサロンや美容室において、イオン導入前と導入後の画像を広告に掲載することは「安全性の保証表現」として不適切とされています。 図面、写真等について 使用前、後に関わらず図面、写真等による表現については、承認等外の効能効果等を想起させるもの、効果発現までの時間及び効果持続時間の保証となるもの又は安全性の保証表現となるものは認められない。 出典:医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について エステサロン・美容室で医療機器と同じような広告表現は薬機法違反 エステサロンで使用するローラーなどの器具は美容機器にあたります。したがって美容クリニックのイオン導入と同じ効能効果があるような広告表現は、「未承認の医療機器の広告」として薬機法違反となります。 (承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止) 第六十八条 何人も、医薬品若しくは医療機器又は再生医療等製品であつて、まだ承認又は認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。 出典:薬機法第68条 また、あたかも美容クリニックと同じイオン導入施術を行うような広告表現は、虚偽・誇大広告にも該当するため注意が必要です。ちなみに、美容皮膚科医が効果を保証するような広告表現についても禁止されています。 (誇大広告等) 第六十六条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。 2 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。 出典:薬機法第66条 景表法違反となる可能性も エステサロンや美容室の広告制作の際には、薬機法だけでなく景表法(景品表示法)についても確認しておきましょう。 景表法において、商品やサービスが事実よりも著しく優良であるような広告は「優良誤認表示」として禁止されています。「イオン導入」についての広告において優良誤認表示が疑われている場合は、広告の内容についての合理的な根拠が求められるため注意しましょう。 (不当な表示の禁止) 第五条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。 一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの 出典:景表法第5条 まとめ 美容クリニックでのイオン導入施術は医療機器を使うのに対し、エステサロンや美容室で使う器具は「美容機器」にあたります。美容機器の効果効能表現は、化粧品で認められている範囲までに留めることが大切です。 エステサロンや美容室で使う美容機器や化粧水は、薬機法による広告規制の対象です。また、過剰にイオン導入の効果をアピールすることは「優良誤認表示」として景表法違反にも該当するため十分注意しましょう。
「満足度No.1」を広告で謳える?言い換え表現は?薬機法・景表法を解説
商品の広告で「満足度No.1」という表現は、聞いた事がありますよね。 「顧客満足度」「業界満足度」など表現は色々ありますが、この表現はそもそも薬機法と景表法に違反する可能性があり、合理的な根拠に基づいたものでなければいけません。 また、対象のものによって表現可能な範囲も変わり、「No.1」表現にもガイドラインがあります。満足度表現がどのようにガイドラインに違反するのか、適正な広告表現にするにはどうしたら良いか解説していきます。 薬機法・景表法とは? 薬機法 医薬品、医療部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品について安全性と、身体への有効性を確保するための法律です。危険で拡大防止の必要があるものは規制し、消費者の安全を守り、保健衛生の向上を目的としています。 医薬品等の製造、販売、広告する際に、この法律に則ったものにする必要があり、それぞれ細かく定義されています。 -対象- 医薬品(疾病の診断、治療又は予防に使用されるもの 風邪薬、鎮痛剤等) 医薬部外品(効果が医薬品より緩和なもの 育毛剤、薬用入浴剤、うがい薬、保健上の動物の駆除剤等) 化粧品(コスメ類、シャンプーリンス、歯磨き、石鹸、香水等) 医療機器(血圧計、体温計、補聴器、AED等) 再生医療等製品(人又は動物の細胞を培養して加工を施したもの 皮膚再生用品) 景表法 景表法とは、正式名は「不正景品類及び不当表示防止法」です。 不当表示の中でも商品やサービスの品質、規格などにあたるのは「優良誤認表示」です。 ①「著しく優良であると一般消費者に誤認される表示」 ②「事実に相違して競争関係にある事業者に係るものより著しく優良であると示すこと」 実際の商品より優れていると偽ったり、競合相手よりあたかも優れているような誇大広告をした場合、優良誤認表示となります。 また、合理的根拠がない効能、効果を表示した場合も優良誤認表示となります。この根拠については、資料の提出が求められる場合があります。 「満足度No.1」を広告で表現できる? 満足度No.1の表現は根拠に基づくものであれば認められます。虚偽の情報を掲載したり、根拠となる資料が不十分な場合は、誇大広告で違反となります。薬機法では、広告に関しては以下のように定められています。 第六十六条 誇大広告等 第六十七条 特定疾病用の医薬品及び再生医療等製品の広告の制限 第六十七条 承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止 景表法では、No.1表記が合理的な根拠に基づいておらず、事実と異なる場合や、競争事業者のものより著しく優良に見せ、消費者に誤認される場合は不正表示として景表法に抵触します。不正表示とならないためには、 1.表示内容が客観的な調査に基づいている 2.調査結果が正確、適正に引用している どちらも満たす必要があります。満足度に関する調査を行った調査会社、調査対象、調査期間など細かく記す必要があります。 化粧品は、薬機法や景表法に加えてガイドラインが存在するため、細かく定められています。 化粧品での違反例 根拠のないNo.1表記 自社を優位に強調する表現 効果、安全性に関するNo.1表記 「満足度」は、商品を使用者を対象に客観的な調査をし、調査の概要を明示し、適切に引用されたものであることが必要です。 「No.1」の表記も同様に、根拠に基づいたものであれば問題ありませんが、「安全性・効果」に対するNo.1表記は認められません。化粧品の場合は、使用感、使いやすさなどと表記しなければいけません。化粧品等の適正広告ガイドラインでは、「No.1」表記についてこのように定めています。 F8.2 「No.1」の表現 「効き目No.1」、「安全性No.1」等のNo.1に関する表示は効能効果、安全性についての最大級表現に該当するため行わないこと。ただし、効能効果、安全性に該当しない「売上No.1」等のように、消費者に効能効果、あるいは安全性に対する誤認を与えない表現で、客観的調査に基づく結果を正確適切(調査会社、調査期間等)に引用し、出典を明らかにしながら表現することは差し支えない。 出典:https://www.jcia.org/user/common/download/business/advertising/JCIA20200615_ADguide.pdf 化粧品の広告で使用が認められる表現 化粧品で満足度No.1は、安全性、効果を謳うことは認められないため、それ以外の表現にしなければいけません。「使用感の満足度No.1」このような広告表現は認められます。使用方法、使用感、香りの嗜好性についての満足度は表現可能です。 ※合理的な根拠あることを前提となります。 健康食品での違反例 根拠のないNo.1表記 自社を優位に強調する表現 効果、安全性に関するNo.1表記 化粧品のガイドラインのような規制はありませんが、化粧品と同様に、合理的な根拠があることが前提の表記になります。 安全性や効果についても「満足度No.1」は使用できません。 健康食品の広告で使用が認められる表現 合理的根拠に基づいたものであれば、以下のように表現可能です。 サプリ部門 お客様満足度No.1 売上No.1 口コミランキングNo.1 根拠となる資料の提出を求められ、内容が不十分な場合は罰則となります。健康食品は、医薬品のような表現を用いたときは薬機法、広告に虚偽の内容や誇大広告などの不当表示を行った場合は景表法、健康増進法に抵触します。実際に、お客様満足度の調査が適した内容で行われておらず、罰則となった事例もあるので注意しましょう。 美容機器、雑貨での違反例 根拠のないNo.1表記 自社を優位に強調する表現 効果、安全性に関するNo.1表記 美容機器、雑貨においても化粧品などと同様に、合理的根拠が必要となり、効果、安全性を保証する表現はできません。 また、美容機器は化粧品と同様の効能効果の範囲で広告表現を考え、顔の形を変化させたり、身体の構造、肌機能に影響を及ぼすものは認められません。家庭向け美容・健康関連機器適正広告ガイドでも、安全性の保障表現の禁止など記載されています。 美容機器、雑貨の広告で使用が認められる表現 合理的根拠に基づいたものであれば、以下のような表現可能です。 美顔器部門 お客様満足度No.1 売上No.1 口コミランキングNo.1 根拠となる資料の提出を求められ、内容が不十分な場合は罰則となります。美容機器や雑貨は医療機器のような表現を用いた表現は薬機法、広告に虚偽の内容や誇大広告などの不当表示は景表法等に抵触します。 実際に、お客様満足度の調査が適した内容で行われておらず、罰則となった事例もあるので注意しましょう。 まとめ 「満足度No.1」の広告表現を行う際のポイントは、満足度に関する適切な調査が行われたか。調査結果を正確に引用し、合理的根拠があるものとなっているのかです。 また、安全性、効果について満足度No.1を謳うことはNGです。この条件を満たし、広告表現できます。消費者に与えるインパクトが強い言葉なので、販売促進となりますが、注意して広告を行いましょう。 ※違反事例、言い換え表現についてはあくまで参考として捉えてください。表現の違反等の判断については最新の情報を常にアップデートして頂くことが大切です。また、各都道府県の薬務課によって見解が異なりますので、ご理解頂きますよう宜しくお願い致します。
電子メールの広告における注意点 薬機法•景表法を解説
広告宣伝のために電子メール広告や、メルマガ送付することでユーザーに商品やサービスの宣伝が行われることがあります。メルマガの送付にも法的な規制があります。特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)、特定商取引法で、メルマガ等が規制されています。 また、医薬品等適正広告基準でも電子メールの適正な使用について記載されています。どのような基準でメルマガ等が規制されているのか、薬機法、景表法とどのように関わるのか解説していきます。 薬機法・景表法とは? 薬機法 医薬品、医療部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品について安全性と、身体への有効性を確保するための法律です。危険で拡大防止の必要があるものは規制し、消費者の安全を守り、保健衛生の向上を目的としています。 医薬品等の製造、販売、広告する際に、この法律に則ったものにする必要があり、それぞれ細かく定義されています。 -対象- 医薬品(疾病の診断、治療又は予防に使用されるもの 風邪薬、鎮痛剤等) 医薬部外品(効果が医薬品より緩和なもの 育毛剤、薬用入浴剤、うがい薬、保健上の動物の駆除剤等) 化粧品(コスメ類、シャンプーリンス、歯磨き、石鹸、香水等) 医療機器(血圧計、体温計、補聴器、AED等) 再生医療等製品(人又は動物の細胞を培養して加工を施したもの 皮膚再生用品) 景表法 景表法とは、正式名は「不正景品類及び不当表示防止法」です。 不当表示の中でも商品やサービスの品質、規格などにあたるのは「優良誤認表示」です。 ①「著しく優良であると一般消費者に誤認される表示」 ②「事実に相違して競争関係にある事業者に係るものより著しく優良であると示すこと」 実際の商品より優れていると偽ったり、競合相手よりあたかも優れているような誇大広告をした場合、優良誤認表示となります。 また、合理的根拠がない効能、効果を表示した場合も優良誤認表示となります。この根拠については、資料の提出が求められる場合があります。 景表法は、広告する際に大きく関わってきます。電子メールやウェブサイトにおいても消費者に誤認されるような広告表現をした場合、違反として措置命令が科せられます。薬機法は主に、医薬品、医薬部外品、化粧品などの法律となりますが、景表法は広告されるすべてのものが対象です。 景表法の違反による法的措置件数は消費者庁発表によると、 2022年 措置命令 20件 課徴金納付命令 6件 (2022年9月30日時点)となっており、2021年は措置命令が全部で41件となっています。 出典:https://www.caa.go.jp/notice/assets/information_other_221101_0001.pdf 電子メールの広告における注意点 特定電子メール法、特定取引法 電子メールの広告は、特定電子メール法、特定商取引法でそれぞれ異なる目的で、メルマガについて規制していますが、どちらも「同意なくメルマガを送付すること」を禁じています。 同意といえるのは、 1.受信者がメルマガ等の送信が行われることを認識していること 2.送付についての賛成の意思を表示すること 3.同意した者がメルマガ送信する者が誰なのか認識できること これらのことが必要になります。 Webサイトの記載方法により、画面をスクロールさせないと全文が表示されない利用規約の中に記載され、明らかに利用者が気づかないようになっていたときは、同意があると認められません。利用者がチェックマークをつける等、明らかに分かるように記載されていなければ同意を得たことになりません。 同意のないメルマガ配信を行った場合、総務大臣、内閣総理大臣による改善措置命令がなされます。措置命令に従わない場合は、懲役や罰金が科されます。 医薬品等適正広告基準 医薬品等による保健衛生上の危害の発生の防止、虚偽誇大広告が行われないよう適正な広告を行うためのガイドラインです。このガイドラインで電子メールによる広告の規制されています。 12 不快、迷惑、不安又は恐怖を与えるおそれのある広告の制限 広告に接した者に、不快、迷惑、不安又は恐怖を与えるおそれのある表現や方法を用いた広告を行ってはならない。 特に、電子メールによる広告を行う際は、次の方法によらなければならない。 (1)医薬品販売業者の電子メールアドレス等の連絡先を表示すること。 (2)消費者の請求又は承諾を得ずに一方的に電子メールにより広告を送る場合、メールの件名欄に広告である旨を表示すること。 (3)消費者が、今後電子メールによる広告の受け取りを希望しない場合、その旨の意思を表示するための方法を表示するとともに、意思表示を示した者に対しては、電子メールによる広告の提供を行ってはならないこと。 <共通> (4)電子メールによる広告について 種々の商取引において電子メールを使用した商業広告により、 ①十分な取引条件の説明がなく、取引に入った消費者が後から高額な請求を受けるなどのトラブルに巻き込まれる。 ②電子メールの開封の有無にかかわらず、受信料がかかる場合がある。 ③電子メールの開封、廃業に時間が消費される。 等の被害が社会問題化していることから規定するものである。 特定電子メール法、商取引法と共通する部分があり、同意なくメルマガを送付しないこと、相手が分かるようにすること、賛同の意思を表明できることなどがポイントとなります。 医薬品適正広告基準では、電子メールでおこるトラブルについても記載されています。高額請求や、受信料の問題。それに係る労力も問題となることから規定されています。 ウェブサイトの広告表現の規制 医療法の改正の際に、医療機関のウェブサイトも原則規制の対象になりました。以前は自主的な管理とされていましたが、美容医療の広告のトラブルが多発したことをきっかけに、ガイドラインの施行に至りました。規制の対象には、メールで広告が送付されるメルマガも含まれており、ブログ、パンフレット等も含まれます。 広告と判断される内容 顧客の購買意欲を上げる意図が明確であること 特定の医薬品の商品名(商品そのものの名前)が明らかにされていること 一般人が認知できる状態であること これらすべての要件を満たすものが広告とみなされます。メルマガで広告を行う際は、ガイドラインに沿ったものにしなければいけません。 薬機法の広告表現の規制 薬機法では、広告の規制について第六十六条、六十七条、六十八条で定められています。 代表的なものは誇大広告について禁止しているものです。決められた効能効果を逸脱し表現や、製品について虚偽、又は誇大な記事を広告してはならないとされています。 (誇大広告等) 第六十六条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。 2 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。 3 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品に関して堕胎を暗示し、又はわいせつにわたる文書又は図画を用いてはならない。 出典:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000145 第六十七条 特定疾病用の医薬品及び再生医療等製品の広告の制限 第六十七条 承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止 2021年8月から、誇大広告を行った場合の罰則として、課徴金制度が導入されました。違反商品を販売した売上の4.5%に相当する額が徴収されます。薬機法違反の罰則規定は、第83条の6から第91条に及んで定められています。安全性や信頼性をそこなう行為ほど罰則が重く、懲役や罰金など科せられます。 まとめ 電子メールの広告の注意点、薬機法、景表法について解説しました。 電子メールは各ガイドラインに沿って、消費者のメルマガの同意、相手が明確に分かるメールの送付、メルマガを希望するかの意思表示ができるようにすることがポイントです。薬機法や景表法で定められている広告に関する規定を順守し、メールでの広告の発信をしていきましょう。 ※違反事例、言い換え表現についてはあくまで参考として捉えてください。表現の違反等の判断については最新の情報を常にアップデートして頂くことが大切です。また、各都道府県の薬務課によって見解が異なりますので、ご理解頂きますよう宜しくお願い致します。
安全性や効能効果を保証する表現はNG?化粧品•医薬部外品に関する薬機法と景表法
商品の広告として、「安心安全」「効果を保証」など、安全性を強調するものや、成分の効果について保証する表現は説得力のある言葉に聞こえますが、広告表現としては認められません。 この表現が薬機法や景表法で違反する理由や適切な広告表現について解説していきます。 薬機法・景表法とは? 薬機法 医薬品、医療部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品について安全性と、身体への有効性を確保するための法律です。 危険で拡大防止の必要があるものは規制し、消費者の安全を守り、保健衛生の向上を目的としています。医薬品等の製造、販売、広告する際に、この法律に則ったものにする必要があり、それぞれ細かく定義されています。 -対象- 医薬品(疾病の診断、治療又は予防に使用されるもの 風邪薬、鎮痛剤等) 医薬部外品(効果が医薬品より緩和なもの 育毛剤、薬用入浴剤、うがい薬、保健上の動物の駆除剤等) 化粧品(コスメ類、シャンプーリンス、歯磨き、石鹸、香水等) 医療機器(血圧計、体温計、補聴器、AED等) 再生医療等製品(人又は動物の細胞を培養して加工を施したもの 皮膚再生用品) 景表法 景表法とは、正式名は「不正景品類及び不当表示防止法」です。不当表示の中でも商品やサービスの品質、規格などにあたるのは「優良誤認表示」です。 ①「著しく優良であると一般消費者に誤認される表示」 ②「事実に相違して競争関係にある事業者に係るものより著しく優良であると示すこと」 実際の商品より優れていると偽ったり、競合相手よりあたかも優れているような誇大広告をした場合、優良誤認表示となります。 また、合理的根拠がない効能、効果を表示した場合も優良誤認表示となります。この根拠については、資料の提出が求められる場合があります。 安全性や効能効果を保証する表現は広告で表現できる? 医薬品等適正広告基準(薬機法に基づいて医薬品などの広告が虚偽、誇大とならないように適正を図るために厚生省薬務局長長から各都道府県に通知された基準)で定められています。 効能効果等、用法容量等について、承認範囲を超える表現、事実誤認のおそれのある表現の禁止 効能効果等又は安全性について保証する表現、最大級の表現等の禁止 本来の効能効果等と認められない又は誤認のおそれのある表現の禁止 医薬品等の過量消費又は乱用助長を促す表現の禁止 医薬関係者以外の一般向けの医療用医薬品等の広告の禁止 等 出典:https://www.mhlw.go.jp/content/000693248.pdf 上記のように、安全性、効能効果についての保証表現は認められていません。 医薬部外品、化粧品の広告表現の違い 医薬部外品と化粧品では、それぞれの定義や効能効果の範囲が異なるため、広告表現も異なります。 共通しているのは、認められている効能効果以外の医薬品的な効果効能は謳えないということです。 医薬部外品の定義は以下の通りです。 この法律で「医薬部外品」とは、次に掲げる物であつて人体に対する作用が緩和なものをいう。 一 次のイからハまでに掲げる目的のために使用される物(これらの使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの イ 吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止 ロ あせも、ただれ等の防止 ハ 脱毛の防止、育毛又は除毛 出典:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000145 また、医薬部外品には害虫駆除剤なども含まれます。 医薬部外品で定められている効果がこのように決められており、具体的な効能効果の範囲も15項目で定められています。薬用化粧品は、医薬部外品に分類され、その本質が化粧品であることから薬用化粧品といわれます。 化粧品の定義は以下の通りです。 第二条三項 この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌ぼうを変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、第一項第二号又は第三号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く。 出典:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000145 化粧品は、作用が緩和なもので、主に身体を清潔にし、美化するものと定義されています。 化粧品の効能効果の範囲は56項目で定められており、医薬部外品よりも効果の範囲は限定されています。医薬部外品は、身体へ変化を与える効能も認められているものがありますが、化粧品は認められていません。これが医薬部外品と化粧品の大きな違いです。この違いを踏まえて広告表現を行いましょう。 化粧品での違反例 美白効果保証 業界最高基準の安全性 誰でも安全に使用できます これさえあれば、肌の悩みが解消 安全性保証済み 効果効能、安全性を保証する表現はできません。 「最高」「最大級」など、最高級表現も認められていないため、広告で使用できません。「誰でも安全に使用できます」という表現は、人それぞれにアレルギーや体質があるため誰でも安全に使えるということはそもそもありません。製品を安全に生産したものでも、生産の安全性と誰にとっても安全というのは意味が異なります。化粧品等の適正広告ガイドラインでは、このように明確に記載されています。 F8.0 効能効果又は安全性についての最大級表現又はこれに類する表現禁止の原則 化粧品等の効能効果又は安全性について、最大級の表現又はこれに類する表現は行わないものとする。 例えば「比類なき安全性、「絶対安全」等のような最大表現を行わないこと。 出典:https://www.jcia.org/user/common/download/business/advertising/JCIA20200615_ADguide.pdf 言い換え表現(参考) やさしく肌を整える 低刺激成分 健康的に肌にハリを与える 「安心安全」という言葉は使用できません。 効果効能を保証する表現はできないため、化粧品の効能効果の範囲で定められた表現も用います。化粧品の効能効果の範囲として定められている56項目中の16項目は肌や皮膚に関するものです。 (17)(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。 (18)(清浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。 (19)肌を整える。 (20)肌のキメを整える。 (21)皮膚をすこやかに保つ。 (22)肌荒れを防ぐ。 (23)肌をひきしめる。 (24)皮膚にうるおいを与える。 (25)皮膚の水分、油分を補い保つ。 (26)皮膚の柔軟性を保つ。 (27)皮膚を保護する。 (28)皮膚の乾燥を防ぐ。 (29)肌を柔らげる。 (30)肌にはりを与える。 (31)肌にツヤを与える。 (32)肌を滑らかにする。 出典:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000145 健康食品での違反例 無添加で安心安全 誰でも安心して使用できます 疲労回復効果あり 健康食品の「安全安心」という広告は、明確に禁止されている法律はありませんが、文脈から過度な表現となっている場合は違反となります。保証表現も同様です。無添加という表記も注意が必要で、無添加だから安心ではなく、何の成分が入っていないことで無添加となるのか具体的に記載しなければいけません。無添加を強調する広告や明確でないものは法律に違反します。 消費者に誤解を与える広告には景表法で不当な表示として違反となり、他にも健康増進法、薬機法に抵触する可能性があります。 保健機能食品 健康食品は、一般の食品と同類のもの、国が定めた安全性と効果に関する基準などに従って、機能性が表示されている食品は「保険機能食品」といいます。 この「保険機能食品」には、「特定保健用食品」「栄養機能食品」「機能性表示食品」の3種類が該当します。それぞれで定められている効果の範囲から逸脱した広告表現をした場合は、違反となります。 言い換え表現(参考) 健康な毎日をサポート 毎日続けやすい、健康習慣を やさしく栄養を補える 健康をサポートする表現や、使用感を表した広告が適しています。健康食品は、あくまで必要な栄養を補うもので、身体の機能を回復させるものではありません。消費者に誤解を与える広告は違反となるので気をつけましょう。 美容機器、雑貨での違反例 これを使うだけで痩身効果あり 誰でも小顔になれる 過去最高の安全基準 美容機器は、化粧品と同様の効能効果の範囲で広告表現を考え、顔の形を変化させたり、身体の構造、肌機能に影響を及ぼすものは認められません。効果の範囲を超えた効果を保証する表現、誇張した安全性や効果を広告した場合は、違反行為となります。 美容機器は以下のように定義されています。 美容機器とは 身体(肌を含む)の構造・機能に影響を与えないもので、単に美容(洗顔や化粧品を塗る動作の代用程度)を目的とするもの。生えている「毛」のみを物理的に切断するもの。 皮膚のシミ・ソバカスを除去、新陳代謝促進、脂肪燃焼、毛根に作用して半永久脱毛するもの等、身体の構造・機能に影響を与えるものは医療機器に該当する可能性が高いため表現に注意が必要。 出典:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000145 言い換え表現(参考) 肌をひきしめる効果 お家で手軽に美容ケア 気分のリフレッシュに ○○をサポートや使用感について表現することは可能です。医療機器と思わせるような表現、消費者の誤解を招く表現とならないように注意しましょう。 まとめ 安全性や効能効果を保証する表現について解説しました。基本的に安全性や効能効果を保証する広告表現は認められません。健康食品では、明確に禁止されていませんが、広告表現が消費者に誤解を招く表現や、根拠のない広告を行うと、薬機法、景表法などに抵触する可能性があるので、注意しましょう。 ※違反事例、言い換え表現についてはあくまで参考として捉えてください。表現の違反等の判断については最新の情報を常にアップデートして頂くことが大切です。また、各都道府県の薬務課によって見解が異なりますので、ご理解頂きますよう宜しくお願い致します。
健康食品に関する薬機法 酵素サプリ・酵素ドリンクの広告における注意点
酵素には消化や代謝などを助ける働きがあると言われ、酵素を含むサプリやドリンクなどは健康食品として人気があります。 しかし広告などで酵素を扱う場合には法律に抵触しないように十分注意すべきと言えます。広告で表現する内容によっては「知らずに使っていて法律違反」ということも考えられ、法律違反してしまう事態は避けたいところです。 そこで本記事では「酵素」の効果などを広告で謳う際に注意すべき法律や具体的な表現などを分かりやすく解説していきます。酵素の健康食品を広告で扱う方などはぜひ最後まで読んで参考にしてください。 話題の「酵素」とは 酵素とは身体の中にある必須のたんぱく質のひとつです。人を含む動物が、摂取した食物を消化・吸収・代謝する際など、体で起こる様々な反応をスムーズにするために酵素が必要になります。 酵素には下記の2種類があります。 体内酵素 体外酵素 「体内酵素」はもとから体にあるもので、「体外酵素」は食べ物などで身体に取り入れます。「体内酵素」には消化器官から分泌される「消化酵素」と、吸収された栄養素を細胞に届ける「代謝酵素」があります。「体外酵素」には食べ物に含まれる酵素である「食物酵素」があります。それぞれの酵素について少し詳細を説明します。 消化酵素 「消化酵素」は食べた物を分解して、体に吸収しやすいようにします。代表的なものはでんぷんを分解する「アミラーゼ」、たんぱく質を分解する「プロテアーゼ」、脂肪を分解する「リパーゼ」などがあります。 代謝酵素 「代謝酵素」は消化酵素以外のもので、吸収された栄養素を体の細胞に届けます。主に血液循環や新陳代謝をよくすると言われています。 食物酵素 「食物酵素」は食べ物に含まれる酵素です。主に体内の消化酵素の節約をしたり、代謝酵素の働きを良くします。生野菜や味噌、納豆などの発酵食品などに含まれています。 健康食品で気をつけるべき薬機法、景表法 健康食品に酵素が含まれているものもありますが、広告などで効果を謳う際は法律違反にならないか注意が必要です。薬機法や景表法の詳細を見ながら気を付けるべき表現などを見ていきましょう。 薬機法とは まずは薬機法から確認していきます。 正式名所は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と呼ばれ、「薬機法」「医薬品医療機器等法」など省略して呼ばれることが一般的です。 主に下記の薬品類や医療機器、化粧品などが薬機法の対象になります。 薬機法の対象 医薬品(医療用医薬品、市販薬、血液学的検査薬等) 医薬部外品(うがい薬、殺虫剤、染毛剤、栄養ドリンク等) 化粧品(一般的な化粧品、シャンプー、スキンケア用品等) 医薬機器(ペースメーカー、人工関節、超音波画像診断装置など) 再生医療等製品(心筋の細胞シート等) 出典:厚生労働省 厚生労働省は上記の医薬品や化粧品などの対象物に対して安全性や有効性を確保するために、「開発」「製造」「販売」「流通」「使用」などあらゆる場面で規制が細かく定めています。 (誇大広告等) 第六十六条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。 2 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。 3 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品に関して堕胎を暗示し、又はわいせつにわたる文書又は図画を用いてはならない。 出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 薬機法では細かい場面ごとの法律が定められており、広告に関しても規制があります。医薬品など扱う場面で製造方法や効果について明示的暗示的に関わらず「虚偽や誇大な表現」は禁止されています。誤認されるような広告も違反にならないように注意すべきでしょう。 (承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止) 第六十八条 何人も、第十四条第一項、第二十三条の二の五第一項若しくは第二十三条の二の二十三第一項に規定する医薬品若しくは医療機器又は再生医療等製品であつて、まだ第十四条第一項、第十九条の二第一項、第二十三条の二の五第一項、第二十三条の二の十七第一項、第二十三条の二十五第一項若しくは第二十三条の三十七第一項の承認又は第二十三条の二の二十三第一項の認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。 出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 健康食品の場合は基本的には薬機法の対象外となります。 しかし、表現の方法によっては薬機法の対象になる可能性があるので注意が必要でしょう。健康食品の範囲内での表現ならよいのですが「医薬品と思わせるような表現」はNGです。 景表法とは 健康食品の広告を扱うにあたり、景品表も関わってきます。詳細を見ていきましょう。 (目的) 第一条 この法律は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とする。 出典:不当景品類及び不当表示防止法 景表法は正式名称が「不当景品類及び不当表示防止法」という名前で、不当な誘導などで商品販売の場で顧客が不利益にならないように防止する法律です。景表法では、規制をつくることにより消費者の方が「自主的かつ合理的」に良い商品を選べる環境づくりを目指しています。解決したい悩みにそぐわない商品を買わないためにも、顧客側にとってありがたい規制と言えるでしょう。 <不実証広告規制の概要> 消費者庁は、商品・サービスの効果や性能に優良誤認表示の疑いがある場合、その事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができます。当該資料が提出されない場合、当該表示は不当表示とみなされます。 出典:消費者庁 少しだけ景表法の詳細も見ていきましょう。健康食品の場合、特に注意すべきは「不実証広告規制」です。 健康食品で効果などを謳う際は「合理的な根拠なし」で伝えることはできません。商品のすばらしさを伝えたいがため表現を強くしてしまう場合など、景表法に抵触しないかは特に注意すべきでしょう。 酵素サプリ、ドリンクの広告における注意点 実際に酵素サプリやドリンクを扱っており「広告で効果を伝えたい」という場合はどのようなことに気を付ければよいのでしょうか。ここまでの内容をもとに解説していきます。 酵素サプリ、ドリンクで認められない表現 薬機法の観点でみると下記の表現などは特に気を付けるべきと言えます。実際に活用する際は薬機法違反になってしまう可能性があります。 免疫力が上がる 血液サラサラ 代謝を促進 上記のような身体の機能に影響を与える表現は医薬品的な効果となり、薬機法違反になる可能性があります。扱う際の表現には十分注意すべきでしょう。 酵素サプリ、ドリンクで認められる表現 それではどのような表現であれば法律に触れることなく広告に載せてもよいのでしょうか。実際の例を交えながら確認していきましょう。前述の通り、暗示的・明示的に関わらず「身体の機能に影響を与える」表現は薬機法に抵触してしまいます。そのため抽象的な表現や栄養補給のような医薬品に該当しない表現が求められます。 言い換え表現(参考) ここまでの内容をもとに、酵素サプリやドリンクで扱う場合の広告表現の言い換えを記載します。酵素サプリやドリンクなどを検討されている方はぜひ参考にしてください。 NG:酵素ドリンクで代謝促進 OK:日々の元気に NG:酵素ドリンクで代謝促進 OK:食事でとりにくい成分を まとめ 本記事では健康食品で酵素を広告などで扱う際に気を付けるべき法律について解説しました。 酵素サプリで「代謝促進」などの効果を伝えると法律違反の可能性があります。知らないうちに薬機法や景表法に触れてしまう可能性もあり、酵素の効果を謳う際には表現などを十分に注意すべきと言えるでしょう。健康食品の広告などを扱う際はぜひ今回の内容を参考してみてください。
化粧品のサンプル配布は薬機法で違反になる?
今回は、化粧品をサンプル・プレゼントとして配布する場合の規制について解説していきます。 薬機法とは 「薬機法」とは正式名称「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」で「医薬品医療機器等法」と略されることもあります。2014年の法改正に伴い、薬事法から薬機法に名称が変更されました。 「薬機法」は、どのような広告表現が違反となるのかを、「医薬品等適正広告基準」としてまとめており、厚生労働省が管轄しています。製造、表示、販売、流通、広告、市販後の安全対策などにも関わる法律で、保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止・指定薬物の規制・医薬品や医療機器、再生医療等製品の研究開発の促進を目的としています。 薬機法は医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品について規制しています。医薬品は病気の診断や予防、治療に用いられるもので、医療用医薬品・一般用医薬品・要指導医薬品に分けられます。 医療用医薬品は、医師の商法により薬剤師のいる薬局で購入できます。一般医薬品は、薬剤師のいる薬局やドラッグストアで購入できる第一類医薬品、薬剤師もしくは登録販売者のいる薬局やドラッグストアで購入できる第二類医薬品、第三類医薬品に分類されます。要指導医薬品は医療用に準じた医薬品です。 リスクが不確かなものや、劇薬などで自由に手に取ることができない場所においてあります。薬剤師から対面で指導を受けて文書で情報提供を受けると購入することができます。医薬部外品は人体に対する作用が緩和なもので、医療機器でないものをいいます。 医薬品と化粧品の間に位置し、有効成分が配合されたもので、成分表示は自主基準です。化粧品は、人体に対する作用が緩和なもので、皮膚や髪、爪の手入れや保護、着色、賦香を目的として用い入れられるものです。 そのサンプルは開発中?開発後販売後? そのサンプルが販売前の物なのか、既に販売されているものなのかによって答えが大きく変わってきます。 まずは開発後、販売後の場合について説明したいと思います。 化粧品サンプルを作るには業許可が必要 化粧品の場合、サンプルを作るには業許可が必要になります。自社で化粧品に関する業許可を持っていない場合は、そもそもサンプルを作って配ることができません。 自分で使う分には勝手に作っても問題ありませんが、作った上で、たとえ無償であっても自分以外の他人に渡す、配るということが法律上で違反になります。 自社で作っていない場合はOEMにて作る場合があると思いますが、その場合は例えサンプルであってもOEMに依頼することになります。 その他、よくある違反例 勝手に小分けする よく見かける違反事例としては、通常商品があって、サンプル用の小さい容器に入った商品がない場合、自社で小さい小分け容器に入れて、サンプルを作るという事例をとにかくよく見かけます。特に展示会に出店用に小分けサンプルを作るという事例です。 これに関しては、自社で業許可を持っていない場合は薬機法違反となります。例え小さいサンプルであっても、依頼しているOEMメーカーに作ってもらう必要があります。 勝手にシール貼り、デコレーションをする こちらもよく見かける例です。 サンプル用に小分けしたサンプルにシールを貼る、正規品にシールを貼ったり、その他セット品を作るなど、いわゆる包装作業と呼ばれる行為をするには、こちらも業許可が必要なため、許可がない場所で勝手に作業をしたサンプル品は薬機法違反となります。 上記同様、OEMメーカーに依頼をする必要があります。 開発中のサンプル配布の規制は? こちらについては、あまりにも情報が少ないため分かっていない部分がありますが、各情報をまとめてみました。 通常医薬品は開発中のものでも申請が必要となりますが、化粧品、医薬部外品に関しては下記の通り原則申請等が不要のため、販売後に様々な薬機法を含む法規制の対象になることが考えられます。 引用: 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の概要 厚生労働省 サンプルの配り方には注意も必要 では、開発中であれば何でもしてよいのかというとそうではないように思います。 サンプルの場合、何のブランドの何の商品であるかが分かった上で、サンプルのモニターを行った場合は広告になってしまい違反となるようです。 ですので、例えば開発中の化粧水のモニターを募集する場合は「化粧水A」など何の商品か分からないように配慮し、適当な名称をつけてモニター募集をする必要があると思われます。 治験に係る被験者募集の情報提供の取扱いについて 平成11年6月30日 医薬監第65号 各都道府県衛生主管部(局)長宛 厚生省医薬安全局監視指導課長通知 今般、治験を円滑に推進するための検討会の報告書が別添のとおりとりまとめられ、そ の中で、 「薬事法においては、治験薬の商品名を特定しない範囲で治験薬につき情報提供 を行うことは可能であると考えられる。」旨記述がされている。 これは、薬事法(昭和35年法律第145号)に基づく広告の取扱いについて、平成10年9月29日医薬監第148号により、その該当性について示したなかで、治験の実施に当たり被験者を募集する ために情報提供を行う場合であって、治験薬の名称、治験記号等を表示しない場合は、同 通知、「特定医薬品等の商品名等が明らかにされていること」に該当しないことから広告 には該当しないことを踏まえた記述であり、この報告書のとおり、被験者の募集を実施す ることは差し支えないものである。 なお、医療法(昭和23年法律第205号)では医業等に関する広告が規制されており、医療機関 関が行う治験については医業に該当することから、医療機関外に情報提供を行う場合、治験を実 施する医療機関の名称等を掲げることはできないこととされているのでご留意願いたい。 ※ ( )書きの部分は、平成13年1月31日付医薬監麻第50号にて削除 東京都福祉保健局 令和4年度 医薬品等広告講習会 資料 第4章 表示・広告関連通知等 その他注意したいこと 完全にクローズドで行い、モニター治験者のSNS等への投稿は控えてもらう 簡素な秘密保持契約など、情報漏れに注意する 安全性や何か肌トラブルがあった時のことを考え、運営側の連絡先を明記しておく モニター治験者の住所や連絡先等を把握し、いつでも相互連絡を取れるようにしておく サンプルは使い切る、使い終わったら廃棄してもらう、回収するなどの対応 サンプル配布にあたり、このあたりの対応をしていく必要はあるかと思います。 ※今回の情報では、情報が少ないため分かる範囲にて調べました。もし、情報が間違っている、より適切な表現があるなどの場合には、お手数ですが運営担当までご連絡頂ければと思います。 まとめ 薬機法は正式名称「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」で、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品についてどのような広告表現が違反となるのかを、「医薬品等適正広告基準」としてまとめており、厚生労働省が管轄しています。 医薬品の無料サンプルを配布する場合は、医薬品の授与にあたるため、薬局の開設もしくは医薬品販売業の許可が必要になります。 業として商品を流通させるかどうかが重要です。 社内研修で自社のサンプルを配布することは可能となります。 業許可取得前に社外へ流出させてしまうと、薬機法違反になる可能性がありますので注意が必要です。
インフルエンサーコスメも薬機法の対象?YouTubeやSNSに注意
SNSの普及により、インフルエンサーという言葉を耳にする機会が増えたのではないでしょうか。インフルエンサーとは、influence(影響・効果)という英語が語源で、世間や人の思考や行動に大きな影力のある人物のことをいいます。 芸能人やモデル、特定の分野の専門家、スポーツ選手、ユーチューバー、インスタグラマーなどのインターネット上で影響力のある方が多いです。 最近では、企業がインフルエンサーと組んで、インフルエンサーが監修した化粧品をプロデュースするケースが増えています。 本記事では、インフルエンサーが監修した化粧品をインフルエンサーコスメと呼びます。インフルエンサーがYouTubeやInstagramなどのSNSで、他社製品と比較するコンテンツを見たことがある方も多いのではないでしょうか? 実は、インフルエンサー自身が他社製品と比較して発信しまうと薬機法違反になってしまうのです。また、「薬機法の都合で言えませんがすごいです」というような、薬機法を逆手に取ったような表現もNGです。 他にもNGとなる表現例はたくさんありますが、基本的には、薬機法で定められた効能効果以外の表現や、医薬品的と誤認するような表現、事実と異なる表現を行わないことが重要です。ここからは、インフルエンサーと組んで商品を販売する企業様向けに、薬機法の注意点を解説いたします。 インフルエンサーコスメとは? YouTubeやInstagram、TwitterなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が普及したことにより、消費者が商品やサービスを購入する際にSNSを参考にする場面が増えました。 消費者のSNSの活用が増えたことを受け、企業がインフルエンサーを起用して商品の情報を効果的に発信していくことが増えました。 インフルエンサーを起用したPR戦略のことをインフルエンサーマーケティングといいます。 代表的な例としては、スキンケア化粧品やコスメがあります。 広告などで「〇〇監修コスメ」「〇〇プロデュースコスメ」など、〇〇の部分にモデルや芸能人、有名なインフルエンサーの名前が入ったものを見かけたことがある方も多いのではないでしょうか? このように、企業とインフルエンサーが組んでプロデュースした商品のことを「インフルエンサーコスメ」といいます。 化粧品の販売で気をつけるべき薬機法 近年、SNSを利用した広告が非常に多くなっている中、特に化粧品業界では、インフルエンサーを起用したWEB広告を使用するケースが多いです。 ここでは、化粧品の販売において気をつけるべき薬機法について説明いたします。薬機法とは、正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」で厚生労働省が管轄しています。薬機法の規制対象は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品で、これらの品質、有効性、安全性を確保することなどにより、保健衛生の向上を図ることを目的としています。規制対象となる化粧品の具体的な商品としては、一般的な化粧品・シャンプー・スキンケアなどの、身体を清潔にして美化するものがあります。 薬機法第2条3項により化粧品は下記のように定義されています。 この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌ぼうを変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、第一項第二号又は第三号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く。 *引用元:**昭和三十五年法律第百四十五号 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律*厚生労働省 一般の化粧品で、医療品と同等の効果を謳うことは認められていません。一般化粧品で表現できる効能、効果は、薬機法で定められており、それを超えた表現をすることは、規制の対象となる恐れがあるため、注意が必要です。 広告を作成する際は、「化粧品等の適正広告ガイドライン」に定められた56項目の表現を参考にして作成すると良いでしょう。 【化粧品等の適正広告ガイドライン】 (1)頭皮、毛髪を清浄にする。 (2)香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。 (3)頭皮、毛髪をすこやかに保つ。 (4)毛髪にはり、こしを与える。 (5)頭皮、毛髪にうるおいを与える。 (6)頭皮、毛髪のうるおいを保つ。 (7)毛髪をしなやかにする。 (8)クシどおりをよくする。 (9)毛髪のつやを保つ。 (10)毛髪につやを与える。 (11)フケ、カユミがとれる。 (12)フケ、カユミを抑える。 (13)毛髪の水分、油分を補い保つ。 (14)裂毛、切毛、枝毛を防ぐ。 (15)髪型を整え、保持する。 (16)毛髪の帯電を防止する。 (17)(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。 (18)(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。 (19)肌を整える。 (20)肌のキメを整える。 (21)皮膚をすこやかに保つ。 (22)肌荒れを防ぐ。 (23)肌をひきしめる。 (24)皮膚にうるおいを与える。 (25)皮膚の水分、油分を補い保つ。 (26)皮膚の柔軟性を保つ。 (27)皮膚を保護する。 (28)皮膚の乾燥を防ぐ。 (29)肌を柔らげる。 (30)肌にはりを与える。 (31)肌にツヤを与える。 (32)肌を滑らかにする。 (33)ひげを剃りやすくする。 (34)ひがそり後の肌を整える。 (35)あせもを防ぐ(打粉)。 (36)日やけを防ぐ。 (37)日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。 (38)芳香を与える。 (39)爪を保護する。 (40)爪をすこやかに保つ。 (41)爪にうるおいを与える。 (42)口唇の荒れを防ぐ。 (43)口唇のキメを整える。 (44)口唇にうるおいを与える。 (45)口唇をすこやかにする。 (46)口唇を保護する。口唇の乾燥を防ぐ。 (47)口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ。 (48)口唇を滑らかにする。 (49)ムシ歯を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。 (50)歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。 (51)歯垢を除去する(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。 (52)口中を浄化する(歯みがき類)。 (53)口臭を防ぐ(歯みがき類)。 (54)歯のやにを取る(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。 (55)歯石の沈着を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。 (56)乾燥による小ジワを目立たなくする。 注1)例えば、「補い保つ」は「補う」あるいは「保つ」との効能でも可とする。 注2)「皮膚」と「肌」の使い分けは可とする。 注3)( )内は、効能には含めないが、使用形態から考慮して、限定するもので ある。 引用:化粧品の効能の範囲の改正について|厚生労働省 薬機法には違反行為の抑止を図る目的で課徴金制度も設けられており、違反すると売上額に応じて課せられます。虚偽・誇大広告をしないように注意しましょう。 YouTubeやSNS、ライブ配信での発言にも注意 最近では雑誌や新聞、Web広告以外にも、YouTubeやSNS、ライブ配信などでインフルエンサーが商品の紹介をする機会が増えてきました。YouTubeやSNS、ライブ配信で化粧品について発言する際に、薬事法は関係するのでしょうか?YouTubeやSNS、ライブ配信で情報発信するインフルエンサーも薬機法の対象となります。 薬機法では規制対象が何人も、となっているため、インフルエンサーが情報を発信する場合も薬機法を意識する必要があります。 第六十六条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。 2 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。 3 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品に関して堕胎を暗示し、又はわいせつにわたる文書又は図画を用いてはならない。 引用:厚生労働省「医薬品等の広告規制について」 例えば、一般の化粧品であるにもかかわらず、医薬品のように治療効果があると発信した場合は薬機法違反になる可能性があります。 こんな表現に要注意 インフルエンサーがSNSなどで化粧品について情報配信する場合も、薬機法に気をつけて情報発信しなければなりません。 他の広告で表現をする際と同様に、一般化粧品において下記のような表現はNGです。 ・この美容液を使うと肌が白くなります ・この化粧水をつけると、シミが出来にくくなります ・毛穴が小さくなります ・くすみがなくなります ファンデーションなどによるメーキャップ効果で、肌を明るい印象にするという表現は可能になります。化粧品の効果で肌が白くなるという表現や、シミやソバカスを予防する表現は、医薬品的な効能効果とみなされて、薬機法違反になる可能性が高いので気をつけましょう。 他社との比較広告 他社と比較するような広告を見たことがあるかと思いますが、化粧品において他社比較することは、薬機法で規制されています。 業界基準である化粧品適正広告ガイドラインでも製品の比較広告を行う場合は、自社製品の範囲で行い、その対象製品の名称を明示した場合に限定し、明示的であると暗示的であるかを問わず、他社製品との比較広告は行わないことと規制されています。 化粧品においては他社製品との比較をすることができず、自社製品しか比較をすることができません。他の業界で特定の会社の名前をあげて比較したり、A社、B社などと表示したりする広告表現もできません。漠然と比較する場合も表現が制限されていますので注意が必要です。 また、化粧品や医薬部外品においては他社製品の誹謗中傷をすることも禁止されています。 9 他社の製品の誹謗広告の制限医薬品等の品質、効能効果、安全性その他について、他社の製品を誹謗するような広告を行ってはならない 引用 :厚生労働省「医薬品等適正広告基準の改正について」 下記は他社製品の誹謗広告に抵触する表現例です。 ①他社の製品の品質等について実際のものより悪く表現する場合 例:「他社の口紅は流行おくれのものばかりである。」 ②他社の製品の内容について事実を表現した場合 例:「どこでもまだ××式製造方法です。」” 引用:厚生労働省「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等」 他社製品と比べた表現をしている比較広告に関して、注意喚起をしており、製品同士の比較広告を行う場合は、自社商品の範囲で、その対照製品の名称をしっかり明示する場合に限定しています。 製品同士の比較広告を行う場合は、自社製品の範囲で、その対照製品の名称を明示する場合に限定し、明示的、暗示的を問わず他社製品との比較広告は行わないこと。この場合でも説明不足にならないよう十分に注意すること。 引用:厚生労働省「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等」 「薬機法の関係で言えない」もNG 薬機法で規制されて化粧品の効果、効能についてオーバーな表現ができなくなった影響で、薬機法の規制を逆手に取った表現をする方も出てきています。「薬機法の関係で言えませんが、この商品はすごいです」といった表現です。薬機法では、人への効能効果を謳えないという決まりがあり、商品の効果に対して、消費者に誤解を与える表現はできないので、「薬機法の関係で言えない」という表現はできません。 まとめ 最近では、YouTubeやInstagram、Twitterなどでインフルエンサーが化粧品についてPRの情報発信をする場面が増えてきました。 それに伴い、インフルエンサーが企業と組んで化粧品をプロデュースする機会も多くなっています。 インフルエンサーが監修したコスメのことを「インフルエンサーコスメ」といいますが、 インフルエンサーコスメのPRを、SNSなどで情報発信する場合も薬機法に注意して表現する必要があります。 一般化粧品の効能効果について表現する場合は、「化粧品適正広告ガイドライン」で定められている56項目を参考にして情報発信する必要があるでしょう。 インフルエンサーがYouTubeやInstagramなどでライブ配信する場合も、薬機法の規制対象になります。 また、他社商品との比較や誹謗中傷することも認められていません。 「薬機法の関係で言えないが、すごい商品です」というニュアンスの表現もNGなので注意が必要です。 情報発信をする際に、気が付かないうちに薬機法違反にならないように、常に薬機法を意識すると良いでしょう。
「限定」「非売品」の注意点 化粧品や健康食品に関する景品表示法
期間限定キャンペーンでは、お得さを伝えるための「二重価格表示」が認められていますが、ルールが多いので気をつけなければいけません。景品については、商品・サービスにつけられる限度額が決まっているので注意が必要です。 この記事では、期間限定キャンペーンの注意点と非売品を景品とする時の注意点について、景品表示法の観点から詳しく解説しています。期間限定のキャンペーンや、非売品を景品にする際の参考にしてみてください。 景品表示法とは? 景品表示法とは、正式名称を「不当景品類及び不当表示防止法」といい、不当な表示や景品を取り締まる法律です。実際の商品よりも良く見せるような広告や、得をすると思わせる過大な景品を規制し、消費者が良くない商品やサービスを購入することを防ぎます。 景品表示法の規制対象となる「表示」は、商品やサービスに関わる表示・広告全般です。容器や包装、ポスターやチラシ、インターネットの広告だけでなく、実演なども含まれます。 景品表示法に違反した場合でも、表示や広告が問題なので、商品やサービスの販売停止が命じられることはありません。広告や表示の取りやめや商品の返品を受け付けるなどの措置命令が出されます。 期間限定キャンペーンの注意点 期間限定キャンペーンについて、景表法上で関わってくるのは「二重価格表示」です。 消費者庁による「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」では、以下のように記載されています。 1 二重価格表示についての基本的考え方 二重価格表示は、事業者が自己の販売価格に当該販売価格よりも高い他の価格(以下「比較対照価格」という。)を併記して表示するものであり、その内容が適正な場合には、一般消費者の適正な商品選択と事業者間の価格競争の促進に資する面がある。しかし、次のように、二重価格表示において、販売価格の安さを強調するために用いられた比較対照価格の内容について適正な表示が行われていない場合には、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがある。 (不当な価格表示についての景品表示法上の考え方) 二重価格表示は、内容が適正なら使用可能です。 期間限定でキャンペーンを行う場合には、キャンペーンとして表示する価格の比較対象を過去の販売価格とするか、将来の販売価格とするかで対応が違ってきます。 過去の販売価格を比較対象とする場合 今まで販売していた商品やサービスに対して、期間限定キャンぺーンで価格を引き下げる場合には、過去の販売価格の表示が可能です。 ただし、表示された過去の販売価格を見た消費者は「今までずっとこの価格で販売されていた」と認識します。そのため、表示している過去の販売価格で販売していた期間に限定性があるなら、いつの時点でどの程度の期間販売されていたのかを表示しなければなりません。過去の販売価格で販売されていた期間は、連続している必要はありませんが、過去の販売価格として認められるためには条件があります。 以下の場合は、過去の販売価格として認められます。 キャンペーン開始前の8週間のうち、半分以上販売されていた価格 キャンペーン前の販売期間が8週間未満の場合、その期間全部で販売されていた価格 以下の場合は、過去の販売価格として認められません。 販売期間が2週間未満 最後に表示したい価格で販売した日から、2週間経っている 購入実績が無くても販売されていれば販売価格として認められますが、気づかれない場所で販売されていた場合は実績作りとみなされ、販売期間に含めることはできません。過去の販売価格を比較対象とする場合には、以下のような表示が不当表示となります。 5,000円で販売していたのに、7,500円で販売していたと表示する 販売していない商品を、実際に販売していたように表示する 3日間しか販売していなかった価格を表示する いつからいつまで販売していた価格なのか書いていない 違う商品の価格を表示している 将来の販売価格を比較対象とする場合 これから販売する商品やサービスに対してキャンペーンを行う場合には、将来の販売価格を比較対象とすることが可能です。 ただし、以下のような場合は不当表示となります。 キャンペーンが終わっても、表示していた「将来の販売価格」で実際に販売しない場合。 将来の販売価格での販売が、短期間のみ。 キャンペーンを延長するときは キャンペーンは、開催できる期間が決められています。 過去価格と比較したキャンペーン:割引キャンペーンは最長4週間まで 将来価格と比較したキャンペーン:キャンペーン期間は明確に決められていない これから販売を開始する商品やサービスにおいて、将来価格と比較したキャンペーンを行う場合は、延長することは可能です。 ただし、いつまで経ってもキャンペーン後の価格にならない場合は、不当表示とみなされる可能性があります。期間が決められていなくても、最初に決めた期間でキャンペーンを終え、通常価格での販売を始めるようにしましょう。キャンペーンを終えてから、再度キャンペーンを開催することは可能です。 ただし、過去の販売価格と比較するキャンペーンとなるので、以下の条件に当てはまる必要があります。 前回のキャンペーンから2週間空いており、キャンペーンまでの期間は通常価格で提供していること。 再キャンペーンは無いと消費者が認識する表示をしていないこと。 「今だけ」「期間限定」などの表示をしている場合は、同じような内容のキャンぺーンを行うことは厳しいでしょう。 非売品を景品にできる? 非売品は、景品として提供することができます。景品とは、商品・サービスに添えて消費者に渡す「おまけ」です。非売品を景品にできるかどうかは、非売品を景品としてつけたい商品・サービスの価格と非売品の価格が関係します。 景品については、景表法の景品規制の対象です。総付景品の限度額は、次のように定められています。 商品価格が1,000円未満:景品の最高額は200円 商品価格が1,000円以上:景品の最高額は商品価格の2割 ただし、非売品を景品とする場合は、景品の価格がはっきりとわかりません。消費者庁の「景品類の価額の算定基準について 」では、以下のように定められています。 (2) 景品類と同じものが市販されていない場合は、景品類を提供する者がそれを入手した価格、類似品の市価等を勘案して、景品類の提供を受ける者が、それを通常購入することとしたときの価格を算定し、その価格による。 (景品類の価額の算定基準について) 自社製品ならば、作る時にかかるコストを考えて、販売するならいくらになるかを踏まえて価格を決めます。 ちなみに、「〇〇がついて1,500円!」など、商品やサービスの価格に非売品を含めている場合は景品とみなされません。 商品・サービスの価格に非売品が含まれていると読み取れる場合は、以下のように定められています。 「商品・サービスの価格-非売品の価格>商品・サービスの原価」 景品にする場合とは計算方法が違うので注意しましょう。 まとめ 期間限定キャンペーンを行う際には、内容が適正なものであれば二重価格表示を使用できます。今まで販売していた商品の場合は、キャンペーン価格の比較対象は過去の販売価格です。新商品のキャンペーンでは、将来の販売価格が比較対象となります。 非売品を景品にしたい場合、まずは景品としての価額を算出します。景品の最高額を超えなかった場合は、景品として添えることが可能です。景表法の内容を頭に入れて、期間限定キャンペーンの内容や、非売品の取り扱いを決めていきましょう。